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「ブラウンの親戚のやっている店に行くか」

興味を持ったエヴ嬢に元気のいいブラウンの母親の話をすると喜んで行きたがった。

「それならひとっ走りして家族に知らせてきます。二階に大部屋があるのでそちらの支度を。馬で追いかけるのでお先にどうぞ」

緊急時用に普段から数頭の馬に鞍をつけたまま陣に置いている。
それを使うのだろう。
渡した酒を預けてくると陣地に走り、私達はそぞろ歩きで街へ向かった。
いつもより薄暗い街中を歩く。

「お先に失礼しますっ」

後ろから馬を走らせたブラウンが通りすぎていった。
道中、明日の予定を聞かれたので後回しになっていた水辺の討伐と街道の整備だと話す。
力試しにウズウズするダリウスは水辺の討伐に参加することにした。

「俺もっすよね?」

「いや、どちらも午前のみの短時間だ。それにあちらの専門部隊と合同で人手は足りている。二日ほどを予定に、探索を兼ねた小規模な部隊を複数準備させた。狙うのは中型以降の小さな群れだけだ。お前は後日の大規模討伐の時に呼ぼうと思っていた」

それまで休みだと言うと、了解っすと大人しく引き下がった。
こいつの火力は大型用に温存したい。
水辺の討伐ではこいつ以上に動ける者はいない。
本人は身分と年齢を気にして遠慮しているが、専門部隊の仲間内からはエースとして重宝されている。
如何せん、陸上で弱すぎて働きぶりを見たことのない大多数からの評価は低い。
エドも陸上を主とするのでリーグの使い所はないと考えている。
それでも持久力と状況判断が上手く、この細身の割りに隊の中でよく動いている。

「街道の整備なら私も様子を見に行きたいのですが」

「ヤンもか?」

「ええ、旦那様からお話が出ますが専門外でして。今日のお話で他のことにも興味が出ました」

「私もヤンと参加したいです」

「討伐はないぞ?崩れた道の補修だ。明日は確認くらいだ」
「力仕事は好きです」

「そうか、ふふ、」

街道の視察に二人増える分には困らない。
むしろ心強い。

「え、俺は?エヴ様が行くなら俺も、」

「街道にスミスの同行は決定している。それで構わないなら」

「う、」

エドの報告でしつこく付きまとうスミスと一触即発に揉めていると聞いている。
仕事を増やして側に寄れないようにしたが、手を抜くことなく仕事を終えて戻ってくるそうだ。
能力が上がったとこちらとしては嬉しい限りだ。
間にエドが入ってどうにかしているらしい。
慣れないことをして困ってると、端的に事実のみが書かれた報告書なのに文章の端々から困惑した様子が伺えた。

「…く、くそぉ」

渋々と残りますと答えた。
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