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ムーンバレー地方
7.提案があります
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暫くの沈黙の後、男は顔を上げ、私の顔を覗き込み言った。
「君は死んだ俺達と何故話せる??もしや、死神か!?」
「まさか……私は冥府の者。亡霊なんて見飽きてるし、こんなの日常茶飯事よ」
「冥府………そう言えば王が新しい妃を迎えると言っていた……君……貴女がそうなのか?」
「ええ、まぁ……」
「やはり!いや……でも……王の妃になられるお方が何故このようなところに!?」
顔が気に入らなくて追い払われたんですが何か?
とは言うまい……。
こちらも、自由に出来て良かったと思ってるんだから。
あ、でも、今困ってるけどね。
「ま、いろいろ事情があって……それよりも!貴方達、死にたくないって思ってるのよね?」
「もちろんそうだ!!俺達は誇り高いヴァーミリオン騎士団。戦って死ぬのならまだしも、このような訳のわからないことで死ぬなどっ………」
ぐっと拳を握り、男は唇を噛み締めている。
騎士団、か……。
なるほど、それは心残りもあるだろうね。
全員が全員、毒殺されて死ぬなんて恥ずかしいと思うのも無理ない。
「わかりました。では、こちらから提案を一つ。貴方達をその体に戻し、自由に動けるようにしてあげます」
「な!?そんな、ことが……?」
「勘違いしないで欲しいのは、生き返るんじゃない、ってことよ。体は死んでいるの。つまり……」
「生きる屍………」
「理解が早いわね。そういうことよ」
男は腕組みをして何かを考えた後、仲間の男達の元へと行き、彼らは円陣を組んだ。
会議かな。
まぁ、私はどっちでもいいんだけどね。
ダメならスピークルムに、建築家だか英雄だとかの魂を呼び出してもらえばいいんだし。
『シルベーヌ様!?もう!勝手にそんな提案をしないでほしいのデスが!』
スピークルムが、珍しく声を荒らげて怒っている。
その原因は、彼ら騎士団の魂を食べ損なうかもしれないからだ。
彼らの魂を食べ尽くしてから、新しい魂を冥府から呼び憑依させる、というのがスピークルムの目論見だ。
有名建築家とか、名だたる英雄など世に名を馳せた者の魂は、一介の魂呼びの鏡の口には入らない。
そういった者は、輪廻の輪に加わらず、冥鏡の中で永遠の時を過ごすことになっているのだ。
そして、お便利に呼び出され、冥府で活用されている。
なんだか可哀想な気もするけど、一応本人の承諾も得ているし、問題はない。
だってね、一芸を極めた人達はその技を昇華させることを最も望む。
特に志半ばで倒れた人なんかはね。
だから、冥府で力を奮えるのが楽しいという人が大半なわけ。
スピークルムが怒っているのは、食事になりうる者を私が取り上げようとしているから。
「別にいいじゃない。冥府から魂を呼ぶ手間が省けるし、大人数だから労働力には事欠かないわよ。それに、まだ提案を受け入れるとは限らないわ。大人しくスピークルムに食べられてくれるかも?」
あ、そうそう。
スピークルムが食べてしまっても、魂はなくなったりはしない。
魂呼びの鏡は、魂に染み付いた記憶や思いなんかを食べるから、魂は漂白されて次の生を待つ。
でもたまに、前世の記憶とか言うのが残っている人もいるけどね。
それは、魂呼びの鏡の職務怠慢といったところかしら。
「君は死んだ俺達と何故話せる??もしや、死神か!?」
「まさか……私は冥府の者。亡霊なんて見飽きてるし、こんなの日常茶飯事よ」
「冥府………そう言えば王が新しい妃を迎えると言っていた……君……貴女がそうなのか?」
「ええ、まぁ……」
「やはり!いや……でも……王の妃になられるお方が何故このようなところに!?」
顔が気に入らなくて追い払われたんですが何か?
とは言うまい……。
こちらも、自由に出来て良かったと思ってるんだから。
あ、でも、今困ってるけどね。
「ま、いろいろ事情があって……それよりも!貴方達、死にたくないって思ってるのよね?」
「もちろんそうだ!!俺達は誇り高いヴァーミリオン騎士団。戦って死ぬのならまだしも、このような訳のわからないことで死ぬなどっ………」
ぐっと拳を握り、男は唇を噛み締めている。
騎士団、か……。
なるほど、それは心残りもあるだろうね。
全員が全員、毒殺されて死ぬなんて恥ずかしいと思うのも無理ない。
「わかりました。では、こちらから提案を一つ。貴方達をその体に戻し、自由に動けるようにしてあげます」
「な!?そんな、ことが……?」
「勘違いしないで欲しいのは、生き返るんじゃない、ってことよ。体は死んでいるの。つまり……」
「生きる屍………」
「理解が早いわね。そういうことよ」
男は腕組みをして何かを考えた後、仲間の男達の元へと行き、彼らは円陣を組んだ。
会議かな。
まぁ、私はどっちでもいいんだけどね。
ダメならスピークルムに、建築家だか英雄だとかの魂を呼び出してもらえばいいんだし。
『シルベーヌ様!?もう!勝手にそんな提案をしないでほしいのデスが!』
スピークルムが、珍しく声を荒らげて怒っている。
その原因は、彼ら騎士団の魂を食べ損なうかもしれないからだ。
彼らの魂を食べ尽くしてから、新しい魂を冥府から呼び憑依させる、というのがスピークルムの目論見だ。
有名建築家とか、名だたる英雄など世に名を馳せた者の魂は、一介の魂呼びの鏡の口には入らない。
そういった者は、輪廻の輪に加わらず、冥鏡の中で永遠の時を過ごすことになっているのだ。
そして、お便利に呼び出され、冥府で活用されている。
なんだか可哀想な気もするけど、一応本人の承諾も得ているし、問題はない。
だってね、一芸を極めた人達はその技を昇華させることを最も望む。
特に志半ばで倒れた人なんかはね。
だから、冥府で力を奮えるのが楽しいという人が大半なわけ。
スピークルムが怒っているのは、食事になりうる者を私が取り上げようとしているから。
「別にいいじゃない。冥府から魂を呼ぶ手間が省けるし、大人数だから労働力には事欠かないわよ。それに、まだ提案を受け入れるとは限らないわ。大人しくスピークルムに食べられてくれるかも?」
あ、そうそう。
スピークルムが食べてしまっても、魂はなくなったりはしない。
魂呼びの鏡は、魂に染み付いた記憶や思いなんかを食べるから、魂は漂白されて次の生を待つ。
でもたまに、前世の記憶とか言うのが残っている人もいるけどね。
それは、魂呼びの鏡の職務怠慢といったところかしら。
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