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君が嫌いで…好きでした。
しおりを挟む伊藤「おい東!?」
なんだあいつ…聞こえてたはずなのに
それに泣いてたよな…?
何かあったのか!?
兎に角東を追いかけないと…
奏叶「伊藤…!!千菜見なかった!?」
こいつ…あの時も東の事探しにきた…
てゆうか仮にも教師に向かって呼び捨てかよ
相変わらず生意気だな…
右腕…見たところ骨折か
東が泣いてたのはこいつが原因か…
だとしたらまずいな…
伊藤「東は俺が追いかける
お前が原因なんだろ
だったらお前が追いかけるのはまずい」
東が泣いたのはあの時以来なんだ
あの時以来どんな事があっても泣かなかった東が…
きっと今すごく苦しんでるはずだ…っ
奏叶「うるさいっお前に任せてたまるか
千菜は俺が助ける!」
そう言ってすぐに走っていった
……っ真っ直ぐに俺を睨むか
相変わらず生意気な奴だな…
今回はあいつに賭けてみるか
この賭けが吉と出るか凶と出るか…東…
――私はひたすら階段をかけ上がって屋上に飛び出した
千菜「はぁっ…はぁ…」
まだ肌寒い風が通り抜ける
青い空がさっきよりも近く感じる
久しぶりにこんなに走った…
胸が苦しいのは走ったから?それとも…
考えれば考えるほど胸が苦しかった
七瀬奏叶があんな怪我をしたのは私に関わったから
私のせいだ…
今度は大丈夫かもしれない
七瀬奏叶なら…って信じた私が馬鹿だった
罰が当たったんだ…
こんなことになるなら…っ!
バンっ…と屋上のドアが開いた
奏叶「千菜…!!」
勢いよく開けられた屋上の扉
なんで追いかけてくるの…
千菜「…七瀬奏叶…?」
ずっとそうだった
どんなに突き放しても笑って真っ直ぐにぶつかってくる
あんな大ケガしていてもまだ私に関わろうとしてくる
もうやめてよ…私はもう嫌なの…!
千菜「なんで追いかけてくるの!?
早く戻って…!さっきも言ったでしょ!?
私にもう2度と関わらないで!!」
七瀬奏叶は私なんかと居るよりさっきの人達と居る方が幸せなんだから…!
奏叶「千菜…なんでこんなところ…
まさかと思うけど死ぬ気じゃないよね…?」
死ぬ…?
私は死ぬ事がどんな事か嫌という程分かってる
こんな思いをするたびに何度死のうとしたか…
それでも…辛くても苦しくてもここまで生きてきたのは楓の…お兄ちゃんの言葉があったから
両親が死んで、私達を引き取ってくれた祖父母も死んでしまって…私と楓だけで暮らしている時、私は1度だけお兄ちゃんに死にたいと言ってしまった事があった
楓「千菜、死んだら終わりなんだ
父さんと母さん、じいちゃん、ばぁちゃんの分まで俺達は生きなきゃいけない
だからどんなに辛い事があっても生きることは諦めちゃ駄目なんだ」
――…あの時の楓の言葉には少しだけ救われた
だからその後にお兄ちゃんが死んでも、真琴が死んでも…その言葉を思い出しては死にたい気持ちを押し殺して生き続けてきた
千菜「そうだよね…
死んでしまえばもう2度とこんな気持ちを味あわなくて済むんだよね…」
奏叶「千菜…!?」
千菜「…でも考えた事ある…!?
死ぬ事がどんな事なのか…っ
何度…死にたいと考えたか分からない…っ
死のうと思っても怖くて出来ない…!
惨めに生き続ける私の気持ちが…あなたに分かるわけない!!」
奏叶「…確かに分からないよ
千菜の気持ちは…
だけど全部じゃない
千菜は今苦しんでる
そんな千菜をほっとけるわけない
1人には絶対させない」
一歩…また一歩…
七瀬奏叶は私に近づいてきた
私はそれが怖かった
千菜「来ないでよ…!
誰かをまた失うくらいなら…っ私はずっと1人でいい…!」
奏叶「そんな事させない」
なにこれ……
私…なんで七瀬奏叶に抱き締められてるの…?
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