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第三章
名は体を表す31
しおりを挟む「「っらあああああああああああ!」」
アンノウン内部に残った残存勢力を鉄平と柚子で斬り倒し、殴り倒していく。
篠原達が外へ出た時点で内部の敵の数は15。
それらが同時に襲いかかってくる訳だが、いざ挑んでみると然程問題ではなかった。
鉄平の攻撃も柚子の攻撃も通る。
先日のジェノサイドボックスのような再生能力も無い。
そして放たれる攻撃も全て躱せる。
『良い動きじゃ鉄平!』
「そりゃどうも!」
「お、どうしたっすか急に一人言言って。もしかして頭に一発貰ったっすか?」
「お前分かってて言ってるだろ! 余裕そうだな!」
「杉浦さんも!」
手を一切止める事なくそんな会話を少し交わせる位には余裕がある。
だからと言って慢心はしない。
全力で、最短で切り伏せていく。
早急に下の応援に行けるように。
そしてそれから一分程経過して。
「てめえで最後だ!」
振るわれた腕を回避して、その腕を流れるように切断してから叫ぶ。
「柚子!」
「ラストォッ!」
次の瞬間アンノウンに飛び掛かった柚子の拳がその頭部を粉砕した。
『やったのじゃ!』
「ああ!」
ユイが歓喜の声をあげ鉄平もそれに頷くが、当然これで終わりじゃない。
此処では一ヶ所に固まっていたからこそ、ごり押しで最短でねじ伏せられた。
だが外に散らばっているなら話は別だろう。
地上の戦力は多いに越した事は無い。
「で、どうする柚子! 俺達二人とも降りるか!? このでかいアンノウンはどうする!?」
休む事なくすぐさま動く為に柚子にそう問いかける。
そう、地上にもアンノウンはいるが、自分達もまさにアンノウンの中に居るのだ。
果たして一旦こちらは放置というやり方で良いのだろうか?
そして柚子は間髪空けずに鉄平の問いに答える。
「こっちはまた戻ってくれば良いっす! なんか篠原さんと赤坂さんが結構潰したらしいっすけど、それでも下の奴が優先っすよ!」
「了解!」
そうと決まればすぐに行動に移すべきだ。
そう考えて、外に向かって走り出そうとした所でアンノウン内部に異変が起こった。
『○△◆……◆◆○◇×※』
突然アンノウン内部に人の声らしきものが鳴り響いたのだ。
「なんすかこれ!?」
「人の声……聞いた事無い言語だ!」
「杉浦さん英会話聞いても同じ事言いそうっすけどね!」
「お前もな!」
突然の事に流石に足を止めてしまった二人とは違い、ユイが冷静な声音で言う。
『……そこの二人、ちょっと待ってくれ。そう言っておるの』
「分かるのかユイ!?」
「え、マジっすか!? ユイちゃん分かってるんすか!?」
『元々異世界から来ているのに日本語分かっている事の方がどちらかと言えば不思議な感じじゃしな……こっちは寧ろ分かっていてもおかしくないじゃろう。何せ異世界から来たアンノウンの中で聞こえて来る声じゃぞ』
「……母国語って事か?」
『さあ、どうじゃろうな』
そう言っている内に、再び声が鳴り響く。
『◆○×◆! ……○○△……あ、あーえー、翻訳チャンネルはこれで良いか。うん、多分大丈夫だよな……そういう事にしておこう。はぁ全く、この世界が共通語も通じない辺境の田舎だった事を忘れていたよ』
悪気ない暴言を吐くようにそう言った声の主。
そして次の瞬間、少し離れた位置から物音がした。
「なんだ……?」
そちらに振り返ると、戦闘に必死で気付かなかったが床に有ったらしいハッチが開かれそこから……人が飛び出して来た。
「よっと……済まないね呼び止めて。言葉は通じているかい?」
右腕に黒いガントレットを装着した、三十代前半程の緑髪の白衣の男。
……人間の男が、鉄平達の前に現れた。
アンノウン内部に残った残存勢力を鉄平と柚子で斬り倒し、殴り倒していく。
篠原達が外へ出た時点で内部の敵の数は15。
それらが同時に襲いかかってくる訳だが、いざ挑んでみると然程問題ではなかった。
鉄平の攻撃も柚子の攻撃も通る。
先日のジェノサイドボックスのような再生能力も無い。
そして放たれる攻撃も全て躱せる。
『良い動きじゃ鉄平!』
「そりゃどうも!」
「お、どうしたっすか急に一人言言って。もしかして頭に一発貰ったっすか?」
「お前分かってて言ってるだろ! 余裕そうだな!」
「杉浦さんも!」
手を一切止める事なくそんな会話を少し交わせる位には余裕がある。
だからと言って慢心はしない。
全力で、最短で切り伏せていく。
早急に下の応援に行けるように。
そしてそれから一分程経過して。
「てめえで最後だ!」
振るわれた腕を回避して、その腕を流れるように切断してから叫ぶ。
「柚子!」
「ラストォッ!」
次の瞬間アンノウンに飛び掛かった柚子の拳がその頭部を粉砕した。
『やったのじゃ!』
「ああ!」
ユイが歓喜の声をあげ鉄平もそれに頷くが、当然これで終わりじゃない。
此処では一ヶ所に固まっていたからこそ、ごり押しで最短でねじ伏せられた。
だが外に散らばっているなら話は別だろう。
地上の戦力は多いに越した事は無い。
「で、どうする柚子! 俺達二人とも降りるか!? このでかいアンノウンはどうする!?」
休む事なくすぐさま動く為に柚子にそう問いかける。
そう、地上にもアンノウンはいるが、自分達もまさにアンノウンの中に居るのだ。
果たして一旦こちらは放置というやり方で良いのだろうか?
そして柚子は間髪空けずに鉄平の問いに答える。
「こっちはまた戻ってくれば良いっす! なんか篠原さんと赤坂さんが結構潰したらしいっすけど、それでも下の奴が優先っすよ!」
「了解!」
そうと決まればすぐに行動に移すべきだ。
そう考えて、外に向かって走り出そうとした所でアンノウン内部に異変が起こった。
『○△◆……◆◆○◇×※』
突然アンノウン内部に人の声らしきものが鳴り響いたのだ。
「なんすかこれ!?」
「人の声……聞いた事無い言語だ!」
「杉浦さん英会話聞いても同じ事言いそうっすけどね!」
「お前もな!」
突然の事に流石に足を止めてしまった二人とは違い、ユイが冷静な声音で言う。
『……そこの二人、ちょっと待ってくれ。そう言っておるの』
「分かるのかユイ!?」
「え、マジっすか!? ユイちゃん分かってるんすか!?」
『元々異世界から来ているのに日本語分かっている事の方がどちらかと言えば不思議な感じじゃしな……こっちは寧ろ分かっていてもおかしくないじゃろう。何せ異世界から来たアンノウンの中で聞こえて来る声じゃぞ』
「……母国語って事か?」
『さあ、どうじゃろうな』
そう言っている内に、再び声が鳴り響く。
『◆○×◆! ……○○△……あ、あーえー、翻訳チャンネルはこれで良いか。うん、多分大丈夫だよな……そういう事にしておこう。はぁ全く、この世界が共通語も通じない辺境の田舎だった事を忘れていたよ』
悪気ない暴言を吐くようにそう言った声の主。
そして次の瞬間、少し離れた位置から物音がした。
「なんだ……?」
そちらに振り返ると、戦闘に必死で気付かなかったが床に有ったらしいハッチが開かれそこから……人が飛び出して来た。
「よっと……済まないね呼び止めて。言葉は通じているかい?」
右腕に黒いガントレットを装着した、三十代前半程の緑髪の白衣の男。
……人間の男が、鉄平達の前に現れた。
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