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第二章

躓く石も縁の端13

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「ふふ、確かにいい殴られっぷりでしたね」
「笑うな。ほらもう入れるぞ」

部屋の出入り口で揺らめいていた紫色のオーラのような物は、今はスッカリみえない。

「ほらマール、入りますよ。大丈夫、さっきのようにはなりません。入って手当てをしましょう」

ハクイはさっきから自分の服にしがみついて離れないマールを見る。

「なんだこの子供は?“灰の魔族”とは珍しいな」

魔王は見覚えのない魔族の少年に目線をあわせて屈む。
マールは驚いてハクイの後ろに隠れた。

「マール、魔王さまの前で失礼ですよ。魔王さまこの子は」
「あぁわかったぞ。お前が最近森で拾ったと言っていた子だな? そうかこの子供が、驚かせてすまなかったな」

魔王がそう言うとマールはおずおずと前に出て、頭を下げた。

「お初にお目にかかります。ハクイさまの下で働かせてもらっているマールと申します。魔王さまに直接お会いできるとは思ってもいなかったので驚いてしまいました。無礼をお許し下さい」
「魔王さま。このマールが《あちら》まで行き、必要な物を買い揃えて来てくれたのです。これがそうです」

ハクイが買い揃えた物がつまった布袋を魔王にみせる。

「そして帰って来たところで丁度、あの人間が結界から出ようとしているのを見つけ、慌てて止めたそうです。その際に怪我もおいました」

魔王がマールを見ると確かに手が痛々しく焦げていた。

「そうか、よくやってくれたな。おかげで助かった。礼を言うぞ」

そう言って、マールの頭をわしゃわしゃと撫でる。
ついでに何か欲しいものはないかと聞けば、マールは慌てて首を振った。

「さぁ入るといい」

マールはまだ部屋に入るのが怖かったが、魔王にそう言われては断るわけにはいかない。
ハクイとマール、そして魔王は部屋の中央にある大きなテーブルの前までくる。
すると、隣の部屋から赤ん坊を抱いた青年が勢いよく顔を出した。

「誰か! オムツオムツ! 早くオムツくれー!! あと床にしいて汚れてもいい厚めのタオルと体拭くのに使うぬるま湯とタオルと、つかタオル多めで! ごみ捨てれるモノと服のかわりになりそうなのあったらそれも!!」

「「オムツ?」」
「おしめっていやわかんのか!?」
「「いやさっぱり」」

「は、はいい!!」


魔王とハクイがなんだそれはと動けないなか、マールが素早く反応する。


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