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活性化

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縦横無尽に伸びた硬い葉と茎が革鎧の隙間から体に細く幾重にも絡み全身から血を流した。

「な、んだ、これは」

ヒムドが飛び出すが、私と同様に地面に縫い止められる。
あっという間だった。
強化をかけてひきちぎるが、うごうごと絡み続け、固くなったはずの肉体に次々と突き刺さる。
頬に重なるほど刺さった葉が痛くて顔を動かせない。
目線だけ動かせば、私と同じようにヤンとダリウスも膝をつき血だらけで呻いている。

「あーあ、可哀想になぁ。こんなに飢えて」

エヴ嬢の影からニュッと手が伸びてエヴ嬢の顔を掴んでいる。
指を口に突っ込んで、ぐいっと引っ張って横に引き倒した。

「ん、んんっ」

「辛かったろぉ?そんな雑草の精力を吸ったって腹の足しになんねぇ。可哀想になぁ、エヴぅ。オレの精力を分けてやるから、たぁっぷり吸い込め?」

影から半身を出して男が現れた。
羊の角、短い黒髪、褐色、左肘からの欠損。
金の目と甘ったるい整った顔。
下半身には切れ込みのある長い腰巻きを巻いた半裸の若い男だった。

「あ、もる。ひゃめ、ゃめて、んあ、あ」

「だめだなぁ、このままじゃ死ぬから?ほらぁ吸えよ。精力、指から流してやるからぁ」

「ん、うう」

「いい子だから、ほらぁ」

指から流し込まれる精力に、目をうっとりと細めてこくん、こくん、と喉が鳴る。

「そー、そー。いい子ぉ。たぁっぷりあるから味わえぇ」

口の中をかき混ぜてピチャピチャと音を立てる。
怒りに身体を動かすが、皮膚の表面を刻みながら動きを封じるように肉に食い込んでくる。

「ホント馬鹿だなぁ、エヴ。餌が目の前にあるのに、なぁに我慢してんだぁ?ほら、吸い方は前に教えたろぉ?」

「んあっ、あっ、」

口の中と頬肉をつかんで、四つんばに這うエヴ嬢を私の前に引きずる。

「こーやって、」

エヴ嬢の髪ごと頭を鷲掴みにし、私の目の前に顔を突き出させた。

「口から吸えばいいっつったろぉ?」

顔に無理やり押し付けてくる。

「い、いやだぁ」

ぼろぼろ泣くエヴ嬢。
ヤン達がやめろと叫び、私は痛みで呻いた。

「数年ぶりの活性化で精力が足りてねぇ。吸えよ?死にてぇのかぁ?だいたいさぁ、久々に会ったらお前臭い。マジ犬くせぇ。そいつの匂いプンプンさせてるくせに何が嫌なんだぁ?」

「いや、いやぁ」

ふるふると頭を揺らすと当たった刺激で痛みが走る。

「あいつら、くそエルフとそこのくそオーガの匂いもくせぇ。お前、オレがいない間餌も食わずに何してたわけぇ?チャラチャラ遊んでないでちゃんと餌食べろよぉ?」

「あっ、」

ぐっと後ろは引っ張られて首がのけぞった。

「こいつらは贄だってわかってねぇの?なぁ、馬鹿エヴ、ん、」

「ん、んく、…んく、」

唇を合わせエヴ嬢の喉がまたこくん、こくん、と動く。
必死でちゅうとゅうと吸ってる。
すると、強ばった身体がびりっと痙攣し、男が掴む髪を宙吊りにズルズルと弛緩した。

「エヴ、嬢!お前っ、何、者だ!」

「うるせぇ犬っころ。もう忘れたのかよぉ?」

ずいっと顔を寄せて覗き込まれ、その顔に見覚えがあった。

「アモル、」

「はーい、本体でーす」

今日は影渡りで飛んできちゃったぁとけらけら笑った。
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