婚約解消に婚約破棄で叩き返す～巻き添えの犬様～

相性最悪の婚約者と相思相愛の結婚式

「どーいうことよぉ！私に非があるなら言ってみなさいよぉ！」

ふざんじゃないわよぉ！！と秀麗な室内に怒声が響いた。

「君はそうやってすぐに怒鳴るから嫌いなんだ！今まで耐えたが一生君のそのプレッシャーに晒されるなんて冗談じゃない！」

そういうところだと相手が怒り狂う。

伯爵家嫡男の独断での婚約解消の申し入れ。

プライドを傷つけられたと逆に令嬢が独断で婚約破棄を突きつけた。

慌てたのは事を知った両家の統主。

一度両家を交えて話し合いをと思い、この場には本人達とお互いの両親が揃っていた。

掴みあいに発展した二人の争いに相性が悪すぎたと全員が諦めた。

ならば我が家にはもうひとり娘がいるからと、妹と入れ替えの婚約結びなおしを提案。

それを知った妹はふざけるなと激怒。

妹は成人の年齢で婚姻可能とは言え、デビュー前。

パーティーのひとつ行く前に結婚なんて冗談じゃないと泣いた。

日取りや列席者の準備は終わっている。

式の日まで幾日とない状況。

姉と入れ替え、デビュー直前に結婚。

あんまりだと号泣。

何もかも姉のために用意された式だった。

姉が選んだドレス、寝具から櫛の小物など姉のために作られた嫁入り道具。

良いものだと言われるが、そんなことにこだわるんじゃない、もとが他人のものだからだと言う

私のためじゃない、それだけでもショックなのに、いきなり姉達の我が儘でこっちは人生を左右されるんだ、泣いて何が悪い、と言い返す。

食事ができなくなりやつれた。

妹の言い分も筋が通ってる。

我が儘の巻き添え。

ならば婚約関係をもとに戻そうと親たちが奔放するが、姉はこんな侮辱を受けて土下座されようが許さないと一蹴。

もと婚約者はこんなのと結婚したら俺は早死にすると言い募る。

代われと言われた妹は毎日吐くほど泣いた。

「こんな我の強い人と暮らせません！！父は私に死ねと仰るのか？！」

「こんな扱いを受けて結婚しろですって！私にだってプライドがあるのよ！こんな人と人生をすごすなんて！問題は夜よ！共寝なんか死んだほうがまし！」

「ひどいぃ！お父様もお姉様も！皆、私のことなんかこれっぽっちも考えてないい！！うわああん！」

三人の言い分に二人の統主は頭を抱えた。

「……伯爵、諦めませんか」

「……そうですなぁ。しかし家同士の契約に婚姻が必要ですよ。……いかがいたしますか？」

「うむむ」


******

両家は悩んだ結果、子供達の代わりにお互いの飼っていたペットのユリアンとマーベリックを結婚させた。

前代未聞ではあったが寄り添う２匹に両家は胸を撫で下ろし、互いの家の繁栄を願った。

～終～