魔王と王の育児日記。(下書き)

花より団子よりもお茶が好き。

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第三章

名は体を表す20

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「どうやらここにもアイツはいないらしいな。……それで、お前は知っているのか?」

先に口を開いたのはアルデラミンの方だった。
マールは小さくその言葉に頷く。

「手紙を預かって来ました」

手紙とは言い難い紙切れを渡すと、彼は眉を潜め二つ折りにされた紙を開いた。

「まさか本人に直接渡せるとは思わなかったので、本当はソフラさんに頼むつもりだったんです」
「そうか……」

言うと、読み終えたのか紙切れをぐしゃぐしゃに握り潰す。

「あの、なんて?」
「……折を見て迎えに来いと」

マールが恐る恐る聞くと、彼はさも不機嫌そうに言う。

「え、それだけ?」
「そうだ。マール、アイツは何処で何をしている?迎えに来いだけでは行こうにも無理だ」
「だよね。えっと、あの人は今魔王城まおうじょうにいます」

長い沈黙のあと彼は「は?」と短くこたえた。

「そこで今育児に勤しんでます」
「いや待て、さっぱり話がみえん」

眉間を押さえる姿に、マールは魔王が人間の赤ん坊を拾った事。育て方が分からず人間を必要とした事。そこでたまたま青年が連れていかれ今は魔王の城で育児に勤しんでいる事をなるべく分かりやすく話した。

「クソッどうりで何処を探しても見付からない訳だ。アイツが例のごとく城を抜け出し、顔見知りの老夫婦の元へ農作物の収穫を手伝いに行ったのまでは突き止めたんだ。だが結局アイツは現れなかった。いったい何処をほっつき歩いているのかと思ったら、あぁクソッ相変わらず予想の斜め上をいく人だ。悪い意味でな!」

怒りを露にテーブルを思いっきり殴る。その姿にマールが何も言えずにいると、気付いたアルデラミンは咳払いをした。

「すまん。いつもの事だがあまりの荒唐無稽っぷりに思わずな」
「今回はあの人のせいじゃない気が」
「半分は自業自得だろう。それに邪気の充満する土地にそれも魔王の城にどう迎えに行けと言うんだ」
「た、確かに」
「だいいち、アイツが赤ん坊を連れて帰って来れば済む話に思えたが?何故そうしない」
「それはオレにも分からないけど、でもまだ戻る訳にはいかない、みたいな事を言ってた」

「フンッそうか」

アルデラミンが立ち上がると丁度お茶を用意したソフラが入って来た。

「あら、もうお話は済んだんですか?お茶はどうします?」

すると彼は無言で盆の上からコップを掴み、そのまま一気に飲み干してまた盆の上に戻す。

「まぁ行儀の悪い」

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