143 / 169
王都
143.遅れてきたメガネ
しおりを挟む
そうだったんだ……それで、みんな具合が悪くなったり、割れたり腐ったりしたのね。
そこまでさせる私の歌って……一体どういう仕組みになってるの?
黒スピーの言う通り、ほんとに最終兵器のようじゃない……。
………あははははは………はぁ……。
時間を稼げたのはいいけど、こんなに悲しいのは何故かしらっ!?
「シルベーヌ様!素晴らしい歌だったよ!」
ディランはまたキラキラと微笑みながら、私の肩をぐっと抱き寄せた。
誉められてもねぇ……死人組が特殊だって知ってるんだからね!?
「シルベーヌ様、心が洗われる歌でした!」
クレバードも胸に手を当てて感動している。
そして、ヒューゴは放心状態で目の焦点が定まっていない……。
「天使なのでしょうか?シルベーヌ様は……僕、天国が見えましたよ」
それは……それはヒューゴ!
召されかけたんじゃない!?
感動する死人組の後ろでは、サクリス&ナシリス軍と王女達が耳を塞ぐのを止め、深呼吸しながら自分を落ち着かせていた。
迷惑かけたわね!ごめんなさいね!
『ま、これで、奴の到着まで時間を稼いだぜ!あとは、任せときゃいい』
奴??
誰かが到着したの?
キョロキョロと辺りを見回すと、突然ディランが遠くを指差しながら叫んだ。
「シルベーヌ様!あれを!」
その先を目で追うと、白馬に乗った黒髪の男と、鹿毛の馬に乗った灰色の髪の男が、並んで疾走してくる姿が目に入った。
まだ遠くに見えたそれは、すぐに近くなり、あっという間に目の前にやって来た。
「ローケン!?ルイ!?」
私は2人に向かって叫んだ。
彼らは、未だ突っ伏している冥府の軍勢をチラチラ見て不思議そうにしている。
恐怖というより、好奇心といったところかしら。
まぁそうよね、登場シーンから見てないんだもの……怖くもないでしょうよ。
2人は馬を降り、私とディランの元にやって来て、小さな声で尋ねてきた。
「えーっと、これ、何ですか?私の想像を超えた事態が起こってますよね?」
そう尋ねたローケンのメガネは、右側が真ん中に向かってヒビが入っていた。
彼が冥府の軍勢に興味津々なのはわかっていたけど、私はメガネが割れていることの方が気になって仕方ない!
そして執拗にメガネに向けられる視線が気になったのか、ローケンは自らその理由を語ってくれた。
「あ!ああ、これですかー?ここに来るとき何故か変な音が聞こえてきて……その瞬間ピシッとメガネが割れたんですよ……一体何だったのでしょうね。ははっ」
ははっ!
私だよ!!
ああ、聞くんじゃなかった……。
私は気を取り直して最初のローケンの質問に答えることにした。
父や冥府の軍勢が動けない今、ローケンとルイに説明をする時間はたっぷりとある。
そして、全ての説明をされた後、ローケンはニンマリと笑って「なるほど」と頷いた。
そこまでさせる私の歌って……一体どういう仕組みになってるの?
黒スピーの言う通り、ほんとに最終兵器のようじゃない……。
………あははははは………はぁ……。
時間を稼げたのはいいけど、こんなに悲しいのは何故かしらっ!?
「シルベーヌ様!素晴らしい歌だったよ!」
ディランはまたキラキラと微笑みながら、私の肩をぐっと抱き寄せた。
誉められてもねぇ……死人組が特殊だって知ってるんだからね!?
「シルベーヌ様、心が洗われる歌でした!」
クレバードも胸に手を当てて感動している。
そして、ヒューゴは放心状態で目の焦点が定まっていない……。
「天使なのでしょうか?シルベーヌ様は……僕、天国が見えましたよ」
それは……それはヒューゴ!
召されかけたんじゃない!?
感動する死人組の後ろでは、サクリス&ナシリス軍と王女達が耳を塞ぐのを止め、深呼吸しながら自分を落ち着かせていた。
迷惑かけたわね!ごめんなさいね!
『ま、これで、奴の到着まで時間を稼いだぜ!あとは、任せときゃいい』
奴??
誰かが到着したの?
キョロキョロと辺りを見回すと、突然ディランが遠くを指差しながら叫んだ。
「シルベーヌ様!あれを!」
その先を目で追うと、白馬に乗った黒髪の男と、鹿毛の馬に乗った灰色の髪の男が、並んで疾走してくる姿が目に入った。
まだ遠くに見えたそれは、すぐに近くなり、あっという間に目の前にやって来た。
「ローケン!?ルイ!?」
私は2人に向かって叫んだ。
彼らは、未だ突っ伏している冥府の軍勢をチラチラ見て不思議そうにしている。
恐怖というより、好奇心といったところかしら。
まぁそうよね、登場シーンから見てないんだもの……怖くもないでしょうよ。
2人は馬を降り、私とディランの元にやって来て、小さな声で尋ねてきた。
「えーっと、これ、何ですか?私の想像を超えた事態が起こってますよね?」
そう尋ねたローケンのメガネは、右側が真ん中に向かってヒビが入っていた。
彼が冥府の軍勢に興味津々なのはわかっていたけど、私はメガネが割れていることの方が気になって仕方ない!
そして執拗にメガネに向けられる視線が気になったのか、ローケンは自らその理由を語ってくれた。
「あ!ああ、これですかー?ここに来るとき何故か変な音が聞こえてきて……その瞬間ピシッとメガネが割れたんですよ……一体何だったのでしょうね。ははっ」
ははっ!
私だよ!!
ああ、聞くんじゃなかった……。
私は気を取り直して最初のローケンの質問に答えることにした。
父や冥府の軍勢が動けない今、ローケンとルイに説明をする時間はたっぷりとある。
そして、全ての説明をされた後、ローケンはニンマリと笑って「なるほど」と頷いた。
1
お気に入りに追加
2,686
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
寒い夜だから、夫の腕に閉じ込められました
絹乃
恋愛
学生なのに結婚したわたしは、夫と同じベッドで眠っています。でも、キスすらもちゃんとしたことがないんです。ほんとはわたし、キスされたいんです。でも言えるはずがありません。
王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる