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*秋の彼岸祭り
秋の彼岸祭り#19
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しばらくすると部屋のドアをノックする音が聞こえて、ドアを開けるとそこには風呂上がりの蓮の姿があった
蓮「あ、琉、上がったよ~
お次どうぞ♪」
無邪気に笑う蓮だったけど、その髪はまだ濡れたまま…というより乾かした感じも無さそうだけど
蓮の髪に手を伸ばして触れながら話しかける
琉「まだ濡れてるじゃん
乾かしてこなかったわけ?」
蓮「あ、琉が待ってるから先に呼びに来ようかなって思って
ちゃんと乾かすよ~」
琉「そうして」
そのまま蓮と一緒に風呂の方へ戻り、蓮は洗面所へ
琉「ちゃんと乾かせよ」
蓮「分かってるよ~?
どうせだったら琉が上がってくるの待ってようかなぁ」
琉「そうゆうのいいって
疲れてるんだから、俺を待つ暇があったらさっさと休めよ
まだ、明日もあるんだから」
蓮「はーい、じゃぁ、今のうちに言っておくね
琉、今日もお疲れ様、お休みなさい」
にっこりと微笑んでそんな事を言う蓮に連れて笑みが溢れる
琉「ん、蓮もお疲れ、お休み」
たった一言に疲れが無くなるような気分になるな
色々と疲れた1日だったけど、穏やかな気持ちで1日目が終わった
そして翌日、2日目も怒濤の勢いで過ぎていった
特に大きな問題もなかったし、昨日同様に蓮と屋台を回ることも出来た
俺にとって問題が起きたのは最終日の月曜日だった
最終日の3日目、屋台は片付き、今日は祈祷やお祓いのみがメイン
それも午前中で受付が終わる
平日ということもあり、客はこの2日間に比べたら対したこと無い
こっちのメンツも天沢は別件の仕事、杉山は外せない授業があると言うことで今日は居ない
俺は家業の手伝いと言うことで学校を休み、蓮も休みをとったらしい
蓮「お父さんとお母さんの許可は貰ってるから♪」
と嬉々として話す蓮
いつの間に…ってきり蓮は普通に学校に行くもんだと思ってたけど…まぁ、こうなったもんはしょうがないか…
それから今日は蓮が俺の仕事を見たいという事で、蓮に受付と案内係を頼み、お祓いの最中は隅に座って、まるで見学してるかのようにまじまじと眺めていた
別に支障はきたさないけど、こんな風に見られている事はそんなに無いから不思議な感じがする
そんな感じで黙々と祈祷とお祓いを繰り返して、12時近くになると俺は蓮に声をかけた
琉「蓮、あの人達が最後の客だし、ここはもういいから先に戻ってご飯食べてこいよ」
蓮「え、終わるまで待ってるよ?」
琉「大丈夫だって
お客さんの前で腹の虫が鳴る方が恥ずかしいだろ」
そう俺が言うと少し恥ずかしそうな表情を見せる
蓮「まるで私のお腹が鳴る前提なんだけど…」
琉「あり得そうだし」
蓮「もう…じゃぁ、お言葉に甘えさせていただきますよ~
鳴らない自信無いしね」
この様子からしてやっぱり腹減ってきてるんだろうな
琉「ん、俺も終わったら行くから、また後でな」
蓮「うん、あと少し頑張ってね」
この時、やっぱり一緒に居れば良かったと後で少し後悔した
そして30分が過ぎた頃、漸く最後のお客さんのお祓いが済み、無事に3日間の彼岸祭りを終えた
陸人「ふぅー、やっと終わったな
琉、お疲れ」
琉「父さんもお疲れ」
陸人「後は片付けが終われば終わりだな
取りあえずご飯食べて、祭りが終わったばかりだし、ゆっくりと体を休めて、明日から本格的に片付けを始めるとしようか」
琉「ん、そうしよう」
陸人「はぁ~、終わったと思うと本当、お腹が空くな
早く華のご飯が食べたいよ」
琉「そうだね」
父さんと一端、着替えてキッチンに戻ると母さんと洗い物を手伝っている西園寺の姿があった
華「あ、お帰り2人共
最後のお仕事お疲れ様
今用意するから座ってて」
そのまま父さんと一緒にご飯を食べ終わりひと息ついた
陸人「ふわぁぁ…ご飯食べたら眠気が襲ってきた…」
華「この3日間の忙しかったもんね
片付けは明日から始めるんでしょ?
折角なら寝てきたら?」
陸人「うーん、そうしようかな
後で起こしてよ」
華「はいはい、いってらっしゃい」
父さんが眠たそうに出ていき、俺は母さんに声をかけた
琉「母さん、蓮は?」
戻ってきてから蓮の姿を見てないけど…
華「蓮ちゃんなら参道の掃除してくるってさっき出ていったよ~
本当働き者ね」
少しは休めば良いものを…
琉「分かった、ちょっと行ってくる」
俺は蓮を探しに外に出た
祭りも終わり人で溢れていたこの場所も、あっという間にいつもの静けさを取り戻していた
参道に来てみたものの蓮の姿が見当たらない
…掃除をした形跡はある
所々落ち葉が集められてるけど、終わった感じではない
蓮の姿が見えないとなると何かあったとしか思えない
また霊絡みか?
それにしては霊の気配は感じない
そのまま見渡しているとほうきが立て掛けてあった
掃除の途中でどっか行った感じか?
そのほうきの方に足を運ぶとそこの地面に微かに足跡が2人分
その足跡が建物の裏手の方に微かに続いていた
不思議なのは1つが蓮の足跡だとしてもう1つは誰のものか
そして人目を避けるように建物の裏側へ続いてるのも…心当たりはあるけど
琉「……」
俺は取り合えずその足跡を辿って裏側の方へ足を進めた
裏側へ近づくと微かに話し声が聞こえた
そして少し覗くと勘が当たったようにそこには蓮と榊の姿があった
蓮「あ、琉、上がったよ~
お次どうぞ♪」
無邪気に笑う蓮だったけど、その髪はまだ濡れたまま…というより乾かした感じも無さそうだけど
蓮の髪に手を伸ばして触れながら話しかける
琉「まだ濡れてるじゃん
乾かしてこなかったわけ?」
蓮「あ、琉が待ってるから先に呼びに来ようかなって思って
ちゃんと乾かすよ~」
琉「そうして」
そのまま蓮と一緒に風呂の方へ戻り、蓮は洗面所へ
琉「ちゃんと乾かせよ」
蓮「分かってるよ~?
どうせだったら琉が上がってくるの待ってようかなぁ」
琉「そうゆうのいいって
疲れてるんだから、俺を待つ暇があったらさっさと休めよ
まだ、明日もあるんだから」
蓮「はーい、じゃぁ、今のうちに言っておくね
琉、今日もお疲れ様、お休みなさい」
にっこりと微笑んでそんな事を言う蓮に連れて笑みが溢れる
琉「ん、蓮もお疲れ、お休み」
たった一言に疲れが無くなるような気分になるな
色々と疲れた1日だったけど、穏やかな気持ちで1日目が終わった
そして翌日、2日目も怒濤の勢いで過ぎていった
特に大きな問題もなかったし、昨日同様に蓮と屋台を回ることも出来た
俺にとって問題が起きたのは最終日の月曜日だった
最終日の3日目、屋台は片付き、今日は祈祷やお祓いのみがメイン
それも午前中で受付が終わる
平日ということもあり、客はこの2日間に比べたら対したこと無い
こっちのメンツも天沢は別件の仕事、杉山は外せない授業があると言うことで今日は居ない
俺は家業の手伝いと言うことで学校を休み、蓮も休みをとったらしい
蓮「お父さんとお母さんの許可は貰ってるから♪」
と嬉々として話す蓮
いつの間に…ってきり蓮は普通に学校に行くもんだと思ってたけど…まぁ、こうなったもんはしょうがないか…
それから今日は蓮が俺の仕事を見たいという事で、蓮に受付と案内係を頼み、お祓いの最中は隅に座って、まるで見学してるかのようにまじまじと眺めていた
別に支障はきたさないけど、こんな風に見られている事はそんなに無いから不思議な感じがする
そんな感じで黙々と祈祷とお祓いを繰り返して、12時近くになると俺は蓮に声をかけた
琉「蓮、あの人達が最後の客だし、ここはもういいから先に戻ってご飯食べてこいよ」
蓮「え、終わるまで待ってるよ?」
琉「大丈夫だって
お客さんの前で腹の虫が鳴る方が恥ずかしいだろ」
そう俺が言うと少し恥ずかしそうな表情を見せる
蓮「まるで私のお腹が鳴る前提なんだけど…」
琉「あり得そうだし」
蓮「もう…じゃぁ、お言葉に甘えさせていただきますよ~
鳴らない自信無いしね」
この様子からしてやっぱり腹減ってきてるんだろうな
琉「ん、俺も終わったら行くから、また後でな」
蓮「うん、あと少し頑張ってね」
この時、やっぱり一緒に居れば良かったと後で少し後悔した
そして30分が過ぎた頃、漸く最後のお客さんのお祓いが済み、無事に3日間の彼岸祭りを終えた
陸人「ふぅー、やっと終わったな
琉、お疲れ」
琉「父さんもお疲れ」
陸人「後は片付けが終われば終わりだな
取りあえずご飯食べて、祭りが終わったばかりだし、ゆっくりと体を休めて、明日から本格的に片付けを始めるとしようか」
琉「ん、そうしよう」
陸人「はぁ~、終わったと思うと本当、お腹が空くな
早く華のご飯が食べたいよ」
琉「そうだね」
父さんと一端、着替えてキッチンに戻ると母さんと洗い物を手伝っている西園寺の姿があった
華「あ、お帰り2人共
最後のお仕事お疲れ様
今用意するから座ってて」
そのまま父さんと一緒にご飯を食べ終わりひと息ついた
陸人「ふわぁぁ…ご飯食べたら眠気が襲ってきた…」
華「この3日間の忙しかったもんね
片付けは明日から始めるんでしょ?
折角なら寝てきたら?」
陸人「うーん、そうしようかな
後で起こしてよ」
華「はいはい、いってらっしゃい」
父さんが眠たそうに出ていき、俺は母さんに声をかけた
琉「母さん、蓮は?」
戻ってきてから蓮の姿を見てないけど…
華「蓮ちゃんなら参道の掃除してくるってさっき出ていったよ~
本当働き者ね」
少しは休めば良いものを…
琉「分かった、ちょっと行ってくる」
俺は蓮を探しに外に出た
祭りも終わり人で溢れていたこの場所も、あっという間にいつもの静けさを取り戻していた
参道に来てみたものの蓮の姿が見当たらない
…掃除をした形跡はある
所々落ち葉が集められてるけど、終わった感じではない
蓮の姿が見えないとなると何かあったとしか思えない
また霊絡みか?
それにしては霊の気配は感じない
そのまま見渡しているとほうきが立て掛けてあった
掃除の途中でどっか行った感じか?
そのほうきの方に足を運ぶとそこの地面に微かに足跡が2人分
その足跡が建物の裏手の方に微かに続いていた
不思議なのは1つが蓮の足跡だとしてもう1つは誰のものか
そして人目を避けるように建物の裏側へ続いてるのも…心当たりはあるけど
琉「……」
俺は取り合えずその足跡を辿って裏側の方へ足を進めた
裏側へ近づくと微かに話し声が聞こえた
そして少し覗くと勘が当たったようにそこには蓮と榊の姿があった
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