魔王と王の育児日記。(下書き)

花より団子よりもお茶が好き。

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第一章

藁にもすがる04

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「良かったまだ生きているぞ」

真っ裸に布をくるんだだけの赤ん坊が土草の上にただ捨てられていた。
ぎゃんぎゃぎゃんぎゃ泣き叫ぶ赤ん坊にホッとして。
魔王はすぐさま手をかざし呪文も無しに結界をはる。

「よし、結界を何重にもしておいたから邪気にやられる心配はないだろう」
「いや、やり過ぎです。これじゃあ抱き上げる事も出来ないですよ」

赤ん坊を抱き上げようとして、触れる間際、ジュッといい音をたててハクイの綺麗に伸ばされた長い爪と白い指が焦げた。

「悪い。だが人間の赤ん坊がどれほどか弱いのか想像もつかんし、森の邪気の影響を思うとな。こうすれば問題ないだろう?」

言うと魔王は泣きじゃくる赤ん坊を魔力で宙へと浮かし、自分達の中心に移動するとピタリとその動きを止めた。
宙に浮かんだ赤ん坊を丸い紫の光がおおっている。

「結界が見えるぐらいはるなんて……結界とは何か解らなくなりますね。いや、なんかもうなんでしたっけ結界って? 万能術?? それで、どうなさるおつもりですか? 人里に還します?」

ハクイは呆れた顔をした。

「人の里にこっそり置いて来たところで拾ってくれる者がいなければ結局この赤ん坊は死ぬ。とりあえず連れ帰るぞ。話はそれからだ」
「え? 連れ帰るんですか? 魔王城まおうじょうはここより邪気があるんですよ??」

さっさと歩き出す魔王にハクイが慌ててついていく。

「案ずるな。《これ》の部屋には結界をはる」
「……誰も入れない程の強い結界はやめて下さいね」

そんなこんなで今に至るのだった。

「はぁ、それでどうにもならなくなって、人間の俺を捕まえて来たと。事細かに長い長ーい説明有り難うございました」
「そうか、わかってくれたか」

魔王は話を終え満足そうに豪華な椅子に座った。

「で、なんで俺なんです?」
「それは貴方が真っ昼間の誰もが一番忙しい時間に、誰よりも一番暇そーにそこら辺をプラプラ散歩していたので、あっコイツなら連れ帰ってもだーれも困らないなと判断したからです」

魔王の後ろで今度は赤ん坊に長い髪をしゃぶられているハクイはなんとも間抜けなのだが、話終えたハクイはドヤ顔だ。
その顔に軽く苛つきつつ、青年は口を開く。

「他に方法はないんですか? 言っときますけど俺まだ未婚で子供もいないんで、こんなまだ本当に赤ん坊って感じの子、面倒みれる自信ないですよ」

    
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