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君が嫌いで…好きでした。
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私は静かに目を開けた
いつもと変わらない部屋
チョコがエサを頂戴とねだっていた
千菜「…ごめんチョコ
今あげるから待っててね」
ベッドから降りてチョコにエサをあげ
…結局真琴も死んでしまった
私の目の前で…
お葬式の時に最後に触れた真琴の手は大好きだったあの頃とは違いとても冷たかった
そして私は本当に1人になった
噂もあっという間に広がり関わろうとする人も居なくなった
辛くて苦しかった…
でもそれでもいいと思えた
これ以上私に関わって誰かがまた死ぬところをもう見たくは無かったから
1人でもいい
どんな酷い言葉を浴びせられようとも、もう誰も私に関わらないで
もう誰も死なないで
そう強く願った
だけど…今、私の名前を呼んでくれる人が居る
七瀬奏叶…
どんなに突き放してもまた笑顔で話しかけてくる
どうしてあんな事が言えるんだろう
誰にも話した事のない私の気持ちを理解してくれて真っ直ぐに好きだと伝えてくる
それにさっきの言葉…
七瀬奏叶が言うと本当に大丈夫な気がして不思議…
七瀬奏叶を信じてみたくなる…
だけど駄目…
私のその甘い気持ちがまた…
でも…気づいてしまった…
私は少しずつ七瀬奏叶に惹かれている
ねえ…私はどうしたらいいの?
誰か教えて…
ー…次の日
答えが出せなかった私は伊藤先生に相談してみる事にした
いつもの様に保健室のドアを開けると先生はとてもびっくりしていた
伊藤「うおっびっくりした…東か、脅かすなよ」
先生は何故かパンを食べていた
私がじっと見ていると聞く前に答えてくれた
伊藤「あ…これか?
今日ちょっと寝坊して食べてる時間なかったんだよ
他の先生にはナイショだぞ?」
笑うと少し幼く見える伊藤先生
こうして居ると病気なのが嘘みたいに思えるけど…
伊藤「それで?またこんな朝早くに来てどうした?」
千菜「…先生に少し相談したい事があって」
伊藤「…そうかそうか
嬉しいな~東が俺を頼ってくれて
分かった。けどこれ食べ終わるまでちょっと待ってな」
私はコクンと頷いた
パンを食べ終わると先生は何か薬を出して飲み始めた
それを見て心臓が高鳴った
千菜「先生…今の薬って…
もしかして病気が悪化したんじゃっ」
私が先生と関わったりしたから…!
伊藤「…ぷ…はははっ
そんなに不安そうな顔で心配しなくても大丈夫
ただの頭痛薬さ」
千菜「頭痛薬…なんだ…良かった…」
伊藤「そう心配するな東
最近は本当に調子がいいんだ
きっとこれのおかげだな」
先生は私の作った御守りを見せた
先生の笑顔を見て私もどこか安心した
伊藤「さて、ご飯も食べたし、相談があるって言ってたな
よし話してみな?」
千菜「昨日…改めて七瀬奏叶に付き合ってって…言われた」
伊藤「あぁ…あいつか。で…返事したのか?」
私は首を横に振って答えた
千菜「先生…私どうしたらいいか分からない」
伊藤「…東はあいつの事どう思ってる?
あいつが好きか?」
私は…七瀬奏叶の事…
私はただ頷いた
気づいてしまった
自分が七瀬奏叶を想っている事に…
千菜「だけどまた…繰り返してしまうんじゃないかって…
七瀬奏叶まで居なくなっちゃうんじゃないかって…
先生…私怖いの
どうしていいか分からない
七瀬奏叶まで居なくならないでほしい…」
失いたくないから今まで避け続けて来たのに…
千菜「やっぱり私は1人の方が…」
伊藤「東、それは違うな」
千菜「先生…?」
伊藤「東…お前は俺の大事な生徒の1人だ
だから教師としてお前にアドバイスしてやる
今のお前は怖くて逃げてるだけだ
自分がもうあんな想いをしたくないとあいつの気持ちから逃げてるだけだ
お前が1人で居ようとするのは誰かを守る為
でも本当は1人で居たくないはずだ」
千菜「違う…私は1人でも…」
伊藤「ならなんで俺の所に来た?
東、言葉ではなんとでも言える
だけど自分の心は誤魔化せない
お前は本当は誰かと一緒に居たいと強く想ってる
だから今も悩んでいるんだろ?
東…もういいんだ我慢しなくても
過去を振り返るな
過去を消せとは言わない
確かにお前の家族が亡くなってしまった事実は消えない
だからといってお前は過去に捕らわれすぎだ
もう…自分を責める必要はないんだ東
あいつならきっと東の過去を受け止めてくれる
そして一緒に進もうとするだろう
あいつとならきっと新しい未来に行けるはずだ」
千菜「過去…そして未来…?」
伊藤「もう自分の中で答えも出てきているはずだ
いい加減自分の幸せを考えたらどうだ?」
千菜「でも…」
伊藤「…まぁすぐに答えを出すのは難しいもんだ
俺からしたら東はまだ子どもだもんな
いっぱい悩んでゆっくり自分の後悔しない答えを出せばいいさ」
私が望む未来…私の本当の想い…
"いいか千菜
何もしなきゃ何も始まらないんだ
怖くても立ち向かう勇気がなきゃな"
お兄ちゃん……
伊藤「行ってこい
そろそろ授業が始まるぞ」
千菜「ありがとう…先生」
私の選ぶ道は…
いつもと変わらない部屋
チョコがエサを頂戴とねだっていた
千菜「…ごめんチョコ
今あげるから待っててね」
ベッドから降りてチョコにエサをあげ
…結局真琴も死んでしまった
私の目の前で…
お葬式の時に最後に触れた真琴の手は大好きだったあの頃とは違いとても冷たかった
そして私は本当に1人になった
噂もあっという間に広がり関わろうとする人も居なくなった
辛くて苦しかった…
でもそれでもいいと思えた
これ以上私に関わって誰かがまた死ぬところをもう見たくは無かったから
1人でもいい
どんな酷い言葉を浴びせられようとも、もう誰も私に関わらないで
もう誰も死なないで
そう強く願った
だけど…今、私の名前を呼んでくれる人が居る
七瀬奏叶…
どんなに突き放してもまた笑顔で話しかけてくる
どうしてあんな事が言えるんだろう
誰にも話した事のない私の気持ちを理解してくれて真っ直ぐに好きだと伝えてくる
それにさっきの言葉…
七瀬奏叶が言うと本当に大丈夫な気がして不思議…
七瀬奏叶を信じてみたくなる…
だけど駄目…
私のその甘い気持ちがまた…
でも…気づいてしまった…
私は少しずつ七瀬奏叶に惹かれている
ねえ…私はどうしたらいいの?
誰か教えて…
ー…次の日
答えが出せなかった私は伊藤先生に相談してみる事にした
いつもの様に保健室のドアを開けると先生はとてもびっくりしていた
伊藤「うおっびっくりした…東か、脅かすなよ」
先生は何故かパンを食べていた
私がじっと見ていると聞く前に答えてくれた
伊藤「あ…これか?
今日ちょっと寝坊して食べてる時間なかったんだよ
他の先生にはナイショだぞ?」
笑うと少し幼く見える伊藤先生
こうして居ると病気なのが嘘みたいに思えるけど…
伊藤「それで?またこんな朝早くに来てどうした?」
千菜「…先生に少し相談したい事があって」
伊藤「…そうかそうか
嬉しいな~東が俺を頼ってくれて
分かった。けどこれ食べ終わるまでちょっと待ってな」
私はコクンと頷いた
パンを食べ終わると先生は何か薬を出して飲み始めた
それを見て心臓が高鳴った
千菜「先生…今の薬って…
もしかして病気が悪化したんじゃっ」
私が先生と関わったりしたから…!
伊藤「…ぷ…はははっ
そんなに不安そうな顔で心配しなくても大丈夫
ただの頭痛薬さ」
千菜「頭痛薬…なんだ…良かった…」
伊藤「そう心配するな東
最近は本当に調子がいいんだ
きっとこれのおかげだな」
先生は私の作った御守りを見せた
先生の笑顔を見て私もどこか安心した
伊藤「さて、ご飯も食べたし、相談があるって言ってたな
よし話してみな?」
千菜「昨日…改めて七瀬奏叶に付き合ってって…言われた」
伊藤「あぁ…あいつか。で…返事したのか?」
私は首を横に振って答えた
千菜「先生…私どうしたらいいか分からない」
伊藤「…東はあいつの事どう思ってる?
あいつが好きか?」
私は…七瀬奏叶の事…
私はただ頷いた
気づいてしまった
自分が七瀬奏叶を想っている事に…
千菜「だけどまた…繰り返してしまうんじゃないかって…
七瀬奏叶まで居なくなっちゃうんじゃないかって…
先生…私怖いの
どうしていいか分からない
七瀬奏叶まで居なくならないでほしい…」
失いたくないから今まで避け続けて来たのに…
千菜「やっぱり私は1人の方が…」
伊藤「東、それは違うな」
千菜「先生…?」
伊藤「東…お前は俺の大事な生徒の1人だ
だから教師としてお前にアドバイスしてやる
今のお前は怖くて逃げてるだけだ
自分がもうあんな想いをしたくないとあいつの気持ちから逃げてるだけだ
お前が1人で居ようとするのは誰かを守る為
でも本当は1人で居たくないはずだ」
千菜「違う…私は1人でも…」
伊藤「ならなんで俺の所に来た?
東、言葉ではなんとでも言える
だけど自分の心は誤魔化せない
お前は本当は誰かと一緒に居たいと強く想ってる
だから今も悩んでいるんだろ?
東…もういいんだ我慢しなくても
過去を振り返るな
過去を消せとは言わない
確かにお前の家族が亡くなってしまった事実は消えない
だからといってお前は過去に捕らわれすぎだ
もう…自分を責める必要はないんだ東
あいつならきっと東の過去を受け止めてくれる
そして一緒に進もうとするだろう
あいつとならきっと新しい未来に行けるはずだ」
千菜「過去…そして未来…?」
伊藤「もう自分の中で答えも出てきているはずだ
いい加減自分の幸せを考えたらどうだ?」
千菜「でも…」
伊藤「…まぁすぐに答えを出すのは難しいもんだ
俺からしたら東はまだ子どもだもんな
いっぱい悩んでゆっくり自分の後悔しない答えを出せばいいさ」
私が望む未来…私の本当の想い…
"いいか千菜
何もしなきゃ何も始まらないんだ
怖くても立ち向かう勇気がなきゃな"
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伊藤「行ってこい
そろそろ授業が始まるぞ」
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