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第3話 はぐれ精霊術士
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海の神殿までは汽車で一駅。
その名の通り、海を臨む岬に建てられている。
駅は人で溢れかえっていた。クレスは落ち着かないように周りを見渡す。
「前に来た時は、寂しいところだったのに。」
「儀式が始まるからね。百年に一度だもの。みんなせっかくの機会を逃したくはないでしょう?」
はぐれないよう、クレスの手を握って引っ張る。
「ちょっとイアルさん!?そんないきなり手を握るなんて、俺達まだお付き合いもしていないのに!」
「え?違う違う、迷子にならないようお姉さんがちびっ子の手を引いてるだけだから。」
「あ、そういう系か。なんかすみません。」
そんなやり取りをしながら、人混みをかき分けていたその時。
突如、甲高い悲鳴が響く。
そう遠くはないが、視界内に動きはない。
「どうしたのかな。」
私が呟くより早く、クレスは声がした方へ駆け出していた。慌てて追いかける。
悲鳴の主はすぐに見つかった。
まだ幼い少女だ。うずくまり、泣き叫んでいる。
その肩を抱き、おろおろと周りを見渡すもう1人の少女。
同じ銀髪をした、よく似た少女達だった。姉妹だろうか。
2人の隣にはすでにクレスの姿があった。
姉と思われる少女は人混みを指差しながら叫んだ。
「妹の守り石の指輪を盗られたの。」
犯人はすでに走り去ったのだろう。周りの人々はざわめきながら見ているばかり。
守り石はこの国の風習のひとつ。生まれてくる子のために、泉で清めた石を用意し、指輪や首飾りとして肌身離さず身につけさせるというもの。泉の精霊と石の精霊の守護を得て、その子は健やかに育つと言われている。
石には高価な宝石が使われることも多く、残念ながら盗みを働く不届者も絶えない。
この人混みの中を逃げられては、もはや捕まえる術はない。
「君の名前は?」
クレスの問いに幼い少女は口ごもる。
助けに駆け寄ったとはいえ、少女にとって、クレスは赤の他人だ。警戒されるのは当然のこと。
だがクレスは意に介さず、人懐っこい笑顔で自分の胸を叩く。
「大丈夫、俺が呼び戻すよ。君の名前を教えて。」
その自信満々の姿に、姉は何かを期待したのだろうか。
妹を抱きしめながら、少女は口を開く。
「この子の名前は、アニス。
お願い、おばあさまから受け継いだ大切な守り石なの。」
クレスは少女達に微笑む。
「任せてよ。探し物は結構得意なんだ。」
クレスは空へと手を伸ばす。手のひらを上に向け、静かに唱える。
「我が名はクレス。アニスの守り石に宿る精霊達よ。」
クレスの足元の大地が微かに震える。
「あるべき場所へ、アニスのもとへお戻りください。」
途端、クレスの掲げた手から眩い光が放たれる。
光の中から現れたのは、指輪だ。
煌めく青い宝石に、波を象った銀の装飾。アニスの顔が明るく輝く。
「私の守り石!」
クレスの掌に舞い降りた指輪。それこそが、盗まれた少女の守り石だった。
確かにさっきまで、クレスの手の中には何もなかったのに。
これが、クレスの精霊術士としての力だ。
この世界のあらゆるものに、精霊は宿っている。
神話の時代に生まれた、世界の欠片達。そして、生き物達の生みの親。
普通の人間が、その力を感じることはできない。だが稀に、その精霊と心を通わせ、力を借りることができる人間が生まれてくる。それが精霊術士。
指輪を取り戻した少女達は、互いに手を取り合って喜んでいたが、やがてクレスの正体に気づく。
2人は青ざめた顔でクレスを振り返った。
「あなた、精霊術士様?」
周囲の人々のざわめきは、泥棒騒動の時より大きくなっていた。
姉が慌てて頭を下げる。
「精霊術士様とは知らずに、とんだ失礼を!でも私達、お礼できるお金なんて持っていなくて。ごめんなさい!」
泣きそうな彼女の様子に、誰よりも慌てたのはクレスだった。
「お金なんてとんでもない!俺が好きでやったことだし、その、てっきり喜んでもらえると思って。」
クレスは助けを求めるように、こちらを見てくる。
頼られて悪い気はしない。
私は少女達と周囲の人々を怖がらせないよう、努めて明るく声を張り上げた。
「お嬢さん方、この子はまだ修行中の見習い精霊術士なの。報酬なんて受け取ったら、怒られちゃうよ。だから安心して。むしろ、いい練習の機会をくれてありがとう。
せっかく取り戻せたんだから、笑って受け取ってもらえると嬉しいな。」
私の言葉を聞いて、姉はほっと胸を撫で下ろしている。
「そうでしたか。取り乱してすみません。本当にありがとうございました。」
姉妹の笑顔に、クレスも安心したようだ。
「お役に立ててよかった。お家は近い?家まで送らせてくれるかな。」
クレスの提案には賛成だ。人混みの中でだいぶ目立ってしまった。幼い少女達が高価な指輪を持っていることを知って、狙ってくる輩がまた出てくるかもしれない。
姉妹もそれがわかるようで、一緒に帰ることになった。家までは歩いてすぐだという。
姉妹とともに上機嫌に歩くクレスの横で、私は悩んでいた。
彼にどう伝えるべきか。
山にこもって暮らしていたという彼は、私が思う以上に世情に疎かった。
「そういえばイアルさん、精霊術ってそんな珍しいの?それにさっき俺のこと見習いって言ってたけど。」
「そのことなんだけどね、クレス。」
私は小声で彼にそっと告げる。
「あなた、このままだと捕まる。」
「え?」
精霊術士になるには、膨大な知識と洗練された技術が必要となる。そしてどんなに努力しようとも、精霊と交信し精霊術を使いこなすことができるのは一握りの選ばれた人間。どの国も術者の確保に躍起になっている。
現在この国では全ての精霊術士、及びその弟子を国が管理し、国外への移動を禁止している。精霊術士の素養があると認められた場合、直ちに国の監視下に置かれ、専門機関で学ぶことが義務付けられている。
「つまり、あなたは国の管理から逃れ、のほほんと好き放題ふらつき、気分で精霊術を濫用する犯罪者ですよ。」
「いやいや待ってよ、手続きとかはよくわからないけど、大丈夫じゃないかな?精霊術は兄さんが教えてくれてたんだし。」
「確かに登録済みの精霊術者について詳しいことは公開されていない。聞きに行ってみる?もし登録されてなかったら捕まるけど。」
「捕まるのはちょっと。」
「これ以上、人目のつく場所で術を使わない方がいいと思う。この姉妹はまだ小さくて運が良かった。」
そう、運が良かったのだ。この異常に誰も気づかなかった
指輪を取り戻してみせた、あの精霊術の異常さに。
精霊術には契約の祈り、具体的には自らの名乗りと精霊への呼び掛けを必要とする。
更に、陣と呼ばれる複雑な紋様を描く必要がある。陣によって、精霊の力を具現化するための場を整えるのだ。
戦場においてはその準備時間を短縮するため、前もって陣を刻んだ精霊石を使用することが一般的だ。その精霊石も一度の精霊術で砕け散ってしまう。
精霊術は強い力を持つが、その発動には制約が付きまとうのだ。
それなのにクレスの精霊術は、契約の祈りこそあったものの、陣を描くことがなかった。精霊石を使った形跡もない。
それは普通に考えればあり得ないこと。
だがかつて、それをやってのけた人間がいる。
精霊術の王と謳われたヴィオン・ユラフィスだ。
彼がどうしてそこまで精霊術を使いこなせたのか、誰に師事し、どこで精霊術を学んだのかは謎に包まれたまま。そしてその謎を誰にも明かすことなく、彼は消えてしまった。
代わりに現れたこの少年。
間違いなく、彼は英雄の弟だ。
「これからが楽しみね!」
心が躍る。彼はきっと、私にまだ見ぬ景色を見せてくれるに違いない。
それまでは、なんとしても守らなければ。
私は迷った末、クレスに教えるのをやめておくことにした。
そう、ヴィオン・ユラフィスその人が、この国の精霊術士管理下に入らず、行方をくらましている犯罪者であることを。
その名の通り、海を臨む岬に建てられている。
駅は人で溢れかえっていた。クレスは落ち着かないように周りを見渡す。
「前に来た時は、寂しいところだったのに。」
「儀式が始まるからね。百年に一度だもの。みんなせっかくの機会を逃したくはないでしょう?」
はぐれないよう、クレスの手を握って引っ張る。
「ちょっとイアルさん!?そんないきなり手を握るなんて、俺達まだお付き合いもしていないのに!」
「え?違う違う、迷子にならないようお姉さんがちびっ子の手を引いてるだけだから。」
「あ、そういう系か。なんかすみません。」
そんなやり取りをしながら、人混みをかき分けていたその時。
突如、甲高い悲鳴が響く。
そう遠くはないが、視界内に動きはない。
「どうしたのかな。」
私が呟くより早く、クレスは声がした方へ駆け出していた。慌てて追いかける。
悲鳴の主はすぐに見つかった。
まだ幼い少女だ。うずくまり、泣き叫んでいる。
その肩を抱き、おろおろと周りを見渡すもう1人の少女。
同じ銀髪をした、よく似た少女達だった。姉妹だろうか。
2人の隣にはすでにクレスの姿があった。
姉と思われる少女は人混みを指差しながら叫んだ。
「妹の守り石の指輪を盗られたの。」
犯人はすでに走り去ったのだろう。周りの人々はざわめきながら見ているばかり。
守り石はこの国の風習のひとつ。生まれてくる子のために、泉で清めた石を用意し、指輪や首飾りとして肌身離さず身につけさせるというもの。泉の精霊と石の精霊の守護を得て、その子は健やかに育つと言われている。
石には高価な宝石が使われることも多く、残念ながら盗みを働く不届者も絶えない。
この人混みの中を逃げられては、もはや捕まえる術はない。
「君の名前は?」
クレスの問いに幼い少女は口ごもる。
助けに駆け寄ったとはいえ、少女にとって、クレスは赤の他人だ。警戒されるのは当然のこと。
だがクレスは意に介さず、人懐っこい笑顔で自分の胸を叩く。
「大丈夫、俺が呼び戻すよ。君の名前を教えて。」
その自信満々の姿に、姉は何かを期待したのだろうか。
妹を抱きしめながら、少女は口を開く。
「この子の名前は、アニス。
お願い、おばあさまから受け継いだ大切な守り石なの。」
クレスは少女達に微笑む。
「任せてよ。探し物は結構得意なんだ。」
クレスは空へと手を伸ばす。手のひらを上に向け、静かに唱える。
「我が名はクレス。アニスの守り石に宿る精霊達よ。」
クレスの足元の大地が微かに震える。
「あるべき場所へ、アニスのもとへお戻りください。」
途端、クレスの掲げた手から眩い光が放たれる。
光の中から現れたのは、指輪だ。
煌めく青い宝石に、波を象った銀の装飾。アニスの顔が明るく輝く。
「私の守り石!」
クレスの掌に舞い降りた指輪。それこそが、盗まれた少女の守り石だった。
確かにさっきまで、クレスの手の中には何もなかったのに。
これが、クレスの精霊術士としての力だ。
この世界のあらゆるものに、精霊は宿っている。
神話の時代に生まれた、世界の欠片達。そして、生き物達の生みの親。
普通の人間が、その力を感じることはできない。だが稀に、その精霊と心を通わせ、力を借りることができる人間が生まれてくる。それが精霊術士。
指輪を取り戻した少女達は、互いに手を取り合って喜んでいたが、やがてクレスの正体に気づく。
2人は青ざめた顔でクレスを振り返った。
「あなた、精霊術士様?」
周囲の人々のざわめきは、泥棒騒動の時より大きくなっていた。
姉が慌てて頭を下げる。
「精霊術士様とは知らずに、とんだ失礼を!でも私達、お礼できるお金なんて持っていなくて。ごめんなさい!」
泣きそうな彼女の様子に、誰よりも慌てたのはクレスだった。
「お金なんてとんでもない!俺が好きでやったことだし、その、てっきり喜んでもらえると思って。」
クレスは助けを求めるように、こちらを見てくる。
頼られて悪い気はしない。
私は少女達と周囲の人々を怖がらせないよう、努めて明るく声を張り上げた。
「お嬢さん方、この子はまだ修行中の見習い精霊術士なの。報酬なんて受け取ったら、怒られちゃうよ。だから安心して。むしろ、いい練習の機会をくれてありがとう。
せっかく取り戻せたんだから、笑って受け取ってもらえると嬉しいな。」
私の言葉を聞いて、姉はほっと胸を撫で下ろしている。
「そうでしたか。取り乱してすみません。本当にありがとうございました。」
姉妹の笑顔に、クレスも安心したようだ。
「お役に立ててよかった。お家は近い?家まで送らせてくれるかな。」
クレスの提案には賛成だ。人混みの中でだいぶ目立ってしまった。幼い少女達が高価な指輪を持っていることを知って、狙ってくる輩がまた出てくるかもしれない。
姉妹もそれがわかるようで、一緒に帰ることになった。家までは歩いてすぐだという。
姉妹とともに上機嫌に歩くクレスの横で、私は悩んでいた。
彼にどう伝えるべきか。
山にこもって暮らしていたという彼は、私が思う以上に世情に疎かった。
「そういえばイアルさん、精霊術ってそんな珍しいの?それにさっき俺のこと見習いって言ってたけど。」
「そのことなんだけどね、クレス。」
私は小声で彼にそっと告げる。
「あなた、このままだと捕まる。」
「え?」
精霊術士になるには、膨大な知識と洗練された技術が必要となる。そしてどんなに努力しようとも、精霊と交信し精霊術を使いこなすことができるのは一握りの選ばれた人間。どの国も術者の確保に躍起になっている。
現在この国では全ての精霊術士、及びその弟子を国が管理し、国外への移動を禁止している。精霊術士の素養があると認められた場合、直ちに国の監視下に置かれ、専門機関で学ぶことが義務付けられている。
「つまり、あなたは国の管理から逃れ、のほほんと好き放題ふらつき、気分で精霊術を濫用する犯罪者ですよ。」
「いやいや待ってよ、手続きとかはよくわからないけど、大丈夫じゃないかな?精霊術は兄さんが教えてくれてたんだし。」
「確かに登録済みの精霊術者について詳しいことは公開されていない。聞きに行ってみる?もし登録されてなかったら捕まるけど。」
「捕まるのはちょっと。」
「これ以上、人目のつく場所で術を使わない方がいいと思う。この姉妹はまだ小さくて運が良かった。」
そう、運が良かったのだ。この異常に誰も気づかなかった
指輪を取り戻してみせた、あの精霊術の異常さに。
精霊術には契約の祈り、具体的には自らの名乗りと精霊への呼び掛けを必要とする。
更に、陣と呼ばれる複雑な紋様を描く必要がある。陣によって、精霊の力を具現化するための場を整えるのだ。
戦場においてはその準備時間を短縮するため、前もって陣を刻んだ精霊石を使用することが一般的だ。その精霊石も一度の精霊術で砕け散ってしまう。
精霊術は強い力を持つが、その発動には制約が付きまとうのだ。
それなのにクレスの精霊術は、契約の祈りこそあったものの、陣を描くことがなかった。精霊石を使った形跡もない。
それは普通に考えればあり得ないこと。
だがかつて、それをやってのけた人間がいる。
精霊術の王と謳われたヴィオン・ユラフィスだ。
彼がどうしてそこまで精霊術を使いこなせたのか、誰に師事し、どこで精霊術を学んだのかは謎に包まれたまま。そしてその謎を誰にも明かすことなく、彼は消えてしまった。
代わりに現れたこの少年。
間違いなく、彼は英雄の弟だ。
「これからが楽しみね!」
心が躍る。彼はきっと、私にまだ見ぬ景色を見せてくれるに違いない。
それまでは、なんとしても守らなければ。
私は迷った末、クレスに教えるのをやめておくことにした。
そう、ヴィオン・ユラフィスその人が、この国の精霊術士管理下に入らず、行方をくらましている犯罪者であることを。
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