魔王と王の育児日記。(下書き)

花より団子よりもお茶が好き。

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第四章

塞翁が馬01

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 森の中を、一人の若者が駆けていた。

ボロボロに裂けた服、身体には痛々しい生傷の痕に乱れた黒く長い髪。
息を切らしながらただひたすらに、がむしゃらに走り続けていた。

「奴がいたぞ!こっちだ!」

もういつからこうなのか、どれだけの国や山、野を越えて、逃げ惑っているのか覚えていない。ただずっと追われ続けているのだ。
すでに体力も気力も限界を越えていた。
それでも休むわけにはいかない。止まる訳にはいかなかった。
もしこの足を止めてしまったら、そこにあるのはまごうことなき、死。

「やめろ!《俺》は何もしない!何者にもならない!何かの間違いだ!」

好き放題に伸びきった草木の影に身を滑り込ませ、叫んだ。

「奴だ!この近くにいるぞ!探せ!」

たった一人の若者に、得物を持った十はくだらない追っ手。
青々と繁る草木を乱暴に踏み荒らし掻き分け薙ぎ払い、その姿を探す。
腰まである黒髪に、赤い瞳の。

「何かの間違いなんだ!俺じゃない!俺のはずがない!俺は《貴方》を脅かしたりしない!ただ今まで通り細々と暮らしたいだけなんだ!頼むそう伝えてくれ!」

「間違いなものか!確かにあの方はおっしゃられたのだ!《その時が来た》と!そして貴様を殺すよう命じられた!さぁ出て来い!今なら楽に死なせてやる!」

(っクソ!)

身を隠していた草木に追っ手が踏み込もうとし、勢いよく体をぶつけ。相手が倒れるのも確認せず走り出した。

「おのれっ!奴だ追えー!」



(何故だ!何故だ我らが王よ!何故俺を殺そうとする!俺は《魔族の王》になどなる気はないというのに!!)



    
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第四章 塞翁が馬

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