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第二章

躓く石も縁の端18

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「え? 凄く一般的なお茶菓子ですよ? こっちでは食べないんですか?」
「そうだな。おやつに食べると言ったら果物だ。そもそも焼いた物を食べるという習慣があまりないな」

それを聞いて青年は正直ドン引きした。

(えぇ、ま、まさか赤ん坊に近付けた肉って、生だったんじゃあ、いやまさか……てか焼いててもダメだけど)

「お茶はフレ・アシディティーですよ」
「え? なんですそれ?」

今度は青年の知らないものだった。
ハクイが優雅にお茶の入ったティーカップを持つ。

「酸味の中にほのかな甘さと爽やかな香りが楽しめる。魔族ではごく一般的なお茶です。一つの木から生るアシッドとメノウと言う二つの果物とその葉から作られています」
「へー! 一つの木から別々の果物が生るなんてはじめて聞いた! 面白い!」
「その名の通り、アシッドは酸っぱい実で、メノウは甘いのですよ」

青年はわくわくとティーカップを片手に持つ、しかし念の為、飲む前に眼だけでマールに伺う、するとマールは自らお茶を飲んで見せ、軽く微笑んだ。

(人間の俺でも飲めるって事か)

初めて飲む魔族のお茶。
少し緊張しつつ、青年はそれを口許まで運ぶ。

「う、うっまい! このお茶!」
「旨いじゃないか! このお茶菓子!」

「「え?」」

たまたま同時に飲み食べた魔王と青年の声が重なり、思わず二人は顔を見合わせる。

「どうやら二人とも気に入ったようですよマール」
「良かったです。ハクイ様はどうですか?」
「お前が選んだお茶と菓子です。気に入らないわけがないでしょう」

当たり前のようにそう言って、菓子を口に運ぶハクイに、マールは嬉しそうに微笑んだ。

「ん? なんだお前も食べたいの? 残念だな~お前はまだ食べれないんだよ」

青年が片手に抱いている赤ん坊が、青年の左手に持つクッキーを眺め、手を伸ばしている。

「いいじゃないか。少し食べさせてやったらどうだ」

それを見て、何も知らない魔王はとんでもない事を言う、青年は眉間に皺を寄せ魔王を睨んだ。

「あのね魔王さま。さっきも思ったけど赤ん坊は俺達と同じ物は食べれないの! 離乳食だってまだ始めてないのにバカ言わないで下さいよ」
「離乳食?」
「それにね。この子に肉を食べさせようとしたらしいけど、まだ無理だから、さっきので分かったとは思うけど、固形物はダメだから。それを赤ん坊に喰わせようなんて、知らないとは言え虐待ですよ虐待。未遂で終わってホント良かった」

「ぎゃ、虐待だと?」

魔王の顔が青ざめる。


「やはりそうでしたか、止めて正解でした」



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