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ヴァーミリオン領
57.ここだけの話
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ディランはそう言ってフレアを見た。
ロビーも、クレバードも、ヒューゴも、スレイも……みんな、頷いてフレアを見つめる。
「何てこと……え……じゃあ、さっきの質問やエレナ様のこと、毒殺とかの話って……」
「原因を……犯人を突き止める為だ」
フォーサイスの答えに、フレアはまた口を覆い、更に顔を青くした。
「あああ……それって……私のせいだわ……あの時、エレナ様を一人にしなければ、毒を入れる機会を与えなければ、皆は死ななかった!!」
「落ち着け!!フレア!」
半狂乱で叫ぶフレアを、フォーサイスは宥める。
「だって!だってそうでしょう!?」
「違う!誰もそんなこと思ってない!君は悪くない!悪いのは、毒を仕込んだ奴だ!」
あああ……と、崩れ落ちるフレアを抱き締め、フォーサイスは言った。
「先に死んで済まない。だが、また会えた……それとも、こんなオレのこと、もう嫌いか?」
「そんなわけ、ない……あなたを嫌いになんてなれない。バカ……死んでも好きよ」
フレアは溢れる涙を袖口でふいて、顔を上げる。
そして、スッと立ち私を見た。
「数々の御無礼をお許し下さい。夫の恩人に対してとんでもない暴言を吐いてしまいました……」
いえ、別に怒られないならいいんですよ。
それに私、特に何もしてないんですけどね?
安堵の微笑みを見せる私の元に、フレアはゆっくり歩み寄り、両膝を付いて座る。
そして、私の手をギュッと握るとその甲に自身の額を付けた。
「シルベーヌ様、あなたのお陰で、また夫に会うことが出来ました。私もあなたに変わらぬ敬愛と忠誠を捧げます」
その言葉を皮切りに、なぜか騎士団全員が、ザッという音と共に跪いた。
「いやっ、あの、そんな……あー、はい。えーと、これからもよろしく……」
そんなやる気のない返事にフレアは、輝く笑顔で返した。
「皆、これはまだここだけの話にしておいてくれ。ちゃんと犯人がわかるまでは、俺達が死んだことを誰にも知られるな」
ディランの声に、騎士団とフレアは大きく頷いた。
漸くゆっくり食べられる感じ?
既に一皿平らげていた私は、クレバードの鹿肉の盛られた皿に近付いた。
まだ湯気の出る肉を、空いた皿にてんこ盛りにし、微妙に出来た隙間にバナナを添える。
名付けて!
《鹿肉の香草焼き、バナナを添えて》だ!
『お洒落に言いましたけど、見た目汚いデスね。赤とか緑も入れましょ……あわわ』
ギロリとした私の目に、スピークルムはサッと沈黙した。
「これ、旨いな」
声がした方を見ると、サクリスがいつの間にか隣にいる。
彼は皆に、新しい団員だと紹介されていた。
体付きも戦士っぽいサクリスは、誰にも疑われることなく騎士団の一員として迎え入れられていた。
「うん、美味しい!」
もう鹿肉を皿の半分ほど平らげた私を見て、サクリスはくくっと笑った。
「君は、本当に幸せそうに食うよな?そういうの、いいと思うぞ?」
あら?沢山食べる女がお好み??
「………団長と君は……そういう関係か?」
「………そういう関係?」
肉をゴクンと流し込み、私はサクリスに問い返す。
「恋人とか、愛人とか」
「ふぁっ!?………こ、こ、恋人……愛人!?」
「違うのか?」
違うと思いますが!?
大体恋人って、ええと、好き同士が何処かへ出掛けたり、手を繋いだり、いろいろするんでしょ?
愛人は………愛人って何?
そもそも、何する人なの!?
「違うと思う……よ?」
私は息も絶え絶えに答えた。
「そうか、なら少し考えてみてくれないか?」
「ん?何を?」
「オレとの婚姻を」
「ふぇっ!?」
どうしたんです!?
一体何がどうして、どうなってるんです??
ちゃんと説明してくれないと、もう、頭パァン!ってなりそうよ!!
「ラシュカ王が君を娶らないというのなら、ナシリスの王子、サクリス・ヴァンダイクが名乗りを上げてもいいかなと」
「い?え?あの?なんで?」
「可愛いから?………見た目と真逆の性格とか、バナナをリスみたいに食べるところとか?」
惹かれる要素全くないよね?
「とにかく、一緒にいて飽きない!いつも団長に拐われるが、全てが片付いた後には、ナシリスのオレの側で暮らして欲しい」
『プロポーズデスよーーー!!これは、シルベーヌ様、生まれて初のプロポーズデス!!どうします??どうしま………ゴポポポッ……』
うるさいから、暫く水差しにでも浸かってなさい。
それよりも!…………どうしよう。
サクリスと結婚すれば、地上で快適に暮らせそう、よね?
しかも、バナナが食べ放題。
もう願ってもない環境なんだけど……。
少し前の私なら、こんないい条件、すぐに飛び付いたはず。
それが、少し躊躇いがあるのはなんで?
考え込んだ私にサクリスは優しく言った。
「ま、急がないよ。全ての片がついてから考えてくれ」
そういうと、側近と共に人混みに消えて行った。
ロビーも、クレバードも、ヒューゴも、スレイも……みんな、頷いてフレアを見つめる。
「何てこと……え……じゃあ、さっきの質問やエレナ様のこと、毒殺とかの話って……」
「原因を……犯人を突き止める為だ」
フォーサイスの答えに、フレアはまた口を覆い、更に顔を青くした。
「あああ……それって……私のせいだわ……あの時、エレナ様を一人にしなければ、毒を入れる機会を与えなければ、皆は死ななかった!!」
「落ち着け!!フレア!」
半狂乱で叫ぶフレアを、フォーサイスは宥める。
「だって!だってそうでしょう!?」
「違う!誰もそんなこと思ってない!君は悪くない!悪いのは、毒を仕込んだ奴だ!」
あああ……と、崩れ落ちるフレアを抱き締め、フォーサイスは言った。
「先に死んで済まない。だが、また会えた……それとも、こんなオレのこと、もう嫌いか?」
「そんなわけ、ない……あなたを嫌いになんてなれない。バカ……死んでも好きよ」
フレアは溢れる涙を袖口でふいて、顔を上げる。
そして、スッと立ち私を見た。
「数々の御無礼をお許し下さい。夫の恩人に対してとんでもない暴言を吐いてしまいました……」
いえ、別に怒られないならいいんですよ。
それに私、特に何もしてないんですけどね?
安堵の微笑みを見せる私の元に、フレアはゆっくり歩み寄り、両膝を付いて座る。
そして、私の手をギュッと握るとその甲に自身の額を付けた。
「シルベーヌ様、あなたのお陰で、また夫に会うことが出来ました。私もあなたに変わらぬ敬愛と忠誠を捧げます」
その言葉を皮切りに、なぜか騎士団全員が、ザッという音と共に跪いた。
「いやっ、あの、そんな……あー、はい。えーと、これからもよろしく……」
そんなやる気のない返事にフレアは、輝く笑顔で返した。
「皆、これはまだここだけの話にしておいてくれ。ちゃんと犯人がわかるまでは、俺達が死んだことを誰にも知られるな」
ディランの声に、騎士団とフレアは大きく頷いた。
漸くゆっくり食べられる感じ?
既に一皿平らげていた私は、クレバードの鹿肉の盛られた皿に近付いた。
まだ湯気の出る肉を、空いた皿にてんこ盛りにし、微妙に出来た隙間にバナナを添える。
名付けて!
《鹿肉の香草焼き、バナナを添えて》だ!
『お洒落に言いましたけど、見た目汚いデスね。赤とか緑も入れましょ……あわわ』
ギロリとした私の目に、スピークルムはサッと沈黙した。
「これ、旨いな」
声がした方を見ると、サクリスがいつの間にか隣にいる。
彼は皆に、新しい団員だと紹介されていた。
体付きも戦士っぽいサクリスは、誰にも疑われることなく騎士団の一員として迎え入れられていた。
「うん、美味しい!」
もう鹿肉を皿の半分ほど平らげた私を見て、サクリスはくくっと笑った。
「君は、本当に幸せそうに食うよな?そういうの、いいと思うぞ?」
あら?沢山食べる女がお好み??
「………団長と君は……そういう関係か?」
「………そういう関係?」
肉をゴクンと流し込み、私はサクリスに問い返す。
「恋人とか、愛人とか」
「ふぁっ!?………こ、こ、恋人……愛人!?」
「違うのか?」
違うと思いますが!?
大体恋人って、ええと、好き同士が何処かへ出掛けたり、手を繋いだり、いろいろするんでしょ?
愛人は………愛人って何?
そもそも、何する人なの!?
「違うと思う……よ?」
私は息も絶え絶えに答えた。
「そうか、なら少し考えてみてくれないか?」
「ん?何を?」
「オレとの婚姻を」
「ふぇっ!?」
どうしたんです!?
一体何がどうして、どうなってるんです??
ちゃんと説明してくれないと、もう、頭パァン!ってなりそうよ!!
「ラシュカ王が君を娶らないというのなら、ナシリスの王子、サクリス・ヴァンダイクが名乗りを上げてもいいかなと」
「い?え?あの?なんで?」
「可愛いから?………見た目と真逆の性格とか、バナナをリスみたいに食べるところとか?」
惹かれる要素全くないよね?
「とにかく、一緒にいて飽きない!いつも団長に拐われるが、全てが片付いた後には、ナシリスのオレの側で暮らして欲しい」
『プロポーズデスよーーー!!これは、シルベーヌ様、生まれて初のプロポーズデス!!どうします??どうしま………ゴポポポッ……』
うるさいから、暫く水差しにでも浸かってなさい。
それよりも!…………どうしよう。
サクリスと結婚すれば、地上で快適に暮らせそう、よね?
しかも、バナナが食べ放題。
もう願ってもない環境なんだけど……。
少し前の私なら、こんないい条件、すぐに飛び付いたはず。
それが、少し躊躇いがあるのはなんで?
考え込んだ私にサクリスは優しく言った。
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