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鍛練
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あれから諦めたと思ったら、結婚だけは出来ますと張り切って言いに来た。
人狼の末裔ということ私の結婚観は特殊だ。
それを無視して婚姻を進めるエドにまたやめろときつく釘を刺した。
次の日には団の訓練をエドと交代して私が請け負うことにした。
以前、構えも姿勢も何もかも素人だったエヴ嬢だったのに二週間でかなり矯正したようだ。
聞くと従者の三人とベアード殿から毎日鍛えられたと答えた、
肉体強化なしの剣術や体術は最下位だ。誰とも組ませられない。だが、強化をかければ、エヴ嬢と同様に強化をかけた大男を相手を軽々と持ち上げて放り投げる。数人がかりでもこちらの打撃は何も気にせず体当たりしてきてでたらめな力業でぶっ飛ばした。
えい、と軽い掛け声で拳を地面に当てれば、ぼこんと凹む。
「剣よりこっちが楽です」
下手くそな剣術を見かねて好きな得物を使えと言えば、ニコニコと腰に下げたメイスを2本手に持って振り回す。当たれば地面に穴を開けるし大木さえ真っ二つにへし折る。
強化があれば私と張り合えるが、力だけだ。
今までどうやって戦ったと問えば、相手の四肢を引きちぎるか噛みつくと答えた。報告にもあったが、先の魔人との戦いも同様だと言う。がむしゃらに体当たりして噛みついて追い回したと。
残念なことにルールを設けた組手ではあっさり負けていた。供の三人はそこまで悪くない。団の中でも上位に食い込み、私ともそれなりに対応出来ていた。
だが、四人は討伐に連れていくとそれぞれ圧巻の働きをする。供の三人もエヴ嬢に引けを取らない。三者三様の戦いぶりだった。
魔獣の魔力を吸い上げて倒すヤン。
強化をかければ私を越えそうな程の豪腕で大剣を振って戦うダリウス。
細身と侮っていたラウルも強化以外に魔法や術式を駆使して俊敏さを武器に双剣を操る。
対人の戦闘はまだ甘い所があるが魔獣に対してかなりの経験を持っている。
こちらが教えを乞う必要があるほどだ。
そして団の鍛練に参加してまた各々の技量が上がり討伐数がはね上がった。
「団長のおかげです。ありがとうございます」
初めてエヴ嬢からこちらへ寄って嬉しそうに礼を伝えに来た。
良かったなと軽く答えると、スキップするような軽い足取りで三人のもとへ帰った。
その後ろ姿を見つめて強くなったことを単純に喜ぶエヴ嬢に何とも言えない気持ちがあった。
泥にまみれて血を浴びて令嬢に似つかわしくない日々だというのに。
本人は気にした風もなくクレインの自軍のみならずこちらの兵卒とも気軽に接して自由に過ごしている。エヴ嬢の親しみやすい気質に当てられて妙な気を起こす奴もいたが、私が睨みを効かす前に鍛練場での豪腕と大型魔獣の首を軽く引きちぎったことでそんな気はなくなったらしい。
いいことだ。
人狼の末裔ということ私の結婚観は特殊だ。
それを無視して婚姻を進めるエドにまたやめろときつく釘を刺した。
次の日には団の訓練をエドと交代して私が請け負うことにした。
以前、構えも姿勢も何もかも素人だったエヴ嬢だったのに二週間でかなり矯正したようだ。
聞くと従者の三人とベアード殿から毎日鍛えられたと答えた、
肉体強化なしの剣術や体術は最下位だ。誰とも組ませられない。だが、強化をかければ、エヴ嬢と同様に強化をかけた大男を相手を軽々と持ち上げて放り投げる。数人がかりでもこちらの打撃は何も気にせず体当たりしてきてでたらめな力業でぶっ飛ばした。
えい、と軽い掛け声で拳を地面に当てれば、ぼこんと凹む。
「剣よりこっちが楽です」
下手くそな剣術を見かねて好きな得物を使えと言えば、ニコニコと腰に下げたメイスを2本手に持って振り回す。当たれば地面に穴を開けるし大木さえ真っ二つにへし折る。
強化があれば私と張り合えるが、力だけだ。
今までどうやって戦ったと問えば、相手の四肢を引きちぎるか噛みつくと答えた。報告にもあったが、先の魔人との戦いも同様だと言う。がむしゃらに体当たりして噛みついて追い回したと。
残念なことにルールを設けた組手ではあっさり負けていた。供の三人はそこまで悪くない。団の中でも上位に食い込み、私ともそれなりに対応出来ていた。
だが、四人は討伐に連れていくとそれぞれ圧巻の働きをする。供の三人もエヴ嬢に引けを取らない。三者三様の戦いぶりだった。
魔獣の魔力を吸い上げて倒すヤン。
強化をかければ私を越えそうな程の豪腕で大剣を振って戦うダリウス。
細身と侮っていたラウルも強化以外に魔法や術式を駆使して俊敏さを武器に双剣を操る。
対人の戦闘はまだ甘い所があるが魔獣に対してかなりの経験を持っている。
こちらが教えを乞う必要があるほどだ。
そして団の鍛練に参加してまた各々の技量が上がり討伐数がはね上がった。
「団長のおかげです。ありがとうございます」
初めてエヴ嬢からこちらへ寄って嬉しそうに礼を伝えに来た。
良かったなと軽く答えると、スキップするような軽い足取りで三人のもとへ帰った。
その後ろ姿を見つめて強くなったことを単純に喜ぶエヴ嬢に何とも言えない気持ちがあった。
泥にまみれて血を浴びて令嬢に似つかわしくない日々だというのに。
本人は気にした風もなくクレインの自軍のみならずこちらの兵卒とも気軽に接して自由に過ごしている。エヴ嬢の親しみやすい気質に当てられて妙な気を起こす奴もいたが、私が睨みを効かす前に鍛練場での豪腕と大型魔獣の首を軽く引きちぎったことでそんな気はなくなったらしい。
いいことだ。
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