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夢魔
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真っ暗な天幕の中はそれぞれの寝息とじっと過ごすダリウスの気配が続く。
尻尾にエヴ嬢のすうすう、と心地よい吐息がかかってくすぐったい。
それが少し気になっていつもより寝付けなかった。
いつの間にか眠りについて、いくらか過ぎた頃、何かの気配にふと薄く目を開けた。
静かな気を遣うような気配に見張りの交代かと考え、また目を閉じる。
そう思っていたら、かなり濃いエヴ嬢の匂いと背後から手の感触が肩に触れて首へと滑る。
背中に柔らかい胸も。
エヴ嬢の突然の抱擁にどういうことかと固まっていると、顔を後ろへ引っ張られた。
「エヴ、嬢?」
真っ暗な中、エヴ嬢が目の前にいる。
手を私の首と頭に巻き付け、お互いの鼻が当たるほど近くに。
嬉しそうに唇が弧を描いて笑っていた。
魅惑的な表情に見惚れていたら、エヴ嬢はれ、と舌を出してねっとりと私の唇を撫でた。
呆けた口の隙間から舌を差し込まれ、歯を開けろとチロチロと舌を絡めてくる。
「ん、ふ、ふぅぅ」
興奮して抱き寄せて噛みつくように吸い込み、私も舌を押し付けて応えた。
だが、舌同士がぴたりと重なった瞬間、びりっと軽い何かの刺激とそこから急激に何か吸われる感覚、そしてとてつもない快楽が起こって、はっと目を見開いした。
「ん!んうう?!」
危険を察して呻くが、自分の喘ぎのような叫びが暗闇に響いた。
気持ちよさから身体が痺れてずるずるとラグに倒れる。
奔流のような口付けを続けたまま、上にエヴ嬢が股がり柔らかい肢体で私の身体を撫でる。
「う、うっ、んんっ」
強く反応した昂りにも、容赦なく。
さっと前衣を開いてエヴ嬢の両手が直にもっと強い快楽へと高めてくる。
ダリウスは?
ヤンは?
この状況はなんだ?
焦って目を動かすが、何も見えない。
翻弄されながらも目に魔力を通して視力をあげるのに何も見えない。
強化を掛けて抵抗するのに、なぜかかからない。
呪符も大して効かない私なのに。
おかしい。
ここはどこだ。
なぜ何もない。
ラグの手触りもない。
上か下かの感覚も。
いつの間にかお互い何も着ていない。
裸だ。
先程見たはずの天幕の様相でもない。
魔力が身体を巡らない。
そして誰だ。
私を襲ってるのは。
途方もない快楽と強く引きずり出されている感覚に悶えながら抗う。
「んーっ!んううぅーっ!!!」
口内を貪られたまま抵抗に強く呻くと、どんっと身体に強い衝撃が加わった。
はっと目を開けると顔にラグの手触りだ。
私はラグの上にうつ伏せに倒れていた。
「夢か」
ほっとして力が抜ける。
身体を動かすと、片頬にじんじんとした腫れを感じた。
それに、この異常事態に気が高ぶって覚醒してる筈なのにぼうっとして身体の反応が悪い。
「団長、気がつかれましたか?」
見上げると三人が私を囲んでいた。
話を聞けば、私が座ったまま眠っていたのに、突然苦しみだしたと言う。
揺さぶっても起きず、その途中で仮眠の二人も起きて危険を察したヤンが強く頬を叩いて突き飛ばしたそうだ。
「…おそらく夢魔の類いだ。何か吸われたが魔力ではなかった」
夢で術式を舌に打たれたと話すとダリウスが天幕の蝋燭に灯をともし、ラウルが体内へ探知魔法をかける。
「夢魔に襲われたのは初めてだ。魔力ではない何かを吸われ、術式で強化も何も封印されて抵抗が出来なかった」
「…多少、魔力も下がってるけど、精力の減りが大きい。…何か術式の跡。…でも式自体は消えてるから、もう何の術式かは分からない」
尻尾にエヴ嬢のすうすう、と心地よい吐息がかかってくすぐったい。
それが少し気になっていつもより寝付けなかった。
いつの間にか眠りについて、いくらか過ぎた頃、何かの気配にふと薄く目を開けた。
静かな気を遣うような気配に見張りの交代かと考え、また目を閉じる。
そう思っていたら、かなり濃いエヴ嬢の匂いと背後から手の感触が肩に触れて首へと滑る。
背中に柔らかい胸も。
エヴ嬢の突然の抱擁にどういうことかと固まっていると、顔を後ろへ引っ張られた。
「エヴ、嬢?」
真っ暗な中、エヴ嬢が目の前にいる。
手を私の首と頭に巻き付け、お互いの鼻が当たるほど近くに。
嬉しそうに唇が弧を描いて笑っていた。
魅惑的な表情に見惚れていたら、エヴ嬢はれ、と舌を出してねっとりと私の唇を撫でた。
呆けた口の隙間から舌を差し込まれ、歯を開けろとチロチロと舌を絡めてくる。
「ん、ふ、ふぅぅ」
興奮して抱き寄せて噛みつくように吸い込み、私も舌を押し付けて応えた。
だが、舌同士がぴたりと重なった瞬間、びりっと軽い何かの刺激とそこから急激に何か吸われる感覚、そしてとてつもない快楽が起こって、はっと目を見開いした。
「ん!んうう?!」
危険を察して呻くが、自分の喘ぎのような叫びが暗闇に響いた。
気持ちよさから身体が痺れてずるずるとラグに倒れる。
奔流のような口付けを続けたまま、上にエヴ嬢が股がり柔らかい肢体で私の身体を撫でる。
「う、うっ、んんっ」
強く反応した昂りにも、容赦なく。
さっと前衣を開いてエヴ嬢の両手が直にもっと強い快楽へと高めてくる。
ダリウスは?
ヤンは?
この状況はなんだ?
焦って目を動かすが、何も見えない。
翻弄されながらも目に魔力を通して視力をあげるのに何も見えない。
強化を掛けて抵抗するのに、なぜかかからない。
呪符も大して効かない私なのに。
おかしい。
ここはどこだ。
なぜ何もない。
ラグの手触りもない。
上か下かの感覚も。
いつの間にかお互い何も着ていない。
裸だ。
先程見たはずの天幕の様相でもない。
魔力が身体を巡らない。
そして誰だ。
私を襲ってるのは。
途方もない快楽と強く引きずり出されている感覚に悶えながら抗う。
「んーっ!んううぅーっ!!!」
口内を貪られたまま抵抗に強く呻くと、どんっと身体に強い衝撃が加わった。
はっと目を開けると顔にラグの手触りだ。
私はラグの上にうつ伏せに倒れていた。
「夢か」
ほっとして力が抜ける。
身体を動かすと、片頬にじんじんとした腫れを感じた。
それに、この異常事態に気が高ぶって覚醒してる筈なのにぼうっとして身体の反応が悪い。
「団長、気がつかれましたか?」
見上げると三人が私を囲んでいた。
話を聞けば、私が座ったまま眠っていたのに、突然苦しみだしたと言う。
揺さぶっても起きず、その途中で仮眠の二人も起きて危険を察したヤンが強く頬を叩いて突き飛ばしたそうだ。
「…おそらく夢魔の類いだ。何か吸われたが魔力ではなかった」
夢で術式を舌に打たれたと話すとダリウスが天幕の蝋燭に灯をともし、ラウルが体内へ探知魔法をかける。
「夢魔に襲われたのは初めてだ。魔力ではない何かを吸われ、術式で強化も何も封印されて抵抗が出来なかった」
「…多少、魔力も下がってるけど、精力の減りが大きい。…何か術式の跡。…でも式自体は消えてるから、もう何の術式かは分からない」
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