悲しき化け物

腰巾着

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悲劇

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《3階層》

「今日は何階層まで行くんですか?」

「5階層くらいまで行こうと思っているよ」

「もっと潜ってもいいんじゃないないですか?」

「楽しみなのはわかるけど、見極めは大切だよ
アデルは初めてなんだし、浅い階層で慣らして
から徐々に奥へ進もうと思う」

「わかりました」

--------

しばらく歩いた
すると階段が見えた

「あれ? 魔物に一体も出くわさなかったですね」

「ああ こんなことは今までで一度もなかった。
何かがおかしい...」

「戻りますか?」

「いいや 進もう 大したことはないだろう」

《4階層》

「ゼル...なんか嫌な予感がする...」

「引き返した方がいいだろう」

「いや5階層まで行こう」

魔物の死体が転がっていた


「誰かが先に来ていたのか?」

「魔石を回収するか?」

「ああ アデル頼む」

「はい」


アデルは魔石をカバンに入れた。

「なんか魔石の色が変だね」

「なんか少し暗いな」

「見てください あんなところにも魔物が
倒れています」

「本当だな しかもこいつはこの階層にはいない
レッドウルフじゃないか、倒したヤツは相当の手練だな」

「いや どうしてレッドウルフがこんなところにいるの?」

「さあ...」

「戻った方がいいんじゃない?」

「いやもうすぐ5階層だ。進もうか」

「...分かったわ」

「何故倒したヤツは魔石を取らんのだ?」

「...拾っていこう」

《5階層》

魔石を拾って3分ほど歩いたら階段が見つかって...
降りた

「5階層まで来たな...戻ろうか」

「もう少しだけ進んで見ませんか? なんか導かれている気がします。」

「導かれている? そうか...じゃあ 行こうか」

「え? 進むの?」

「ああ」

ゼルは力強く返事をした。それは怒号のようにも
感じる

「でも この階層で引き返そうね?」

「ああ 悪いな 」

彼らは進むことにした。
ずっとずっと...その先に...

「なんか この階層 長くないですか?」

「確かに...もう10分くらい歩いている気がするわ」

「ほら 階段が見えたよ...」

「本当だ それじゃ 引き返しましょ」

「あぁ」

全員が振り返り帰ろうとする。

「カッ カッ コツ カッ」

階段から何かが上ってくる音がする。

全員は冷や汗をかいた。

「全員 階段から距離をとれっ!」

「何かが来る!」

上がってきたのは真っ白い...骨

「...骨 スケルトンか 」

「ふぅ スケルトンなら倒せそうね」

「...待て 何かがおかしい 全員構えろ」

その声とともに全員が構える

スケルトンが動き出した。
アデルに向かって 突撃してきた

「なっ 早い... サーノン 頼んだ」

「ああ」

サーノンはスケルトンの持っていた剣を
盾で防いだ。

「フンッ!」

「ギギギギギギギ」

スケルトンの力強い攻撃がサーノンを苦しめる

「ぐぬぬぬ!」

スケルトンの力がさらに上昇する

「なっっっ!」

サーノンは迷宮の壁の方まで飛ばされてた

「サーノン!」

転移ワープを使います」

「ああ 頼んだ」

ミルシアに魔力が集まっていく

転移ワープ


「アデッ」
ゼルが何かを叫ぶがその声がかき消された

「ヒュォン」


こうしてパーティーは地上まで転移した

...アデル以外

「あれ...皆?」

スケルトンがこっちに向かってくる

「あっ あああっ」

スケルトンは剣を振り上げる

「やめて やめっ どうして みんなどうして あぁぁ」

アデルは叫ぶ

ただ無常にも剣は振り下ろされた

「ズシャッ」

アデルの腹に深く刺さった...

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ"ァ"ァ"ァ"  あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッっっ」

絶叫とともに肉が抉れる

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛? アアアアアアア?  あ?あああ?」

血が吹き出し止まらない...口からも血が溢れ出す

「ハハハハハハハハはぁぁぁぁはは ハハハハッっっ」

絶叫は笑い声に変わった
怒りと絶望をかき消すように狂ったように笑った


アデルはもう助からないと悟った。
心無しとアデルの目にはそのスケルトンが笑っているように映った。

「ははっ」

走馬灯が流れ込む

「僕はS級... 冒険者に...」

絞り出すように声を出す

---------


「 ああ 辛そうに...すぐに助けてあげよう」

破壊ブレイク

その声とともにスケルトンは跡形もなく
消し飛んだ

「あぇ?」

完全回復パーフェクトヒール

緑色の光とともにアデルの傷が再生する
痛みもなくなっている

「な?」

「辛かったらだろう 私が来たからにはもう大丈夫
安心してくれ」

「あ゛り゛ゴバッ」

肺に溜まっていた血液が吐き出せれる

「ああ 焦らなくていい ゆっくりと調子を取り戻してくれ」

それから10分経った

「はぁ はぁ  もう大丈夫です...」

「そうか それは良かった」

アデルを助けた男は白髪で奇抜な格好をしている20歳くらいの人間だった

「あ ぁ あ゛りがとう゛ ございました゛...」

アデルの目からは大粒の涙がこぼれた

「ああ 助かって本当に良かった」

「う゛っ」

「君の名前はなんて言うんだ」

「ア゛ アデル です」

「アデルか いい名前だね」

「あなたはっ なんて言うんですか?」

「名前はないかな...言うなら創造主かな」

「え? どういう意味ですか?」

「私はこの世界の神だよ」

アデルはその日 神と名乗る人物と出会った















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