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当主の妻の条件④
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「父さん、いい加減子供のオモチャばかり買うのをやめて貰えませんか!?まだ、産まれてないですよ!あと5ヶ月くらい待たないと会えませんからね!!」
セントラル駅構内で、孫可愛さに手当たり次第オモチャを買いまくるノイラートを、クリムは必死で止めている。
あれから暫くたって、主治医から動く許可が出たクリスタは、先伸ばしにしていた結婚式をこの時期にすることにした。
そして、今日ノイラート、クリム、ラングは結婚式に出席するためにクライムシュミットに向かっているのだ。
「何度も言ってるじゃないですか!?性別もわからないうちから買うのはいけませんと!」
ラングにも声を荒らげて注意され、ノイラートはさすがにシュンとなっている。
「いいじゃないか……別に…オモチャに性別が関係あるか?」
ぶつぶつ悪態をつく、ノイラートの腕を引っ張りながら、ラングとクリムは一等席コンパートメントに乗り込んだ。
「ノイラート様は女の子の物ばかり買ってますよね!?お人形やら、ヒラヒラのドレスとか!もし、男の子だったらどうするんですか!?」
「私は女の子だと思うぞ?」
「何を根拠に言ってるんですか!?むしろ、私は男の子だと思いますよ!?」
「それこそ何を根拠に言うんだ?あ?」
ああもう、この爺ども、いい加減にしてくれ………。
ラングにとってもクリスタは娘と同じくらい大切な存在だから、浮かれるのもわかるけどな。
グリュッセル邸からずっとこの調子だぞ!もう気が狂いそうだ!
クリムはコンパートメントを、もう一部屋とっておけば良かったとため息をついた。
終わる気配のない不毛な言い合いは、結局クライムシュミットに着くまで続き、巻き込まれては堪らないとクリムはずっと寝た振りをしていた。
ハインミュラー家の執事、ルドガーの迎えでシェーレンベルグ教会に着くと、すぐに控え室に通されてクリスタと会うことが出来た。
昔より随分長くなった黄金の髪にティアラを戴き、薄いレースのとても長いベールをつけて、少しウエストがゆったりめの上品なドレスを纏うクリスタを見て、爺どもは堪えきれずに泣き出した。
「お、お父様?ラングも……一体どうしたの?」
顔をクシャクシャにして泣く二人に、クリスタも困惑している。
「美しいぞ!本当に!ルイーシャもビックリだな」
「ええ!そうですね!……私、もう、思い残すことはありません!」
「え?ああ、ありがとう!お父様は私のエスコートをしてもらうから、まだここにいてね。そう言えばクライン兄さんは?」
「現地集合ということになっているが……まだ来てないか?全く、時間も守れないとはやはり碌でもないな」
「そうなの?間に合うといいけど……」
「…………外で待っていてやるよ。来たらすぐに連れていくから」
本当は凄く嫌だが、クリスタの沈んだ顔なんて見たくないし、今日は笑顔でいさせてやりたいからな。
「ありがとう!クリム兄さん!」
「いいよ、その代わり父さんを頼むぞ。どうも最近爺バカが酷くてな。目を離すとすぐにオモチャや子供服を買うんだ。お前からも良く言っておいてくれ」
クリスタは弾むように笑うと、ノイラートの元へ歩み寄り、何かを話始めた。
「さぁて、野猿を捕獲に行くか………」
クリムは控え室を出て、花壇に囲まれた細い道を入り口に向かって歩いていた。
質素だが手入れが行き届いた建物は、ハインミュラー領唯一の教会なだけあって広大で趣がある。
アーベルが管理を怠らないのだろう、花壇の花もとても美しく咲いていた。
咲き誇る花を眺めながら歩いていると、入り口付近で何か言い争う声が聞こえてくる。
ただならぬその声に、クリムはそっと気配を消して近づき、建物の影から様子を伺った。
セントラル駅構内で、孫可愛さに手当たり次第オモチャを買いまくるノイラートを、クリムは必死で止めている。
あれから暫くたって、主治医から動く許可が出たクリスタは、先伸ばしにしていた結婚式をこの時期にすることにした。
そして、今日ノイラート、クリム、ラングは結婚式に出席するためにクライムシュミットに向かっているのだ。
「何度も言ってるじゃないですか!?性別もわからないうちから買うのはいけませんと!」
ラングにも声を荒らげて注意され、ノイラートはさすがにシュンとなっている。
「いいじゃないか……別に…オモチャに性別が関係あるか?」
ぶつぶつ悪態をつく、ノイラートの腕を引っ張りながら、ラングとクリムは一等席コンパートメントに乗り込んだ。
「ノイラート様は女の子の物ばかり買ってますよね!?お人形やら、ヒラヒラのドレスとか!もし、男の子だったらどうするんですか!?」
「私は女の子だと思うぞ?」
「何を根拠に言ってるんですか!?むしろ、私は男の子だと思いますよ!?」
「それこそ何を根拠に言うんだ?あ?」
ああもう、この爺ども、いい加減にしてくれ………。
ラングにとってもクリスタは娘と同じくらい大切な存在だから、浮かれるのもわかるけどな。
グリュッセル邸からずっとこの調子だぞ!もう気が狂いそうだ!
クリムはコンパートメントを、もう一部屋とっておけば良かったとため息をついた。
終わる気配のない不毛な言い合いは、結局クライムシュミットに着くまで続き、巻き込まれては堪らないとクリムはずっと寝た振りをしていた。
ハインミュラー家の執事、ルドガーの迎えでシェーレンベルグ教会に着くと、すぐに控え室に通されてクリスタと会うことが出来た。
昔より随分長くなった黄金の髪にティアラを戴き、薄いレースのとても長いベールをつけて、少しウエストがゆったりめの上品なドレスを纏うクリスタを見て、爺どもは堪えきれずに泣き出した。
「お、お父様?ラングも……一体どうしたの?」
顔をクシャクシャにして泣く二人に、クリスタも困惑している。
「美しいぞ!本当に!ルイーシャもビックリだな」
「ええ!そうですね!……私、もう、思い残すことはありません!」
「え?ああ、ありがとう!お父様は私のエスコートをしてもらうから、まだここにいてね。そう言えばクライン兄さんは?」
「現地集合ということになっているが……まだ来てないか?全く、時間も守れないとはやはり碌でもないな」
「そうなの?間に合うといいけど……」
「…………外で待っていてやるよ。来たらすぐに連れていくから」
本当は凄く嫌だが、クリスタの沈んだ顔なんて見たくないし、今日は笑顔でいさせてやりたいからな。
「ありがとう!クリム兄さん!」
「いいよ、その代わり父さんを頼むぞ。どうも最近爺バカが酷くてな。目を離すとすぐにオモチャや子供服を買うんだ。お前からも良く言っておいてくれ」
クリスタは弾むように笑うと、ノイラートの元へ歩み寄り、何かを話始めた。
「さぁて、野猿を捕獲に行くか………」
クリムは控え室を出て、花壇に囲まれた細い道を入り口に向かって歩いていた。
質素だが手入れが行き届いた建物は、ハインミュラー領唯一の教会なだけあって広大で趣がある。
アーベルが管理を怠らないのだろう、花壇の花もとても美しく咲いていた。
咲き誇る花を眺めながら歩いていると、入り口付近で何か言い争う声が聞こえてくる。
ただならぬその声に、クリムはそっと気配を消して近づき、建物の影から様子を伺った。
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