133 / 168
第六章
馬には乗ってみよ人には添うてみよ19
しおりを挟む「――や、やっと帰ってこれた……」
あの後、なんだかんだあって帰ってくることができた。結構近いところにあってよかった。
「……ま、またここ飛ぶの?」
下にはベットがあるがやっぱり怖い。未来ちゃんは興奮してるようで飛び降りようとしていた。
「ちょちょちょ!未来ちゃん飛ぶの!?」
「うん!飛びたい!」
なんとか止めようとしたけど、未来ちゃんはウッキウキで下へと飛び降りた。
下で未来ちゃんがキャーキャー言っている。……嘘でしょ……未来ちゃんここ飛べるのぉ?
「はよ降りてこい」
下からノアの声が聞こえてくる。……降りれたら降りてるわ!
「ちょい!ハシゴ持ってきてよ!行く時置いてたでしょ!?」
「あれ重いんだよ。飛び降りた方がはやい」
なーんーでーーー!?持ってきてくれたらいーじゃーーん!!こんな所から飛び降りれるわけないジャーン!!
「お姉ちゃん降りれないの?」
「そうだぞー。降りれないのかお姉ちゃーん?」
くっそ!百合ちゃんが参戦してきやがった!回復したのは嬉しいけど腹立つぅ!!
「黙らっしゃい!!お、降りれるしー!これくらい……降りれますぅー!!」
私のプライドが火を噴いた。でも怖いものは怖い。
脚だけをプラプラと降ろしてみる。……なんかお尻がゾワゾワとする。
「うぅ……み、見てろぉ!降りるからなぁ!」
「ママ!!」
「未来!!」
未来ちゃんと荊棘さんが泣きながら抱き合っている。……今かぁ……今感動ムード出すのかぁ。なんか周りのみんなも感動ムード出してるんだけどぉ。私ここでビビり散らしてるんですけどぉ。
私がプルプルと震えていると、感動ムードが終わったみんなが私の方に向いてきた。……そんな見ないで……。
「花音ちゃんそろそろ降りてきなよー」
「そうだよー。降りてきたら頭撫でてあげるわよー」
「あーもー!!真唯さんまで悪ノリしないでー!!」
ちくしょう……小さい女の子が飛べて私が飛べないなんてぇ。情けないぃ……。
「はぁ……仕方ない」
ノアがパンパンと2回手を叩いた。……あれ?これってもしかして……。
「ちょちょっと待ってよ!まだ気持ちが整ってないというか、心が統一されてないというか、脚の調子が悪いというか、心の猫ちゃんがビビってるっていうか――」
足を掴まれた。あーまたこのパターン。ヤダヤダ男の子って野蛮ね。……あはは。
イコライザーに布団の上に叩き落とされた。バフンってなった。体がトランポリンみたいにはねる。
「……も、もうちょっと優しくしてぇ……」
「花音ちゃん。それえっちだからこれから言っちゃダメだよ」
「はい……」
百合ちゃんに頭を撫でられた。……ちきしょー。
「――やっぱりおかしいね」
まくっていた服を戻してお腹を隠す。まだまだ思春期なので素肌を見せるのは恥ずかしい。
私はおじいさんおばあさんに体を見られていた。……これだと誤解されそうだね。怪我がないかを見てもらっていた。
「食道に何か異物があるね……なんだろう」
「……あ、あのぅ……」
女の子に卵を産み付けられたとは言いにくい……。
「……あなたはあっちいってて」
「わかった。ただ病名だけは聞かせてくれよ」
おじいさんがみんなの所に行った。おばあさんが優しいな……。
「……まぁ、言いにくいこともあるわよね。でも治すためには言ってもらわないと。ここには機材もないし」
「……信じてくれます?」
「うん。大丈夫よ。言ってみなさい」
「……卵」
「え?」
「卵を産み付けられました……女の子に……」
おばあさんがポカンと口を開けている。まぁそりゃそうか。私も同じ立場なら同じ状況になる。
「……それ本当よね?」
「はい……お恥ずかしながら……」
「……わかったわ。信じる。こんな状況なんだしありえないこともないわよね……」
くっそ恥ずかしい。エプムーサめ、こんなに時間が経ってもダメージを与えてくるとはぁ……。
「ちょっと服を脱いでくれない?」
言われるがまま上の服を脱いだ。ちょっと肌寒い。冷たい空気が肌にまとわりついた。
おばあさんが私の胸の中心くらいに指を置いてきた。目を瞑って集中しているようだ。
「……確かに卵ね。多分カエルの卵みたいなゼリー状のやつ。でも食道に引っ付いてる。カルシウムの塊が食堂に根を張ってるわ」
「カルシウムって根を張るんですか?」
「ただの比喩よ。……でもちょっとだけね……これくらいならお酢を飲めば溶けて胃に落ちていくわ」
「3日以内に治りますか?」
「もちろん飲む量にもよるけど、これくらいなら頑張って飲めば大丈夫よ」
私は体がパァっと軽くなったのがわかる。これで私はエイリアンみたいなことにならなくて済む!
私は服をきながらおばあさんにお礼を言った。
「あの……おばあさんありがとうございます」
「おばあさんじゃなくて、美代子。川口美代子よ。ちなみに私の夫は川口幸雄よ」
美代子さんはウインクをして私の前にペットボトルに入れられたお酢を置いた。……これを飲むのかぁ。
続く
あの後、なんだかんだあって帰ってくることができた。結構近いところにあってよかった。
「……ま、またここ飛ぶの?」
下にはベットがあるがやっぱり怖い。未来ちゃんは興奮してるようで飛び降りようとしていた。
「ちょちょちょ!未来ちゃん飛ぶの!?」
「うん!飛びたい!」
なんとか止めようとしたけど、未来ちゃんはウッキウキで下へと飛び降りた。
下で未来ちゃんがキャーキャー言っている。……嘘でしょ……未来ちゃんここ飛べるのぉ?
「はよ降りてこい」
下からノアの声が聞こえてくる。……降りれたら降りてるわ!
「ちょい!ハシゴ持ってきてよ!行く時置いてたでしょ!?」
「あれ重いんだよ。飛び降りた方がはやい」
なーんーでーーー!?持ってきてくれたらいーじゃーーん!!こんな所から飛び降りれるわけないジャーン!!
「お姉ちゃん降りれないの?」
「そうだぞー。降りれないのかお姉ちゃーん?」
くっそ!百合ちゃんが参戦してきやがった!回復したのは嬉しいけど腹立つぅ!!
「黙らっしゃい!!お、降りれるしー!これくらい……降りれますぅー!!」
私のプライドが火を噴いた。でも怖いものは怖い。
脚だけをプラプラと降ろしてみる。……なんかお尻がゾワゾワとする。
「うぅ……み、見てろぉ!降りるからなぁ!」
「ママ!!」
「未来!!」
未来ちゃんと荊棘さんが泣きながら抱き合っている。……今かぁ……今感動ムード出すのかぁ。なんか周りのみんなも感動ムード出してるんだけどぉ。私ここでビビり散らしてるんですけどぉ。
私がプルプルと震えていると、感動ムードが終わったみんなが私の方に向いてきた。……そんな見ないで……。
「花音ちゃんそろそろ降りてきなよー」
「そうだよー。降りてきたら頭撫でてあげるわよー」
「あーもー!!真唯さんまで悪ノリしないでー!!」
ちくしょう……小さい女の子が飛べて私が飛べないなんてぇ。情けないぃ……。
「はぁ……仕方ない」
ノアがパンパンと2回手を叩いた。……あれ?これってもしかして……。
「ちょちょっと待ってよ!まだ気持ちが整ってないというか、心が統一されてないというか、脚の調子が悪いというか、心の猫ちゃんがビビってるっていうか――」
足を掴まれた。あーまたこのパターン。ヤダヤダ男の子って野蛮ね。……あはは。
イコライザーに布団の上に叩き落とされた。バフンってなった。体がトランポリンみたいにはねる。
「……も、もうちょっと優しくしてぇ……」
「花音ちゃん。それえっちだからこれから言っちゃダメだよ」
「はい……」
百合ちゃんに頭を撫でられた。……ちきしょー。
「――やっぱりおかしいね」
まくっていた服を戻してお腹を隠す。まだまだ思春期なので素肌を見せるのは恥ずかしい。
私はおじいさんおばあさんに体を見られていた。……これだと誤解されそうだね。怪我がないかを見てもらっていた。
「食道に何か異物があるね……なんだろう」
「……あ、あのぅ……」
女の子に卵を産み付けられたとは言いにくい……。
「……あなたはあっちいってて」
「わかった。ただ病名だけは聞かせてくれよ」
おじいさんがみんなの所に行った。おばあさんが優しいな……。
「……まぁ、言いにくいこともあるわよね。でも治すためには言ってもらわないと。ここには機材もないし」
「……信じてくれます?」
「うん。大丈夫よ。言ってみなさい」
「……卵」
「え?」
「卵を産み付けられました……女の子に……」
おばあさんがポカンと口を開けている。まぁそりゃそうか。私も同じ立場なら同じ状況になる。
「……それ本当よね?」
「はい……お恥ずかしながら……」
「……わかったわ。信じる。こんな状況なんだしありえないこともないわよね……」
くっそ恥ずかしい。エプムーサめ、こんなに時間が経ってもダメージを与えてくるとはぁ……。
「ちょっと服を脱いでくれない?」
言われるがまま上の服を脱いだ。ちょっと肌寒い。冷たい空気が肌にまとわりついた。
おばあさんが私の胸の中心くらいに指を置いてきた。目を瞑って集中しているようだ。
「……確かに卵ね。多分カエルの卵みたいなゼリー状のやつ。でも食道に引っ付いてる。カルシウムの塊が食堂に根を張ってるわ」
「カルシウムって根を張るんですか?」
「ただの比喩よ。……でもちょっとだけね……これくらいならお酢を飲めば溶けて胃に落ちていくわ」
「3日以内に治りますか?」
「もちろん飲む量にもよるけど、これくらいなら頑張って飲めば大丈夫よ」
私は体がパァっと軽くなったのがわかる。これで私はエイリアンみたいなことにならなくて済む!
私は服をきながらおばあさんにお礼を言った。
「あの……おばあさんありがとうございます」
「おばあさんじゃなくて、美代子。川口美代子よ。ちなみに私の夫は川口幸雄よ」
美代子さんはウインクをして私の前にペットボトルに入れられたお酢を置いた。……これを飲むのかぁ。
続く
1
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

ペットの餌代がかかるので、盗賊団を辞めて転職しました。
夜明相希
BL
子供の頃から居る盗賊団の護衛として、ワイバーンを使い働くシグルトだが、理不尽な扱いに嫌気がさしていた。
キャラクター
シグルト…20代前半 竜使い 黒髪ダークブルーの目 174cm
ヨルン…シグルトのワイバーン シグルトと意志疎通可 紫がかった銀色の体と紅い目
ユーノ…20代後半 白魔法使い 金髪グリーンの瞳 178cm
頭…中年 盗賊団のトップ 188cm
ゴラン…20代後半 竜使い 172cm

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。
帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか?
国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる