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第三章
名は体を表す30
しおりを挟む「ってあれ?間違った。灰の魔族の子供か」
何が間違ったのか。突然現れたおさげ髪の男は「失礼しました。この子供も賛成だと言っています」と訂正する。
ただお使いから帰ってその報告にハクイを探して来ただけのマールは、状況について行けず目を白黒させ、助けを求めてハクイを見れば、眼で「本当か?」と聞かれる。
「なんの事だか」と近付いて来るハクイに軽く首を振った。
「どうやら巻き込まれてしまったようですね。わたくしもお前も」
と言ってため息を一つ。
でも直ぐに気を取り直して「何事もありませんでしたか?」と聞かれた。
お使いの事だ。
「必要な物はほぼ買い揃えて来ました。暫くはこれで問題ないかと、ハクイ様のお陰です」
「わたくしは何もしてませんよ。多少心配でしたが、その必要もなかったようです」
そう言ってハクイは微笑む。
そんなハクイにマールは少し言いずらそうに口を開いた。
「ハクイ様、あっちで悪魔の子達をみました」
「…………なんですって?まさか」
「その、混乱に乗じてお店の商品を盗んで」
「……なんて、危険な事を」
ハクイは口許をおさえる。
「わたくし達だけならいざ知らず、人間にまで、あれほど口煩く言ってもまだ」
「あ、あのでも、とりあえず誰にも気付かれず逃げて行きました」
本当はアルデラミンには気付かれてしまったが、見逃してくれたし何よりハクイが思った以上に深刻な顔をしているので言わなかった。
気まずさを感じたマールは話題を変えようと、気になっていた目の前の状況を聞いてみる。
するとハクイはまぁお前なら見ていたらわかるでしょうと、ガッツポーズを掲げる青年と、少し悔しそうに落ち込む魔王の方に視線を向けた。
「よっしゃあ!勝ったああ!!」
「くっまさかこの私が負けるとは」
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「何はともあれ決まったようで良かった」
「あぁそうだな。いつまで続くかと思うたが、結果良かったんじゃないか?」
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「魔王さまワシらはそろそろ下がらせて貰いますぞ」
「あ、あぁすまなかったな妙な事に付き合わせて、皆下がってよい」
「いえ、では失礼いたします」
ぞろぞろと魔王達以外の者が部屋から出て行く。
そんな中、青年は赤ん坊を抱き上げ、内緒話でもするように言った。
「宜しくな、《わたし》のリーべ」
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