約束の果てに

秋月

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*好きな子.直人side

好きな子#11

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千尋と一緒に校内を探し回す
それにしても見当たらないな…
琉達どこ行ったんだよ
蓮達見つけたのかな…
もしかして本当に何かあったのか?
その時、琉の声が微かに聞こえて、そっちの方へ向かうと漸く琉達を見つけた

琉「この馬鹿!何度言ったら分かるんだよっ」

漸く見つけたかと思ったら…琉は御乱心の様だ
蓮の奴…今度は何やったんだ?

琉「霊が皆、良い奴とは限らないって言ってるだろ
悪霊だってお前を騙す為に嘘をつく
泣いていたからって無闇に近づくなよ
それを全部受け入れて助けようとしたら命がいくらあっても足りない
手遅れになってからじゃ遅いんだよっ」

あー…、なんとなく状況掴んだわ…
確かに泣いてる相手が居たらあの2人は幽霊だろうが、大丈夫?って声をかけそうだ
蓮達の優しさに漬け込んだ訳か
そう考えると腹が立つな…

直人「それぐらいにしておけよ琉
蓮だってそれぐらいもう分かってるさ
それでも助けようとするのが蓮達の優しさだろ」

蓮「本当は…話しかけた瞬間に悪霊だって事に気付いたの…
すぐ琉の所に行こうと思ったけど離してくれなくて…」

琉「お前がほっとけない質なのも分かってる
でもその優しさが命取りになるんだよ
桜が居たからまだ大丈夫だったとはいえ、体を乗っ取られる所だったんだぞ
次からはちゃんと俺に言え
じゃないと守れないだろ
俺にとっては本当に悲しんで泣いていた霊だとしてもお前の方が大事なんだから」

蓮「うん…ごめんね琉…あと、ありがとう」

琉「どっか具合悪いとか無いか?」

蓮「うん、平気」

琉「桜は?力使っただろ」

桜「初めて悪霊相手にやったけど思ったよりうまくいくもんなのね
私なら全然平気、蓮を守れたなら本望よ」

琉「平気ならいいが、あんまり多用するなよ
守護霊だとしてもお前等2人の体に異変でもあったら困る」

桜「そうする、ありがとう」

スッと蓮の頬に触れて体調を気にかける琉
そんなやり取りを目の当たりにすると羨ましく思えた
蓮の事はまだ微かに引きずってるけど、蓮の事だから羨ましいってわけじゃない
純粋にあんな風に好き合える相手が居ることが羨ましく感じた

千尋「なおくん…」

直人「ん?どした?」

千尋「ううん…何でもない…」

なんだ?変な奴…
その時は深く考えてなかった
千尋は何か言いたそうだったのに、それに気付けてたのにそのままスルーしてしまった
その次の日だった
千尋が突然姿を消したのは
俺はどうして俺の前から居なくなってから後悔するんだろう

蓮「千尋ちゃんが居なくなった!?」

桜「どこか心当たりないの?」

直人「分かんない…
お寺も俺ん家も学校も一通り探したんだけどまだ見つからないんだよ…」

朝から琉と探し回りながら、もしかしたら学校や蓮達と一緒に居るかもしれないと思ったけど、やっぱり何処にも姿がない

琉「三上はまだ純粋な霊だ
早く見つけないと厄介なことしかない
たくっ…次から次へと…」

琴美「私も手伝うよ」

事情を知ってる琴美も協力してくれた
千尋どこ行ったんだよ…
また何も言わずに俺の前から居なくなるのかよ

琉「成仏した可能性は少ない
直人の状態を見ると必ず近くに居るはずだ
直人は橋本と蓮と桜は俺と一緒に三上を探すぞ」

そし二手に別れて千尋の捜索が始まった

蓮「桜!どうだった!?」

桜「隅から隅まで全部見て来たけど、やっぱり居ないみたい」

琉「中学にも居ないか…
一番可能性があったんだけどな…」

桜「琉の霊視でも何も見えないなんて…」

琉「そう都合よくいくもんじゃない
三上の持ち物なんてないし、直人を通じて霊視してみたけど何も見えなかったからな…」

蓮「千尋ちゃん本当にどこ行っちゃったの…?」

琉「ここからは更に二手に分かれよう
一刻も早く見つけるのが最優先だ
俺は1人で向こうを探す
桜と蓮は2人で一緒に居ろよ
絶対勝手な行動はするな?
何かあったらすぐに連絡しろ」

桜「分かった」

蓮「琉も気をつけてね」

ーーーー…

蓮達と別れて、漸くボーッと空を眺めている三上を見つけた

千尋「………」

琉「…見つけた、三上お前何やってるんだよ」

千尋「安藤さんっ…!」

琉「まさかこんな公園に居るとは思わなかった
お前の気配は分かりづらいし、気配を辿るのは苦労したよ
戻るぞ、皆心配してお前の事探してたんだからな」

千尋「…いやです、戻りたくありません…」

見つかって良かったと安堵したのも束の間、三上は帰ることを拒否した
この様子からすると…

琉「三上…お前とっく記憶戻ってるんだろ」

千尋「なんでその事…」

やっぱりか…
こんなことになるなら猶予なんて与えずにさっさと確信ついていれば良かった

琉「中学の直人の仲間に会った時からずっと様子がおかしかったからな
もうあの時には全部思い出してたんだろ?」

千尋「…鋭いですね安藤さん」

琉「俺がお前に猶予を与えてやれるのもここまでた
あいつ等の気持ちを汲んで、様子を見ていたが俺もこれ以上見逃すことは出来ない
思い出してるならなんで直人に言わない?
こうしてる間も直人はお前に生命力削り取られていってるんだ
お前は変わらず直人に取り憑いてる状態なんだ
お前はあいつを殺す気か」

何とか手を打って進行を送らせては居るが、直人には確実に症状が出てきている
そんな状態で探し回ってんだから、悪化しかねない
直人にも伝えたが、あいつは頑なに聞こうとはしなかった

千尋「殺すなんて私そんな事っ…!」

チッ…どいつもこいつも現実が見えてない様だな

琉「分からないのか!?
あいつはどんどん弱ってる!
お前は苦しめる為にあいつに会いに来たんじゃないだろ!」

千尋「…でもっ!今更なおくんと話そうなんて都合がよすぎる…
私はなおくんを傷つけたのに…っ
でもなおくんは何も言わないで、責めもしないで助けようとしてくれて…」

琉「いつまでもうじうじしてるな!
俺にとってはお前の都合とかどうでもいいんだよ
けど、お前と同じ様にあいつは俺にとっても大事な奴だ
会いに来た理由が分かったんならその気持ちとっとと直人にぶつけてこい」

千尋「でも…っ」

琉「まだぐずぐずしてるようなら強制的に除霊するぞ
後悔したくないならさっさと行け」

千尋「…ありがとう安藤さんっ」

三上は漸く覚悟を決めたように俺の前から姿を消した

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