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ムーンバレー地方
45.ヴァーミリオン・ナシリス連合(仮)
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ディランは暫くそのニヤけた顔を続けたあと、夢から覚めたように頭をブンブンと振った。
「しかし!それでも綿密に計画を立てなければ、行かせられない!!それに、クソ王がシルベーヌ様に手を出したりなんかしたら……」
「大丈夫よー、だって醜女って言われたのよ?美しいもの好きの王には、見向きもされないって!!」
「それはどうでしょうか?」
私とディランの会話に、クレバードが口を挟んだ。
「どういうこと?」
「昨日寝ている時に一度シルベーヌ様を見たのですが、湿疹も薄くなり、血色も良くなってましたよ」
「………それ、見たの夜じゃないの??」
「いいえ、太陽が出ていました。間違いなく昼でした」
クレバードはディランに確認を取った。
するとディランは頷き、私を覗き込みながら言う。
「顔色がとても良くなっていた。健康的に見えたよ?」
「そう遠くないうちに、昼のシルベーヌ様も夜のシルベーヌ様も大差なくなるでしょうね」
「ほんと?それは嬉しいわ!」
ディランとクレバードに言われて、私は少し舞い上がった。
もう太陽に怯えなくてもいい、ということは私にとって朗報に違いない。
しかし、今、それが支障になろうとは思わなかった。
醜女だというのを利用して、王の気を逸らし、城内を探索する。
というのが、私の案だったからだ。
『大丈夫デス。最初に王は、シルベーヌ様の顔をハッキリ見ているのデス。フードでも被っておけば、もう一度顔を見ようなんて思わないはずデスよ!』
「なるほど!そうね、さすがスピークルム!!」
意気揚々と言い切ったスピークルムに、私も拍手喝采を送った。
よく考えたら、かなり失礼なことを言っているけど、それは忘れてあげるわ!
周波数が広範囲になったスピークルムの声は、この場の全員に聞こえていたらしい。
騎士団もなるほど!と感嘆し、サクリスは誰が喋ったのか?とキョロキョロしている。
その中で、ディランだけは難しい顔をして、私をじっと見つめていた。
「ええと……話は纏まったのか?シルベーヌ《様》は、フロールの件に力を貸してくれるのか?」
「うん。サクリスには助けてもらったしね。私なんて役に立たないかもれないけど、フロール王女がどうしてるかくらいは、わかるかもしれない」
「ありがたい!ヴァーミリオン騎士団も……頼っていいのか?」
サクリスはディランを見る。
難しい顔をしていたディランは、ため息をつきながら言った。
「(凄く嫌だが)仕方がないだろう……シルベーヌ様が望むのだ。我らももちろん力を貸す!だが、一番はシルベーヌ様の安全だ。それを優先させてもらうが構わないか?」
「えっ!?皆、力を貸してくれるの?私、王都へ送って貰うだけで良かったのに……」
私には移動手段がない。
彼らには、帰るついでに連れていって貰おう、そう考えていたのだけど。
「バカな!!どこまでも御一緒するっ!(皆が行かずとも、俺だけでも!)」
ディランの絶叫に、騎士団はそれぞれ同意した。
「あ、ありがとう。ほんと助かります……」
私がお礼を言うと、呆れて見ていたサクリスが口を開いた。
「………シルベーヌ《様》優先は構わんよ。こちらは目立たぬようにオレと、側近2名で追従する。ヴァーミリオン騎士団としてな」
サクリスが握手をしようと手を差し出すと、ディランは、咄嗟に私を縦抱きにし、右手を開けてサクリスの手を取った。
………いや、あのね?
下ろせば済むことじゃない!?
という私の思いを感じとったのは、ディランの胸で輝くスピークルムだけ。
スピークルムは「ムフーッ」といやらしく笑い、意味もなく点滅した。
「しかし!それでも綿密に計画を立てなければ、行かせられない!!それに、クソ王がシルベーヌ様に手を出したりなんかしたら……」
「大丈夫よー、だって醜女って言われたのよ?美しいもの好きの王には、見向きもされないって!!」
「それはどうでしょうか?」
私とディランの会話に、クレバードが口を挟んだ。
「どういうこと?」
「昨日寝ている時に一度シルベーヌ様を見たのですが、湿疹も薄くなり、血色も良くなってましたよ」
「………それ、見たの夜じゃないの??」
「いいえ、太陽が出ていました。間違いなく昼でした」
クレバードはディランに確認を取った。
するとディランは頷き、私を覗き込みながら言う。
「顔色がとても良くなっていた。健康的に見えたよ?」
「そう遠くないうちに、昼のシルベーヌ様も夜のシルベーヌ様も大差なくなるでしょうね」
「ほんと?それは嬉しいわ!」
ディランとクレバードに言われて、私は少し舞い上がった。
もう太陽に怯えなくてもいい、ということは私にとって朗報に違いない。
しかし、今、それが支障になろうとは思わなかった。
醜女だというのを利用して、王の気を逸らし、城内を探索する。
というのが、私の案だったからだ。
『大丈夫デス。最初に王は、シルベーヌ様の顔をハッキリ見ているのデス。フードでも被っておけば、もう一度顔を見ようなんて思わないはずデスよ!』
「なるほど!そうね、さすがスピークルム!!」
意気揚々と言い切ったスピークルムに、私も拍手喝采を送った。
よく考えたら、かなり失礼なことを言っているけど、それは忘れてあげるわ!
周波数が広範囲になったスピークルムの声は、この場の全員に聞こえていたらしい。
騎士団もなるほど!と感嘆し、サクリスは誰が喋ったのか?とキョロキョロしている。
その中で、ディランだけは難しい顔をして、私をじっと見つめていた。
「ええと……話は纏まったのか?シルベーヌ《様》は、フロールの件に力を貸してくれるのか?」
「うん。サクリスには助けてもらったしね。私なんて役に立たないかもれないけど、フロール王女がどうしてるかくらいは、わかるかもしれない」
「ありがたい!ヴァーミリオン騎士団も……頼っていいのか?」
サクリスはディランを見る。
難しい顔をしていたディランは、ため息をつきながら言った。
「(凄く嫌だが)仕方がないだろう……シルベーヌ様が望むのだ。我らももちろん力を貸す!だが、一番はシルベーヌ様の安全だ。それを優先させてもらうが構わないか?」
「えっ!?皆、力を貸してくれるの?私、王都へ送って貰うだけで良かったのに……」
私には移動手段がない。
彼らには、帰るついでに連れていって貰おう、そう考えていたのだけど。
「バカな!!どこまでも御一緒するっ!(皆が行かずとも、俺だけでも!)」
ディランの絶叫に、騎士団はそれぞれ同意した。
「あ、ありがとう。ほんと助かります……」
私がお礼を言うと、呆れて見ていたサクリスが口を開いた。
「………シルベーヌ《様》優先は構わんよ。こちらは目立たぬようにオレと、側近2名で追従する。ヴァーミリオン騎士団としてな」
サクリスが握手をしようと手を差し出すと、ディランは、咄嗟に私を縦抱きにし、右手を開けてサクリスの手を取った。
………いや、あのね?
下ろせば済むことじゃない!?
という私の思いを感じとったのは、ディランの胸で輝くスピークルムだけ。
スピークルムは「ムフーッ」といやらしく笑い、意味もなく点滅した。
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