約束の果てに

秋月

文字の大きさ
上 下
61 / 180
*恋人同士

恋人同士#3

しおりを挟む
-琉side-

琉「……」

さっきのあいつの反応…
少し迂闊うかつすぎたな
気を付けねぇと…

陸人「おーい琉?ご飯できたってさ」

琉「分かった」

父さんと一緒にリビングに向かうと良い匂いが漂って来た

華「あ、来た来た!
ほら2人共座って座って♪」

陸人「おぉ…また一段と張り切ったね、華」

華「でっしょぉ?
やっと琉がリクエストしてくれたから張り切ったわよ!」

実母の事に片がついてから、母さんは俺に母と呼ばれたことが余程嬉しそうで、外食の次の日からは必ず俺に食べたい物を聞いてきていた

華「琉ってばリクエスト聞いたって、母さんの料理は何でも美味しいから何でも良いなんて言って、結局遠慮してるみたいな感じだったし~」

琉「事実だろ
母さんの作った物で嫌いなものなんてないし」

華「もぉ~、嬉しいこと言ってくれちゃって!」

さすがに毎日聞いてくるから、母さんにも悪いかと思って、試しにリクエストしてみたけど…
張り切ってるなとは思ってたけど、目の前の料理を見ると本当に張り切ったみたいだな

華「まん丸ふっくら仕上がる様にオーブンで焼いたの
ソースはお高い赤ワインを使ってこだわったの♪」

陸人「へぇ、ハンバーグかぁ
琉が初めて家に来て食べた思い出の1品だな」

華「やっぱり陸人も覚えてた?」

陸人「当然だろ~?」

リクエストと言われて1番に思い出したのが、ハンバーグだった
俺が退院後、初めてこの家に来て、初めて食べた母さんの料理
それを思い出してリクエストしたわけだけど…まさか父さんと母さんも覚えてるなんてな
本当に大事にされてきたんだな俺

華「どう、琉?美味しい?
琉も大人になったからちょっと大人向けに味付けしてみたんだけど」

琉「昔も今も変わらず美味しいよ」

華「良かった!
これからも腕によりをかけて作ってあげるからね」

陸人「たまには俺のリクエストも聞いてほしいなぁ」

華「勿論!あ、でもたまには私も2人の作った料理食べたいなぁ」

陸人「お、じゃあ琉、今度一緒に飯作るか」

琉「ん」

華「でも琉も成人したわけだし、一緒にお酒も飲んでみたいね
あ、旅行も行きたいな!家族旅行!
3人で旅行したのなんて遠い昔だし!ね、陸人!」

陸人「確かに、俺も3人で行きたいな」

華「仕事が一段落したら行こうよ
琉も良いでしょ?」

琉「父さんと母さんが行きたいなら」

華「あ、だったら蓮ちゃんも呼ぶ?」

母さんの一言に思わずむせる所だった

琉「は?」

いきなり何を言うのかと思えば蓮?
なんでいきなりあいつが出てくるんだよ

陸人「蓮ちゃんって確か琉のクラスメイトで琉が気にかけてる子だっけ?
俺まだ会ったことないんだよね」

琉「ちょっと待って、なんでそこであいつが出てくるわけ?」

華「え?だって私も蓮ちゃんと仲良くなりたいし、蓮ちゃんも居たら距離も縮まるかもよ?」

…はぁ…マジかよ…
これ母さんにバレてるってことかよ…

陸人「え、琉もしかしてその子の事好きなの?」

華「陸人は昔からそうゆうのに鈍感で気付かなかったんでしょ~
母親舐めないでよね♪
陸人も会えば気に入ると思うよ
いい子そうな子だったもん」

不味い
このまま母さんを暴走させると本気で蓮を誘って一緒に連れていきかねない
父さんも同意してる感じだし

琉「母さん、そうゆうのは自分でちゃんとするから
母さんは見守っててくれればいいよ」

そう伝えると2人は目を丸くしていた

陸人「へぇ、琉がそんなこと言うようになるなんて、男前になったな」

華「そうだね~
琉がそう言うなら私達は温かーく見守るとしましょ」

はぁ…今の状況であいつを連れて旅行とか無理だろ
しかも母さんに誘われたらあいつの事だから行くと言いかねないよな…
楽観的な所があるからな…
それにその前に気掛りな事もあるしな…

そしてその気掛かりはそれからすぐに事が動いた
数日後、珍しく直人が話をしたいと俺を呼び出した

琉「何だよ直人、話って」

直人「ずっと琉に聞きたいことがあってさ
あのさ、琉は蓮の事、どう思ってるんだよ」

琉「どう思ってる?
お前にしては遠回しな聞き方をするな?」

直人「その様子じゃ俺の言いたいこと分かってるんだよな
そうだな…遠回しに言ってもしょうがないな
琉は蓮の事が好きなのか?」

やっぱり蓮の事か
直人には気付かれてるだろうとな思ってたが、わざわざこうして確認するってことはこいつもしかして…

琉「…それを聞いてどうすんだ?
大体、直人に関係あるのか?」

直人「いいから答えろよ」

ここで誤魔化しても何の意味もないだろう
それにこいつに嘘をつく必要はないな

琉「そうだ」

直人が気付いていたように俺も直人があいつの事を好きなことは知っていた
直人、俺の気持ちを知って、お前はどう動く?

直人「やっぱりか…
ずっとそんな気がしてたけど、お前の口からハッキリ聞けて良かったよ
琉が蓮の事を好きならそれでいい
お前ならきっと蓮を幸せに出来るんだから」

…やっぱり、こいつはその答えを選んだのか
直人は根っからの良い奴だ
蓮と同じ様に自分のことより相手を優先する
どこまでも優しすぎるお人好し
こうやって俺の気持ちまで確かめに来て、自分の気持ちなんか後回しで遠慮しやがる
お前の優しいところは気に入ってる
けど、はき違えた優しさには反吐が出る

琉「…ふざけんな、何勝手に納得して諦めてんだよ
お前らしくないな直人
お前も蓮の事好きなくせして、なのにもう諦めてんのか?
直人お前遠慮してんのか?
言っておくがそんなの微塵も嬉しくねぇんだよ
俺があいつを好きだからって遠慮して諦めんのか?
お前があいつの事好きなことぐらい見てれば分かる
お前には正直ガッカリだよ
お前が蓮に対して抱いてる気持ちなんて、そんな簡単に諦めるほどの気持ちだったんだな」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】王太子妃の初恋

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。 王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。 しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。 そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。 ★ざまぁはありません。 全話予約投稿済。 携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。 報告ありがとうございます。

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...