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王都

151.大団円……?

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「あなた、わたくしね。宝石なんかより、その気持ちが嬉しいわ……もちろん宝石も嬉しいんだけど」

あー、はいはい。

「そうか。いや、私も君に喜んで貰おうと少しやりすぎたな……地上を支配下に置こうなどと、大人げない」

そうだよね、うん。めちゃくちゃ反省してね?

「そんなことはありません!父上様のその気持ち、俺には良くわかります」

………は?ディラン?どうして加わった!?
あなた、自分の立場わかっているの?
彼はスッと父の前に歩み出ると、朗々と断言した。

「俺が父上様の立場でも、シルベーヌ様の為になら地上の一つや二つ滅ぼしたかもしれませんから!」

そう言ってラシュカ新王は豪快に笑った。
いや、そんなことする人願い下げだからね?

「おお!君はやはり話がわかる男だな!」

「本当ね!シルベーヌちゃんのお婿にぴったりだわ!」

「あははは!そうですか?ありがとうございます!」

ディランは見事に冥府の王と王妃の心を掴んだ。
3人は和気あいあいと、楽しそうに談笑し私はポツンとそれを見つめている。
母はともかく、気難しい父に気に入られるなんて珍しいことよ。
きっと、似た者同士だったのね……深くは追及しないけど。

「あ、いけない!わたくし、すっかり話し込んじゃって。クルーズに戻るわね!あと2日くらいで冥府の王宮に帰る予定よ」

思い出したように母が言った。

「おお!やっとか?」

弾むような父の声が続く。

「ええ。あなたにもお土産があるわよ?お楽しみにね!」

「……うむ。だが、君が無事に帰って来ることが一番のお土産なんだよ。気をつけてな」

「まぁ、あなたったら……」

もう、何をみせられているのかわからない。
両親のラブラブなシーンなんて軽い拷問だと思うの。

「さて、そうとわかれば、私も軍勢を引き上げよう。冥府でルヴェールを待たなくてはな」

父は嬉しそうに帰り支度を始めると、フードを被り直し、私を振り返った。

「はい!お気をつけて!!」

やっと、やっと!この長い一日が終わるのね。
そう思うと、私の顔の緩みはとまらない。
悪の元凶(変態)はいなくなったし、地上で暮らすお許しも出た。
ついでに結婚のお許しも得ることに成功し、更に夫は煌めくお金持ち。
優秀な専属料理人、有能な職人(騎士団)達とも知り合いになれた。
バナナと巡り会えたことも嬉しかったし、これからもっと沢山の食材たちと出会えることも楽しくて仕方ないわ!
思い描いていた夢の人生。
うふふふふふ、えへへへへ。
私は溢れ出る幸せに、だらしない顔を隠せなかった。

「では……」

父王ルーマンドは片手を上げ、冥府の軍勢を強制的に立ち上がらせる。
彼らは結局、私の怪音波で負ったダメージから回復することはなかった。
折角来たのに、一つも活躍もすることなく冥府へと帰還するのよ。
考えてみれば、彼らだって父のワガママに付き合わされたに過ぎない。
被害者よね?
なんだったら、私と被害者の会を作らない?と誘ってみようかしら?
なんてね!

「お父様、お母様、そのうち落ち着いたら、冥府に挨拶に行くわね!」

と、私は明るく言った。

「おお!そうしなさい」

「あら、楽しみね!皆で待ってるわ!」

そう言い残し、父ルーマンドと母ルヴェールは、冥府へと仲良く去っていった。
あ、軍勢もね。














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