魔王と王の育児日記。(下書き)

花より団子よりもお茶が好き。

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第二章

躓く石も縁の端29 end.

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星々が輝き殆どの者が寝静まった夜ふけ。
何者かが城の窓辺に現れた。
開け放たれたままの窓から中に入り、物音も立てず静かに降り立つ。

「ガキどもが煩いから来てみたが」

浅黒い肌に背には骨が浮き立つ黒光りした不気味な翼。

「なるほど確かに」

目尻や耳は鋭く、傷痕だらけの身体や頬。

「ここにいたようだ」

テーブルの上に置かれたままになっているクッションに目を落とし、そう呟いた。

「それにしても不用心だな」

今しがた入って来た窓を見詰め、そして広いくせに殺風景な部屋をぐるりと見渡す。
先程まではられていたであろう結界は跡形もなく消えていた。
部屋の所々から人間の匂いが残っている。それもわざとらしく。

「…………全てお見通しか」

男は面倒そうに顔をしかめて、頭をかく。
別に来なくても良かったのだ。だが確めなければアイツらが寝てくれそうにもない。
それに魔王城に人間がいるなど、しかも魔王が飼い始めたとなると少し興味もわいた。
どうやらここに人間がいるのは間違いないらしい、きっと今頃結界に守られた部屋で何も知らず健やかに寝入っている事だろう。
では探したところで到底見つかるまい。取り合えず確認はとれた、これでアイツらも大人しくなるだろう。
ふと、男は窓から射し込む月光のあるじを見上げる。
それはまるで、口端を上げ笑っているようだった。




― 躓く石も縁の端。end. ―


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