魔王と王の育児日記。(下書き)

花より団子よりもお茶が好き。

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第三章

名は体を表す29

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「い、今なんと言った?」

まさかと耳を疑う。

「だから、き、キラキラちゃん」

その場にいた者はみな綺麗にズッコケそうになり、すんででこらえた。
そして一斉にそれはない、有り得ないと首を横に振る。

「お前、よくそれであれだけ偉そうな事が言えたな。それなら私のメルセデスの方が意味的にも悪くないぞ」
「待て魔王さま。それ今思い付いたでしょ。今初めて出て来だぞメルなんとか!」
「お前がそんな事を言える立場か?」
「言える!さっきのはそう!ほんの冗談!冗談ですよ!本当はリーべって言おうとしてたんです!」
「え、なんか微妙」

ボソリと呟いたイェンを青年はキッと睨み、イェンは目をそらし鼻唄で誤魔化した。

「何故それがいいんだ?」
「この子の瞳がキラキラして愛くるしいと思ったからですよ」
「それでキラキラちゃんにリーべか?安直だな」
「うるっさいなリーべったらリーべです!愛ですよ!愛ちゃんですよ!可愛いじゃないですか!」
「いやメルセデスだ。略してメル!可愛いだろう!多大なる恩恵めぐみ、深い慈悲あわれみだぞ!お前の言うマリアに通じるのだ文句もあるまい」
「あります大いにあります」

なかなか終わらない論争。
終いには俺が父親だ!いや私だ!と何故か話が全然違う方向にそれている。
臣下の殆どがこれはどうしたものかと頭を悩ませるなか、イェンは心底どうでもよさそーに大きな欠伸あくびを一つ、万年筆を器用に指でくるくると回し、ピタッと止めて、何やら紙にしっかりと書き込んだ。

「皆さま方、僕、あ、いや私が言うのもおこがましいと存じますが?とりあえず多数決で《リーべ》で決定とあいなりましたー」

やる気のない声で、しかし大きな声で言った。

「「た、多数決だと!?」」

ようやく二人の論争が止まった。
驚いて振り向く二人にイェンは書き込んだ紙をペラペラと見せる。

「そうです。恐れ多くも私が勝手に決をとらせて頂きました。まずメルセデスにはあまり賛否の声が聞こえてきませんで、 リーべには勿論その人間、私、あちらの方々、更には呟くようにハクイ様が悪くないとおっしゃっているのをしかと聞きました」

「なっわたくしが?」とハクイは驚いてイェンを見る。

「そして」

イェンは浅蘇芳色の大きな扉の前まで行くと、ゆっくりとその扉を開けた。

「この少年も賛成と言っております」

そこには、三白眼の青い瞳と灰色の髪の


「え?」


マールが立っていた。


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