君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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学校から帰ってきた私は、部屋の明かりをつけ
て、買ってきた荷物を机に置いた
チョコがお帰りと言うようにひょこひょこと出てきた

千菜「おいでチョコ
今日は一緒にご飯食べよ」

かごを開けて手を差し出すと怖がる事なく私の手に乗ってきた
ふわふわして小さくて可愛い…
チョコを机の上に放して、餌をあげると食らいつくように食べ始めた
私も座って野菜ジュースを飲んだ
ご飯終わり。よし作ろうかな…
買ってきた袋をがさがさと漁る
チョコがなにこれ?って表情で近づいてきた

千菜「出来てからのお楽しみだよ」

オルゴールを流しながらソーイングセットでチクチクと材料を縫い始めた
1つ1つ…しっかり思いを込めながら…

千菜「………できた」

窓から太陽の光が射し込んで来た
結局朝になっちゃった
不器用だしうたた寝しちゃったし結構時間かかっちゃった…
でも完成して良かった
すぐに渡せる
私の膝の上で丸くなって寝ていたチョコが起きて私を見た

千菜「見てチョコ。出来たよ」

近づいてクンクンと匂いを嗅いでなにこれ?と言ってるように私を見た

千菜「御守り。守ってくれるといいな…」

それにしても朝までかかるとは思わなかった…
今から寝ても起きれないしそれに早く渡したい
とりあえずお風呂入ろ…
チョコをかごの中に戻して私はお風呂に向かった
お風呂から上がり支度をすると時刻は7時ちょっと過ぎ
いつもより少し早いけど…たぶん居ると思う

千菜「じゃ、チョコ行って来るね」

ブーツを履いて玄関を開けると眩しいくらいの白い景色が広がっていた
白く降り積もった雪がキラキラと輝く
なんだか違う世界みたい…
学校に着くとほとんど誰も居なかった
だけど…もう来てるはず
私は一目散にある場所へ向かって、見慣れたドアを開けた

ガラッ

伊藤「うわ!?ビックリした…
東?こんな早くに来るなんて珍しいな
何かあったのか?」

私が向かったのは保健室の伊藤先生の所だった

千菜「…おはよう先生
先生に渡したいものがあって来たの」

伊藤「渡したいもの?
変な物じゃないだろうな?」

私は小さな袋に入れたお守りを先生に渡した
先生は不思議そうに袋を開けて中身を取り出した

伊藤「…御守り?しかもこれ手作りじゃないのか?
え?…東が作ったの?」

千菜「先生の病気が治りますようにって…」

"先生死なないで"はなぜか言えなかった

伊藤「うわぁ…ありがとう東
これさえあれば病気なんて1発だよ!!」

御守りを見て笑顔を見せる先生…

千菜「先生大袈裟…」

伊藤「本当ありがとな。大事にするよ」

……良かった。喜んで貰えて良かった
頑張って作って良かった
お守りを渡して安心した私はベットへと足を運んだ

伊藤「え、おい。寝るのか?」

千菜「それ作ってたら寝るの忘れてた…」

伊藤「ふはっ…なんだそれ
わざわざ俺の為に徹夜して作ってくれたのか?
東は優しいな」

千菜「……先生…それって馬鹿にしてるの?」

伊藤「んー?どうだろうな
ま、いいさ
今日は好きなだけここで寝てな
そのまま授業受けても駄目だろ(笑)」

先生はご機嫌だ…
だけど今日の先生はどこか意地悪だ…
そして本当に眠たかった私はベットに入るとすぐに深い眠りについた
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