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*深まる想い
深まる想い#9
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琉の御札が祐哉の体に触れると祐哉は顔を微かに歪めた
祐哉「うっ…なんだこれ…なんか気持ち悪い…」
琉「当然だろ、無理矢理引き離してるんだから気分を害するのは当然だな
けど蓮の苦しみに比べれば随分とマシだろうが」
不思議と空気が冷たくピリついた気がした
琉が怒っているのがひしひしと伝わってくる
祐哉と蓮の取り憑かれた繋がりを断ち切ると、琉は祐哉さんが近づかないように、祐哉さんと私達に別々の結界を作り出した
蓮の顔を覗くと苦しんでいた表情がフッと和らいだ
桜「蓮…良かった…」
琉「桜、1人で不安だっただろ
もう大丈夫だから泣くな」
桜「うん…うん…っ」
琉「…あと1日遅かったら結果は最悪だっただろうな
間に合って良かった
さて…お前だけど」
琉が再び祐哉に目を向けると、祐哉も口を開いた
祐哉「お前かもしかして蓮ちゃんの彼氏…?
彼氏だろうが誰だろうが勝手なことするなよ!
俺は蓮ちゃんと居たいんだよ!」
なんで祐哉はそこまで蓮に執着するの…?
琉「煩い、俺は心底頭に来てるんだ
大体お前は嘘をついてるだろ」
桜「嘘…?」
私が祐哉の方を見ると心当たりがあるように目を反らして黙りこんだ
琉「桜に連絡貰った時から可笑しいと思ってたんだ
体に戻れなかっただなんてあり得ない話だからな
本来生き霊が自分の体を前にして戻れないなんて事は無いんだよ
生き霊は無意識に体から出てしまった状態なだけで、自分の意思さえあれば戻るなんて簡単な事なんだよ
昨日こいつは自分の体を目の前にして確実に戻れていた筈なんだ
お前も分かっていただろうが」
祐哉「それは…」
祐哉のこの様子…嘘じゃない
本当に私達を騙していたんだ
桜「祐哉、今、琉が言ったことは事実なの?」
祐哉「……」
桜「本当なんだね…!?
私達を騙してたの!?
蓮は今まであんたの事を思って、助けようとして一生懸命やっていてくれたのに!
どうしてそんな事をするの!?」
裕哉「俺はただ蓮ちゃんと一緒に居たかっただけなんだよ
あのまま終わりなんて嫌だったんだって!
俺…っ、蓮ちゃんに惚れたんだ
見ず知らずの俺のた為に一生懸命になってくれて、こんなに健気な子初めてだったんだ!」
やっぱり…どことなくそうなのかもしれないって思ってた
でも…だからって許せることじゃない…!
桜「ふざけないでよ!
あんたの都合で蓮は死ぬかも知れなかったのに!」
裕哉「死なないかも知れないし、そんなの後で考えれば良いじゃん!」
次の瞬間、祐哉の体がまるで雷に打たれるようにバチッと音を立てた
祐哉は痛そうに声を漏らした
桜「琉…っ」
琉の手には1枚の御札
琉がやっているのは目に見えて分かった
琉「…ふざけんなよ
こいつ等の親切心を踏みにじってお前の勝手なわがままでこいつ等がどんだけ苦しんだと思ってんだ?
蓮に惚れた?側に居たかった?
お前なんかの事情知るかよ
仮にも惚れた女が自分のせいで苦しんでるのを見て何も思わなかったのかよ
そんなのより自分の気持ちの方が大事だったか?
お前のせいでこいつ等がどれだけ苦しい思いしたと思ってんだ!?
命はんな軽いもんじゃないんだよ!
桜がどんな想いで蓮を見守ってきたか知らないだろ!
好きな女を苦しめるだけのお前がでしゃばんじゃねぇよ」
琉がこんなに怒りを露にしているのは初めて見る
蓮や私の気持ちを理解してここまで怒ってくれる
祐哉「俺はただ…」
祐哉はそれ以上口を開かなかった
琉「俺はお前を許すつもりはない
本当なら生き霊だろうが今すぐ消してやりたいところだ
けど、こいつ等の想いをくみ取って除霊はしないでおいてやる
こいつ等に感謝するんだな」
桜「琉…祐哉の事どうするの…?」
琉「こいつは俺が預かって肉体へ戻す
けど、蓮が目を覚ますまではここに居る
こいつは結界の中に閉じ込めてるし自由には出来ない
だから安心していい」
桜「ありがとう琉…」
琉は静かに眠る蓮の顔にそっと触れた
そして静かに見守り続け、琉が来てから2時間が経つ頃、漸く蓮が目を覚ました
-蓮side-
ふと、目が覚めると体が軽くなってることに気が付いた
あれだけ辛かった熱も頭痛も吐き気も悪寒も嘘みたいに無くなってる
まだ微かに怠さは残ってるけどそんなの全然平気
琉「蓮」
ふと呼ばれた方に視線を移すとそこには何故か琉が居た
蓮「琉…?あれ…なんでここに…?」
琉が来た記憶がない
それに帰ってきてたの…?
桜「昨日私が琉に連絡して、急いで帰ってきてくれたんだよ」
桜…目元に泣いた跡がある
桜にも琉にも心配かけちゃったな…
私は起き上がって2人にお礼を言った
蓮「2人共ありがとう…
琉、ちゃんとお出迎え出来なくてごめんね」
琉が帰ってくるのは楽しみにしてたし、ちゃんとお出迎えしたかったのに残念だな…
琉「そんなの気にしなくていい
起き上がって大丈夫なのか、体調は?」
蓮「少しまだ怠さが残るけど全然平気」
琉「引き離したからってそう簡単に体調が戻るわけないだろ、無理するな」
蓮「うん…あの琉…怒ってる…?」
こんなことになって、結局皆に迷惑と心配だけかけて…
琉「お前が悪い訳じゃ無いんだし怒ってない
俺も承諾したことだしな」
蓮「そ、そっか…」
てっきり少し怒られるかなって思ってた
色々と安堵した瞬間、私は突然、琉に抱き締められていた
蓮「えっ…!?」
あまりにも突然だったからびっくりした
…ってびっくりしてる場合じゃないよ
私、昨日お風呂に入ってないし汗もかいてたよね…!?
その状態なのにこれは恥ずかしいって…!
蓮「あ、あの琉…私昨日はお風呂入れてなくて、それに汗も沢山かいたし、出来れば離れてほ…」
琉「蓮、…少し黙っとけ」
言い終わる前に琉は私を抱き締めたままそう呟いた
祐哉「うっ…なんだこれ…なんか気持ち悪い…」
琉「当然だろ、無理矢理引き離してるんだから気分を害するのは当然だな
けど蓮の苦しみに比べれば随分とマシだろうが」
不思議と空気が冷たくピリついた気がした
琉が怒っているのがひしひしと伝わってくる
祐哉と蓮の取り憑かれた繋がりを断ち切ると、琉は祐哉さんが近づかないように、祐哉さんと私達に別々の結界を作り出した
蓮の顔を覗くと苦しんでいた表情がフッと和らいだ
桜「蓮…良かった…」
琉「桜、1人で不安だっただろ
もう大丈夫だから泣くな」
桜「うん…うん…っ」
琉「…あと1日遅かったら結果は最悪だっただろうな
間に合って良かった
さて…お前だけど」
琉が再び祐哉に目を向けると、祐哉も口を開いた
祐哉「お前かもしかして蓮ちゃんの彼氏…?
彼氏だろうが誰だろうが勝手なことするなよ!
俺は蓮ちゃんと居たいんだよ!」
なんで祐哉はそこまで蓮に執着するの…?
琉「煩い、俺は心底頭に来てるんだ
大体お前は嘘をついてるだろ」
桜「嘘…?」
私が祐哉の方を見ると心当たりがあるように目を反らして黙りこんだ
琉「桜に連絡貰った時から可笑しいと思ってたんだ
体に戻れなかっただなんてあり得ない話だからな
本来生き霊が自分の体を前にして戻れないなんて事は無いんだよ
生き霊は無意識に体から出てしまった状態なだけで、自分の意思さえあれば戻るなんて簡単な事なんだよ
昨日こいつは自分の体を目の前にして確実に戻れていた筈なんだ
お前も分かっていただろうが」
祐哉「それは…」
祐哉のこの様子…嘘じゃない
本当に私達を騙していたんだ
桜「祐哉、今、琉が言ったことは事実なの?」
祐哉「……」
桜「本当なんだね…!?
私達を騙してたの!?
蓮は今まであんたの事を思って、助けようとして一生懸命やっていてくれたのに!
どうしてそんな事をするの!?」
裕哉「俺はただ蓮ちゃんと一緒に居たかっただけなんだよ
あのまま終わりなんて嫌だったんだって!
俺…っ、蓮ちゃんに惚れたんだ
見ず知らずの俺のた為に一生懸命になってくれて、こんなに健気な子初めてだったんだ!」
やっぱり…どことなくそうなのかもしれないって思ってた
でも…だからって許せることじゃない…!
桜「ふざけないでよ!
あんたの都合で蓮は死ぬかも知れなかったのに!」
裕哉「死なないかも知れないし、そんなの後で考えれば良いじゃん!」
次の瞬間、祐哉の体がまるで雷に打たれるようにバチッと音を立てた
祐哉は痛そうに声を漏らした
桜「琉…っ」
琉の手には1枚の御札
琉がやっているのは目に見えて分かった
琉「…ふざけんなよ
こいつ等の親切心を踏みにじってお前の勝手なわがままでこいつ等がどんだけ苦しんだと思ってんだ?
蓮に惚れた?側に居たかった?
お前なんかの事情知るかよ
仮にも惚れた女が自分のせいで苦しんでるのを見て何も思わなかったのかよ
そんなのより自分の気持ちの方が大事だったか?
お前のせいでこいつ等がどれだけ苦しい思いしたと思ってんだ!?
命はんな軽いもんじゃないんだよ!
桜がどんな想いで蓮を見守ってきたか知らないだろ!
好きな女を苦しめるだけのお前がでしゃばんじゃねぇよ」
琉がこんなに怒りを露にしているのは初めて見る
蓮や私の気持ちを理解してここまで怒ってくれる
祐哉「俺はただ…」
祐哉はそれ以上口を開かなかった
琉「俺はお前を許すつもりはない
本当なら生き霊だろうが今すぐ消してやりたいところだ
けど、こいつ等の想いをくみ取って除霊はしないでおいてやる
こいつ等に感謝するんだな」
桜「琉…祐哉の事どうするの…?」
琉「こいつは俺が預かって肉体へ戻す
けど、蓮が目を覚ますまではここに居る
こいつは結界の中に閉じ込めてるし自由には出来ない
だから安心していい」
桜「ありがとう琉…」
琉は静かに眠る蓮の顔にそっと触れた
そして静かに見守り続け、琉が来てから2時間が経つ頃、漸く蓮が目を覚ました
-蓮side-
ふと、目が覚めると体が軽くなってることに気が付いた
あれだけ辛かった熱も頭痛も吐き気も悪寒も嘘みたいに無くなってる
まだ微かに怠さは残ってるけどそんなの全然平気
琉「蓮」
ふと呼ばれた方に視線を移すとそこには何故か琉が居た
蓮「琉…?あれ…なんでここに…?」
琉が来た記憶がない
それに帰ってきてたの…?
桜「昨日私が琉に連絡して、急いで帰ってきてくれたんだよ」
桜…目元に泣いた跡がある
桜にも琉にも心配かけちゃったな…
私は起き上がって2人にお礼を言った
蓮「2人共ありがとう…
琉、ちゃんとお出迎え出来なくてごめんね」
琉が帰ってくるのは楽しみにしてたし、ちゃんとお出迎えしたかったのに残念だな…
琉「そんなの気にしなくていい
起き上がって大丈夫なのか、体調は?」
蓮「少しまだ怠さが残るけど全然平気」
琉「引き離したからってそう簡単に体調が戻るわけないだろ、無理するな」
蓮「うん…あの琉…怒ってる…?」
こんなことになって、結局皆に迷惑と心配だけかけて…
琉「お前が悪い訳じゃ無いんだし怒ってない
俺も承諾したことだしな」
蓮「そ、そっか…」
てっきり少し怒られるかなって思ってた
色々と安堵した瞬間、私は突然、琉に抱き締められていた
蓮「えっ…!?」
あまりにも突然だったからびっくりした
…ってびっくりしてる場合じゃないよ
私、昨日お風呂に入ってないし汗もかいてたよね…!?
その状態なのにこれは恥ずかしいって…!
蓮「あ、あの琉…私昨日はお風呂入れてなくて、それに汗も沢山かいたし、出来れば離れてほ…」
琉「蓮、…少し黙っとけ」
言い終わる前に琉は私を抱き締めたままそう呟いた
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