13 / 180
*霊を消す者
霊を消す者#4
しおりを挟む
私と桜は安藤くんのいきなりの言葉に驚きが隠せない
なんとなく不穏な空気が流れる
待って…今の言葉…本気なの?
蓮「…桜を消す…?冗談だよね?
だって…安藤くんが祓うのは悪い霊だけでしょ?
桜は…そんな霊じゃない
安藤くんだって言ってくれたじゃん
守護霊みたいな存在だって…
それに昨日は桜の事も守ってくれたじゃん
それなのにどうしてそんな事言うの…!?」
琉「本気だ
冗談でこんなことは言わない
それに俺は何も悪霊だけを祓うなんて言ってない
昨日と今日じゃ考えも状況も当然変わる
そいつは純粋とはいえ、霊は霊だ
お前はここに居るべき存在じゃない」
淡々と表情を変えずに話す安藤くんの目はどこからどう見ても本気だ
桜が私の前から居なくなる…?
そんなの…!
蓮「嫌だよ!お願いそんなことしないで!
昼休みの事なら謝るから!
あんなこともうしないから…お願い、桜を除霊しないでっ」
琉「昼休みの事ならさほど重要じゃない
俺は除霊師としてやるべき事をするだけだ
安心しろ、苦しませずに除霊してやる」
安藤くんはそう言いながらお札を取り出した
待って…待ってよ…
色んな事が急すぎて頭が回らない
琉「どけ白雪」
蓮「お願いだから安藤くん…やめて
桜は…桜は私のたった1人のお姉ちゃんなの
桜を失うなんて…もうあんな想いしたくないの…!」
思い出すだけで苦しくて、桜が居なくなってしまうことを思えば今でも胸が締め付けられるくらい辛いの
想像しただけで涙が溢れるくらいに…
桜「蓮…」
泣いて訴える私を見ても安藤くんは表情を変えることはなかった
琉「いつまで現実から逃げてるつもりだ
お前の姉は死んだんだ
この世の何処にも居ないんだよ」
本当に昨日の安藤くんとは思えない程、別人に見えた
その冷たい言葉が深く鋭く突き刺さる
私は持っていた鞄を安藤くんに向かって投げつけた
蓮「安藤くんの馬鹿!」
私は桜を連れて安藤から逃げるように走った
-琉side-
涙を流しながら姉を消される事を怖がっているのがよく分かる
だけどあいつは何も分かってない
きつくても目を覚まさせてやらないとこいつ等はずっと囚われたままになるだろうからな
蓮「安藤君の馬鹿!」
自分の鞄を俺に投げつけたかと思ったら、あいつはそのまま俺から逃げるように走っていった
琉「…」
これじゃまるで俺が悪人だな
鞄の中からはいくつか物が散乱していた
その中に定期があり、一緒に写真が入っていた
写っているのは白雪と姉か
姉が生きている頃の写真か
写真を見てもそうだがわざわざ持ち歩いている所を見ると余程仲の良い姉妹だったみたいだな
いや、過去形はおかしいな
今日まであいつ等の様子は見てきたが生者と霊の癖に…
写真の中でも仲が良さそうだな
今よりも少し幼く見える…高校生の時の物か?
霊とはいえ、あそこまで姉に固執するなんて…
兄弟のいない俺には到底理解できない
それでも俺にも分かるものはある
写真を霊視してみると見えたのは2人の思い出
そして思い出す白雪の泣き顔
はぁ…写真といい泣き顔といい嫌なもん見ちまったな
本当に悪人になる覚悟もしていたが…こんな写真1枚で覆されるとはな
琉「…ったく、世話が焼ける」
兎も角、あいつ等追いかけないとな
-蓮side-
ただ我武者羅に息が上がるほど夢中で走った
こんなに走ったのは久しぶりで酷く苦しく感じた
桜「蓮、もう大丈夫だよ」
桜の言葉で少し安心して、息を整えて周りを確認した
安藤くんは追いかけてこなかったみたい…
安藤くんの姿がなくてどこかホッとした
蓮「ここ…どこ?」
無我夢中で走ってたら知らない所に来ちゃったみたい…
駅とは反対方向だし…見慣れない建物ばかり…
駅に戻る道は何処だろう
あ、でも駅に向かったら安藤くんが待ち伏せしてるかも…
桜「蓮…」
桜は不安そうに私の顔を覗き込んだ
蓮「大丈夫、桜の事は私が守るからね」
桜を消させたりしない
桜が居なくなったら私は…
するとフッと辺りが薄暗くなっていく
いつの間にか日が沈んで見る見るうちに辺りは小さな街灯がついて暗くなる
ここは大きい道からも外れた小道みたいだし街灯も少なくて余計に暗く感じる
蓮「暗くなってきた…どうしよう…っ」
そんな事を言っている間もどんどん暗くなっていった
気がつけば辺りは真っ暗に近い暗さ
あぁ、どうしよう…私は暗闇が一番嫌いなのに…
怖い…ここから動けない…
桜「蓮.大丈夫
私がついてるから
お母さん達に連絡してここまで迎えに来てもらいな」
お母さんに迷惑かけたくなかったけど、ずっと迷子でいるよりはきっとマシだよね
蓮「分かった…あ、携帯…鞄の中だ…」
携帯も財布も全部安藤くんの所だ
財布も携帯もなくて帰る手段が何もない
何やってるの私…
桜「そっか…とりあえず行こう
私、何となく道分かるから…私が一緒だもん
怖くないでしょ?」
蓮「…うん」
私ってずっと桜に頼りっぱなしだな…
もう少ししっかりしないと…
それに安藤くんの事も何か考えなきゃ…
私達が歩きだしたその時、陽気な声が聞こえた
『あー可愛い女の子みっけ♪』
なんとなく不穏な空気が流れる
待って…今の言葉…本気なの?
蓮「…桜を消す…?冗談だよね?
だって…安藤くんが祓うのは悪い霊だけでしょ?
桜は…そんな霊じゃない
安藤くんだって言ってくれたじゃん
守護霊みたいな存在だって…
それに昨日は桜の事も守ってくれたじゃん
それなのにどうしてそんな事言うの…!?」
琉「本気だ
冗談でこんなことは言わない
それに俺は何も悪霊だけを祓うなんて言ってない
昨日と今日じゃ考えも状況も当然変わる
そいつは純粋とはいえ、霊は霊だ
お前はここに居るべき存在じゃない」
淡々と表情を変えずに話す安藤くんの目はどこからどう見ても本気だ
桜が私の前から居なくなる…?
そんなの…!
蓮「嫌だよ!お願いそんなことしないで!
昼休みの事なら謝るから!
あんなこともうしないから…お願い、桜を除霊しないでっ」
琉「昼休みの事ならさほど重要じゃない
俺は除霊師としてやるべき事をするだけだ
安心しろ、苦しませずに除霊してやる」
安藤くんはそう言いながらお札を取り出した
待って…待ってよ…
色んな事が急すぎて頭が回らない
琉「どけ白雪」
蓮「お願いだから安藤くん…やめて
桜は…桜は私のたった1人のお姉ちゃんなの
桜を失うなんて…もうあんな想いしたくないの…!」
思い出すだけで苦しくて、桜が居なくなってしまうことを思えば今でも胸が締め付けられるくらい辛いの
想像しただけで涙が溢れるくらいに…
桜「蓮…」
泣いて訴える私を見ても安藤くんは表情を変えることはなかった
琉「いつまで現実から逃げてるつもりだ
お前の姉は死んだんだ
この世の何処にも居ないんだよ」
本当に昨日の安藤くんとは思えない程、別人に見えた
その冷たい言葉が深く鋭く突き刺さる
私は持っていた鞄を安藤くんに向かって投げつけた
蓮「安藤くんの馬鹿!」
私は桜を連れて安藤から逃げるように走った
-琉side-
涙を流しながら姉を消される事を怖がっているのがよく分かる
だけどあいつは何も分かってない
きつくても目を覚まさせてやらないとこいつ等はずっと囚われたままになるだろうからな
蓮「安藤君の馬鹿!」
自分の鞄を俺に投げつけたかと思ったら、あいつはそのまま俺から逃げるように走っていった
琉「…」
これじゃまるで俺が悪人だな
鞄の中からはいくつか物が散乱していた
その中に定期があり、一緒に写真が入っていた
写っているのは白雪と姉か
姉が生きている頃の写真か
写真を見てもそうだがわざわざ持ち歩いている所を見ると余程仲の良い姉妹だったみたいだな
いや、過去形はおかしいな
今日まであいつ等の様子は見てきたが生者と霊の癖に…
写真の中でも仲が良さそうだな
今よりも少し幼く見える…高校生の時の物か?
霊とはいえ、あそこまで姉に固執するなんて…
兄弟のいない俺には到底理解できない
それでも俺にも分かるものはある
写真を霊視してみると見えたのは2人の思い出
そして思い出す白雪の泣き顔
はぁ…写真といい泣き顔といい嫌なもん見ちまったな
本当に悪人になる覚悟もしていたが…こんな写真1枚で覆されるとはな
琉「…ったく、世話が焼ける」
兎も角、あいつ等追いかけないとな
-蓮side-
ただ我武者羅に息が上がるほど夢中で走った
こんなに走ったのは久しぶりで酷く苦しく感じた
桜「蓮、もう大丈夫だよ」
桜の言葉で少し安心して、息を整えて周りを確認した
安藤くんは追いかけてこなかったみたい…
安藤くんの姿がなくてどこかホッとした
蓮「ここ…どこ?」
無我夢中で走ってたら知らない所に来ちゃったみたい…
駅とは反対方向だし…見慣れない建物ばかり…
駅に戻る道は何処だろう
あ、でも駅に向かったら安藤くんが待ち伏せしてるかも…
桜「蓮…」
桜は不安そうに私の顔を覗き込んだ
蓮「大丈夫、桜の事は私が守るからね」
桜を消させたりしない
桜が居なくなったら私は…
するとフッと辺りが薄暗くなっていく
いつの間にか日が沈んで見る見るうちに辺りは小さな街灯がついて暗くなる
ここは大きい道からも外れた小道みたいだし街灯も少なくて余計に暗く感じる
蓮「暗くなってきた…どうしよう…っ」
そんな事を言っている間もどんどん暗くなっていった
気がつけば辺りは真っ暗に近い暗さ
あぁ、どうしよう…私は暗闇が一番嫌いなのに…
怖い…ここから動けない…
桜「蓮.大丈夫
私がついてるから
お母さん達に連絡してここまで迎えに来てもらいな」
お母さんに迷惑かけたくなかったけど、ずっと迷子でいるよりはきっとマシだよね
蓮「分かった…あ、携帯…鞄の中だ…」
携帯も財布も全部安藤くんの所だ
財布も携帯もなくて帰る手段が何もない
何やってるの私…
桜「そっか…とりあえず行こう
私、何となく道分かるから…私が一緒だもん
怖くないでしょ?」
蓮「…うん」
私ってずっと桜に頼りっぱなしだな…
もう少ししっかりしないと…
それに安藤くんの事も何か考えなきゃ…
私達が歩きだしたその時、陽気な声が聞こえた
『あー可愛い女の子みっけ♪』
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】王太子妃の初恋
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。
王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。
しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。
そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。
★ざまぁはありません。
全話予約投稿済。
携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。
報告ありがとうございます。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる