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王都

143.遅れてきたメガネ

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そうだったんだ……それで、みんな具合が悪くなったり、割れたり腐ったりしたのね。
そこまでさせる私の歌って……一体どういう仕組みになってるの?
黒スピーの言う通り、ほんとに最終兵器のようじゃない……。
………あははははは………はぁ……。
時間を稼げたのはいいけど、こんなに悲しいのは何故かしらっ!?

「シルベーヌ様!素晴らしい歌だったよ!」

ディランはまたキラキラと微笑みながら、私の肩をぐっと抱き寄せた。
誉められてもねぇ……死人組が特殊だって知ってるんだからね!?

「シルベーヌ様、心が洗われる歌でした!」

クレバードも胸に手を当てて感動している。
そして、ヒューゴは放心状態で目の焦点が定まっていない……。

「天使なのでしょうか?シルベーヌ様は……僕、天国が見えましたよ」

それは……それはヒューゴ!
召されかけたんじゃない!?

感動する死人組の後ろでは、サクリス&ナシリス軍と王女達が耳を塞ぐのを止め、深呼吸しながら自分を落ち着かせていた。
迷惑かけたわね!ごめんなさいね!

『ま、これで、奴の到着まで時間を稼いだぜ!あとは、任せときゃいい』

奴??
誰かが到着したの?
キョロキョロと辺りを見回すと、突然ディランが遠くを指差しながら叫んだ。

「シルベーヌ様!あれを!」

その先を目で追うと、白馬に乗った黒髪の男と、鹿毛の馬に乗った灰色の髪の男が、並んで疾走してくる姿が目に入った。
まだ遠くに見えたそれは、すぐに近くなり、あっという間に目の前にやって来た。

「ローケン!?ルイ!?」

私は2人に向かって叫んだ。
彼らは、未だ突っ伏している冥府の軍勢をチラチラ見て不思議そうにしている。
恐怖というより、好奇心といったところかしら。
まぁそうよね、登場シーンから見てないんだもの……怖くもないでしょうよ。
2人は馬を降り、私とディランの元にやって来て、小さな声で尋ねてきた。

「えーっと、これ、何ですか?私の想像を超えた事態が起こってますよね?」

そう尋ねたローケンのメガネは、右側が真ん中に向かってヒビが入っていた。
彼が冥府の軍勢に興味津々なのはわかっていたけど、私はメガネが割れていることの方が気になって仕方ない!
そして執拗にメガネに向けられる視線が気になったのか、ローケンは自らその理由を語ってくれた。

「あ!ああ、これですかー?ここに来るとき何故か変な音が聞こえてきて……その瞬間ピシッとメガネが割れたんですよ……一体何だったのでしょうね。ははっ」

ははっ!
私だよ!!
ああ、聞くんじゃなかった……。
私は気を取り直して最初のローケンの質問に答えることにした。

父や冥府の軍勢が動けない今、ローケンとルイに説明をする時間はたっぷりとある。
そして、全ての説明をされた後、ローケンはニンマリと笑って「なるほど」と頷いた。














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