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ある曇り空の公園で
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再び巡ってきた土曜日。もちろん、私はいつもの公園にいた。もはや散歩ルートとなった公園管理事務所と落とし物探し。落とし物も見つからず、落とし主にも会えないない中、ひとりで歩き続ける。
もはや確信めいたものがあった。必ず今日も誰かが落とし物を探している。
加えてもうひとつ、次に会うのはきっと、私と同じ年頃の女性だ。
まどかちゃんから始まり、少しづつ年齢が上がってきている。このペースで行くと、次は私と同じ30代の女性が現れるに違いない。
ここ最近の不思議な偶然は、間違いなく私をドキドキさせていた。
一通り探し終える。しかし、まだ誰にも声を掛けられない。
せっかくなので、いつもは通らない公園の北側まで足を伸ばすことにした。
以前、母とお茶をしたカフェを通り過ぎ、ランナーや自転車の多く通る広い舗装道路を歩く。木々の奥の方から人工の滝の音が微かに聞こえてくる。
周囲にはたくさんの人がいる。でも、私に視線を向ける人はいない。広い公園を一周し、自動販売機で飲み物を買い、ベンチに座ってゆっくりと飲む。
その頃には、気持ちはすっかり冷めていた。
私は何を期待していたんだろう。
たまたま話しかけられただけ。それを勝手に結びつけて、非日常に迷い込んだように勘違いしてしまった。
私の生活は何も変わらない。変える必要もない。
空っぽになった缶をゴミ箱に静かに押し込む。からんと乾いた音を立てて、缶は見えなくなった。
私は自転車に跨り、公園を後にした。
もはや確信めいたものがあった。必ず今日も誰かが落とし物を探している。
加えてもうひとつ、次に会うのはきっと、私と同じ年頃の女性だ。
まどかちゃんから始まり、少しづつ年齢が上がってきている。このペースで行くと、次は私と同じ30代の女性が現れるに違いない。
ここ最近の不思議な偶然は、間違いなく私をドキドキさせていた。
一通り探し終える。しかし、まだ誰にも声を掛けられない。
せっかくなので、いつもは通らない公園の北側まで足を伸ばすことにした。
以前、母とお茶をしたカフェを通り過ぎ、ランナーや自転車の多く通る広い舗装道路を歩く。木々の奥の方から人工の滝の音が微かに聞こえてくる。
周囲にはたくさんの人がいる。でも、私に視線を向ける人はいない。広い公園を一周し、自動販売機で飲み物を買い、ベンチに座ってゆっくりと飲む。
その頃には、気持ちはすっかり冷めていた。
私は何を期待していたんだろう。
たまたま話しかけられただけ。それを勝手に結びつけて、非日常に迷い込んだように勘違いしてしまった。
私の生活は何も変わらない。変える必要もない。
空っぽになった缶をゴミ箱に静かに押し込む。からんと乾いた音を立てて、缶は見えなくなった。
私は自転車に跨り、公園を後にした。
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