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第9話:「救出の代償」
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《――抜けた、見つけたッ!》
89AWVの機内に、髄菩の耳に。
操縦手の藩童の、その目が見止めたものを知らせる声が通信越しに響く。
髄菩機の89AWVは並ぶ建物家屋の内を、その堅牢な機体で破壊倒壊させて突っ切り押し進み。
今、街の中心の噴水広場へと抜け出て踏み込んだのだ。
「ビンゴだ」
機長席ではペリスコープ越しに髄菩も同じ光景を見止め、一言を零す。
開けた視界に映るは、噴水広場を舞台に繰り広げられる苛烈な戦闘の光景。その中心である大きな噴水周りに、救助目標である空挺の一個班の姿を見つけたのだ。
「藩童、空挺の前に配置しろッ」
《了解ッ》
89AWVは、広場へ突き抜け踏み込んだそのままの速度で。噴水の横を抜けて、空挺班に遮蔽を提供する形で、前側方へと進み配置。
「薩来」
「フフ――」
そして間髪入れずに、薩来の操作によってその砲塔に備わる35mm機関砲が。すでに確認していた波状攻撃を仕掛けてくる帝国軍の小隊に向けて。
凶悪で残酷なまでの機関砲投射を浴びせ始めた。
同時に、今しがた髄菩機の89AWVが抉じ開けた家屋の大穴から。後続の93AWV、97RFW、24AAVが立つ続けに踏み込み出現。
93AWVと97RFWは、89AWVと同じく空挺班を庇い遮蔽を提供するように。噴水の周り各所へ配置。93AWVは直後に90mm低圧砲を撃ち放ち、97RFWは25mm機関砲による掃射を開始。抵抗軍の波状攻撃を退けるべく、戦闘行動を開始。
24AAVは空挺班の篭る噴水の背後すぐ傍に停車し、空挺の彼女(彼)等の頭上を越えて、40mmてき弾銃による援護射撃投射を始めた。
「これは……ッ!」
「マジでっ?マジじゃんッ!」
現れ、自分等空挺班を囲い庇うように配置した装脚機と装甲車を目にして。
彗跡や奈織を始め空挺隊員等は、射撃戦闘の動きを止める事こそ無く継続するが。同時に少なからずの驚きの色を見せている。
「――まだ無事でなによりだ」
そんな彗跡や奈織に、直後には前方頭上。二人のすぐ前に配置した89AWVの機上より声が寄越され聞こえる。
そこに見えるは。その手にした搭乗員用の自衛火器――17式11.43mm機関けん銃を片手で突き出し構え、.45口径弾を迫る帝国兵に向けてばら撒きながら。
同時に、ボディスーツ装備に強調されるその魅惑の上体を捻り、顔を見せて視線を寄越す黒髪の美少女。
他でもない、髄菩の姿であった。
「ふぉっ!?髄ピじゃんっ!」
その髄菩に気づき、金髪白ギャルの奈織がそんな呼び名と同時に驚く声を上げる。
それは彼女(彼)、奈織が勝手に呼んでいる髄菩の愛称。
「あぁ、やはりお前さんも居たか」
その呼びかけと、奈織の姿を機上より見止め。反して髄菩は何かシラけたような言葉を返してまた寄越す。
明かせば、ひょんな縁から。髄菩と奈織は日本国防衛隊が異世界に介入を始めて以来、顔見知りとなり。そしてまた妙な縁から、都度都度顔を合わせ作戦を共にする間柄であったのだ。
「うっひょ、レスキューに来てくれたんっ!?コレやっぱ、あーし等ディスティニーな友ピ系っしょっ!」
そんな関係の上で。
髄菩の姿を見止めた奈織は、戦闘への意識動きを疎かにする事なく。しかし何か〝アガった〟様子で嬉しそうに発する、流石の空挺と言うべきか器用な姿を見せる。
しかし髄菩は今はそれに相手をする暇は無いと、シラけた色のまま返事は返さなかった。
「君等かッ!」
「二尉、ご無事のようで」
そして続け、驚く様子で声を掛けて来た彗跡に。髄菩はまた淡々とした色で一言だけを返す。
「マジやばやばのヤバだったよーっ!髄ピ、ギリでの登場パフォーマンス神すぎ系っ!?」
それにまたテンションの高い嬉しそうな声で返すは、同時に器用に戦闘行動は続けている奈織。
戦闘の内でのアドレナリン効果もあるのか、それは彼女(彼)のいつものそれに輪を掛けて昂ったものであった。
「二尉、おしゃべりの猶予はありません。こっちも無理して押して来てます、直ちにそちらを収容したい」
しかし、髄菩はまたも奈織のそれをスルー。「ひーん、変わらずのマジ塩っ!」と奈織からは鳴き真似混じりの声が聞こえるが、それもやはりスルー。
そして指揮官である彗跡に、必要最低限の言葉で状況と、要求したい行動を告げる。
「――闘藤三佐の90は?」
そして一度、髄菩は噴水広場の周囲を素早く見回したた後に。彗跡に尋ねる言葉を降ろした。
空挺班と一緒に殿となり、残ったはずの闘藤機の90MBWの姿は、この場に無かったのだ。
「闘藤三佐は……敵機甲戦力の目を我々から逸らすために、囮を買ってこの場を離れられた……ッ」
その問いかけに、彗跡から返されたのは、酷く苦く気に病んだ様子でのそんな説明の返答。
「あぁ――」
少なからず知っていた闘藤の信念気質から。それだけで、状況経緯を理解するには十分であった。
「――了解。こっちも深い追いはするなと釘を刺されている、そちらだけ拾って一旦離脱しますッ。AAVに急ぎ搭乗をッ」
「ッ……了解だ……!」
そして髄菩はすでに括った腹で、冷淡に割り切る様子で。彗跡に補足の説明を、そして要請の言葉を降ろし告げる。
それに彗跡も。
その色には大変に後ろ髪を引かれる思いなのであろう、苦く険しい色を見せながらも。
空挺幹部として、隊員の命を預かる身として。冷徹な判断を受け入れ下さなければならない事は分かっているのであろう。
了解の返答を絞り出し返す。
「奴さん連中のウェーブは、こっちで抑えます。手早く」
「すまない……各員!順次配置を解きAAVに乗車、急げッ!」
そして重ねての髄菩の要請の言葉に、彗跡はまた返すと、次には指揮下の空挺各員に向けて発し上げる。
それに呼応し、空挺隊員の各員は順に配置を解き。互いを援護しながらの24AAVへの登場を開始。
「――薩来、左を浚えろッ。左、機関銃付随の敵分隊ッ」
《フフ――了》
その間にも、髄菩機の89AWV始め各装脚機、装甲車は苛烈な戦闘行動を続ける。
髄菩機の89AWVは砲塔を旋回させて再照準を行い、次には髄菩の指示した敵分隊を、その35mm機関砲の凶悪な掃射で血肉の霧へと変えた。
同じく各方向で、芹滝機の93AWVや97RFWの砲撃や投射が唸り、敵の波状攻撃を退ける。
《ウェーブが半端じゃないッ。髄菩、長く維持はできないッ》
しかし、通信で芹滝からそんな声が寄越される。
その言葉通り、帝国軍の波状攻撃は収まる所か、その過激さを増す一方。
装脚機を有するとは言え、少数で踏み込んできた救出隊が、それを長時間抑え続ける事は望めなかった。
「だろうよッ」
それに髄菩は、予想できていた事と一言だけで答える。
《各機、収容次第ただちに離脱できるよう準備して置けッ!》
そして芹滝からは、指示の言葉が通信で響く。
その間も帝国軍の押し上げ突撃は苛烈さを増し、敵味方双方の無数の銃撃、砲撃投射音が絶え間なく響く。
《――皆搭乗したッ、収容完了ッ!》
そこへ、通信に彗跡の声での知らせる言葉が割り込み響く。
髄菩が振り向き見れば。24AAVには、最後までの援護を務めていた彗跡や奈織含む5名程の空挺隊員が、その車上に飛び乗る姿が見えた。
《脱出ッ、離脱だッ!》
そして間髪入れずに、芹滝の指示の声が響く。
3機の装脚機と1輛の水陸両用装甲車はほぼ同時にエンジンを唸らせ。この場からの脱出のための全速離脱を始めようとした。
しかし――それを阻むように。いや文字通り、阻む目的で。
噴水広場の側方、その場の家屋が向こうの奥より、爆破の勢いで倒壊。
その奥より、巨大な鋼鉄の物体が姿を出現させた。
《――ッ!戦車ァッ!!》
通信に、誰のものとも判別できぬ、知らせの怒号が響く。
その言葉の通りだ。
救出隊と空挺の脱出を阻むべく現れたのは、戦車。
鋼獣帝国陸軍の主力とする。ドイツのティーガーⅡが発展したようなイメージを受ける、第二世代主力戦車レベルの戦車。
脅威であるそれの襲来であった。
そしてその主力戦車は出現と同時に。その砲塔を、横腹を見せ無防備を晒す状態となっていた24AAVへと旋回させる動きを見せる。
「ッ――薩来、誘導弾ッ!」
それを見止め、その腹積もりを瞬時に察し。
髄菩が端的な支持の声を張り上げたのは直後。
《――了》
それに答えるは、砲手の薩来からの了解の返答。同時に、その手に操られる砲塔が微細な旋回再照準の動きを見せ。
――轟音が上がったのは直後。
89AWVの砲塔側面より上がったのは、瞬間であった。
それは、89AWVが砲塔側面に備える誘導弾発射機に収めている、79式対舟艇対戦車誘導弾・改が。ダイレクト照準から撃ちだされた音だ。
撃ちだされた誘導弾は、一瞬宙空間を飛び抜けた果てに、帝国軍主力戦車のどてっ腹に直撃。
その敵戦車を爆炎で包み、その破壊力で堅牢な装甲を砕き貫通し。その砲塔を吹き飛ばして空高く舞い上げた。
《――正面ッ!》
しかし、また間髪入れずに誰かの声が上がる。それを受け、髄菩が振り向き見れば。
正面からは今しがた屠った物と同型の戦車や、随伴の装甲車輛、戦闘車両が。広場への各接続路の向こうより、二両、三両、四両と次々に出現する光景が飛び込んだ。
「――行けェッ、脱出しろッ!!」
髄菩が、考えるよりも前に張り上げたのは同時。それは通信を用いて24AAVに向けた、命ずる域でのそれ。
《97ッ、離脱援護にッ!》
同時に通信に張り上げられ響くは、97RFWに向けられた芹滝からの要請。それは97RFWに空挺隊員を乗せた24AAVの援護に就くよう要請する声。
それ等を受け、24AAVは唸らせていたエンジンを吹かして急速後進。今先の突入の際に開けた家屋の大穴を、さらにねじ広げるまでの勢いで突っ込み、噴水広場から脱出離脱。
一瞬遅れ、先んじての離脱指示に躊躇を見せていた97RFWも。しかし任された援護の任を完遂すべく、急速後進で同じく家屋へ突っ込み離脱。
《ちょッ――髄ピッ!?ちょォッ!?》
通信に、嫌でもそれと判別できる金髪ギャルの奈織からの、髄菩を呼ぶ声が届いたのはその直後。
それは、髄菩等がこの場に留まり殿を請け負う気である事を、察して張り上げ寄越したもの。
だが直後、無慈悲にそれすら阻むようにまた破壊音が響き。
間一髪離脱した24AAVと97RFWと入れ替わり、残った髄菩等とを分断するように。新手の鋼獣帝国軍の歩兵戦闘車が、背後側方より出現。
髄菩機の89AWVと芹滝機の93AWVは、噴水広場のただ中で包囲され、孤立状態に陥った。
「薩来ッ」
《了ッ――》
最早呼ぶだけの言葉で髄菩と薩来は意思疎通。89AWVの35mm機関砲が唸り、新手の歩兵戦闘車に凶悪な掃射を浴びせその装甲を叩く。
「ヅッ――!」
89AWV側の投射は敵の歩兵戦闘車を蜂の巣にして屠った――が、しかし沈黙する寸前。敵の歩兵戦闘車はその20mmクラスの機関砲の最後っ屁を寄越し。
それは89AWVの装甲脚を二つほど貫通損傷させ。機はその姿勢を大きく崩した。
《――2、4番脚ダウンッ!機動大幅低下ッ》
操縦手の藩童から、叫ぶそれでの伝える声が響く。
「できる限りでいい、動き続けろッ!」
それに返す髄菩。
同時に、背後からは響き上がり届く爆音。
背中を任せる形となっている、芹滝機の93AWVが、踏み込んで来た敵装甲車を屠る音だ。
「後ろ頼むッ、正面はこっちで――」
次には芹滝から怒号の域で言葉が寄越されるが。それもさらなる爆音で掻き消される。93AWVよりの90mm低圧砲が再び咆哮を上げ、敵先頭車両を屠る音。
しかし、敵の猛攻は加速度的に増す一方。
噴水広場の四方八方より、帝国軍の戦車が、装甲・戦闘車輛が踏み込み。さらには数多の歩兵部隊がなだれ込み、押し上げて来る。
「薩来ッ!」
《やってる――ッ》
負けじと、35mm機関砲を我武者羅の様相でばら撒く髄菩機。それは帝国兵の一個分隊を血肉の霧に変える。
しかし瞬間、入れ替わりに。今度は敵の対戦車携行兵器の弾頭が飛来、炸裂。89AWVの後ろ装脚を損傷させた。
《5番停止……ッ、行動不可能ッ!上に上がるッ!》
藩童から寄越されるは、気が行動不能に陥った事を知らせる叫びに近い声。直後には操縦席のハッチが弾き飛ばす勢いで開かれ。
藩童がその悪魔娘のような魅惑の姿の、その半身を機上へと現し。
しかし似合わぬ剣幕で、その手に構えた9mm機関けん銃を、狙う暇すら惜しみばら撒き戦闘行動を開始する。
そしてそれにあっては髄菩の同様。今先からずっと、その手の17式11.43mm機関けん銃を我武者羅の域で各方へ撃ち放ち、肉薄で迫る帝国兵を屠り続けていた。
《砲塔、旋回不良――ッ》
89AWVの砲塔旋回は目に見えて鈍くなり、嫌な掠れる悲鳴が上がっている。
そして機内の薩来から寄越される知らせの声。そこにすでに彼女(彼)の普段見せる、不気味な笑いは無い。
ガギ――と。さらに立て続けに側方より響く、鉄の擦れ弾ける嫌な音。
それは芹滝機の93AWVが攻撃を受け、その機体の体勢を崩す音。
《――システムほぼダウンっ、砲塔沈黙、投射不可能――当機は戦闘継続力無しィッ!!》
そして届く、悲鳴の域で張り上げられ寄越された芹滝の声。
――ついに、髄菩機と芹滝機はどちらも戦闘行動不能に陥った。
「――ッゥ!」
四方より、すでに機体の眼下、目と鼻の先まで肉薄する帝国兵を目に付く端から撃ち抜きながら。
髄菩はその美少女顔にしかし剣幕を作り、無意識の切迫の声を零す。
「――後ろ、髄菩ォッ!!」
藩童からの張り上げる知らせ――警告の言葉が届いたのは。
そして、背後に気配を、害意を感じたのはその瞬間。
「――!」
咄嗟に振り向き、そこに見えたのは砲塔上に立つ人影――帝国兵の姿。
ドグ――、と。
髄菩の後ろ首に、鈍くしかし強烈な衝撃が襲ったのは直後。
それは、帝国兵が救う様に振るい降ろした突撃銃の銃床が。髄菩の後ろ首を打った音。
それを薄れゆく意識の中で理解し、そして未だ木霊し続ける激しい銃火の音を聞きながら。
髄簿はその意識を暗闇へと沈めた――
89AWVの機内に、髄菩の耳に。
操縦手の藩童の、その目が見止めたものを知らせる声が通信越しに響く。
髄菩機の89AWVは並ぶ建物家屋の内を、その堅牢な機体で破壊倒壊させて突っ切り押し進み。
今、街の中心の噴水広場へと抜け出て踏み込んだのだ。
「ビンゴだ」
機長席ではペリスコープ越しに髄菩も同じ光景を見止め、一言を零す。
開けた視界に映るは、噴水広場を舞台に繰り広げられる苛烈な戦闘の光景。その中心である大きな噴水周りに、救助目標である空挺の一個班の姿を見つけたのだ。
「藩童、空挺の前に配置しろッ」
《了解ッ》
89AWVは、広場へ突き抜け踏み込んだそのままの速度で。噴水の横を抜けて、空挺班に遮蔽を提供する形で、前側方へと進み配置。
「薩来」
「フフ――」
そして間髪入れずに、薩来の操作によってその砲塔に備わる35mm機関砲が。すでに確認していた波状攻撃を仕掛けてくる帝国軍の小隊に向けて。
凶悪で残酷なまでの機関砲投射を浴びせ始めた。
同時に、今しがた髄菩機の89AWVが抉じ開けた家屋の大穴から。後続の93AWV、97RFW、24AAVが立つ続けに踏み込み出現。
93AWVと97RFWは、89AWVと同じく空挺班を庇い遮蔽を提供するように。噴水の周り各所へ配置。93AWVは直後に90mm低圧砲を撃ち放ち、97RFWは25mm機関砲による掃射を開始。抵抗軍の波状攻撃を退けるべく、戦闘行動を開始。
24AAVは空挺班の篭る噴水の背後すぐ傍に停車し、空挺の彼女(彼)等の頭上を越えて、40mmてき弾銃による援護射撃投射を始めた。
「これは……ッ!」
「マジでっ?マジじゃんッ!」
現れ、自分等空挺班を囲い庇うように配置した装脚機と装甲車を目にして。
彗跡や奈織を始め空挺隊員等は、射撃戦闘の動きを止める事こそ無く継続するが。同時に少なからずの驚きの色を見せている。
「――まだ無事でなによりだ」
そんな彗跡や奈織に、直後には前方頭上。二人のすぐ前に配置した89AWVの機上より声が寄越され聞こえる。
そこに見えるは。その手にした搭乗員用の自衛火器――17式11.43mm機関けん銃を片手で突き出し構え、.45口径弾を迫る帝国兵に向けてばら撒きながら。
同時に、ボディスーツ装備に強調されるその魅惑の上体を捻り、顔を見せて視線を寄越す黒髪の美少女。
他でもない、髄菩の姿であった。
「ふぉっ!?髄ピじゃんっ!」
その髄菩に気づき、金髪白ギャルの奈織がそんな呼び名と同時に驚く声を上げる。
それは彼女(彼)、奈織が勝手に呼んでいる髄菩の愛称。
「あぁ、やはりお前さんも居たか」
その呼びかけと、奈織の姿を機上より見止め。反して髄菩は何かシラけたような言葉を返してまた寄越す。
明かせば、ひょんな縁から。髄菩と奈織は日本国防衛隊が異世界に介入を始めて以来、顔見知りとなり。そしてまた妙な縁から、都度都度顔を合わせ作戦を共にする間柄であったのだ。
「うっひょ、レスキューに来てくれたんっ!?コレやっぱ、あーし等ディスティニーな友ピ系っしょっ!」
そんな関係の上で。
髄菩の姿を見止めた奈織は、戦闘への意識動きを疎かにする事なく。しかし何か〝アガった〟様子で嬉しそうに発する、流石の空挺と言うべきか器用な姿を見せる。
しかし髄菩は今はそれに相手をする暇は無いと、シラけた色のまま返事は返さなかった。
「君等かッ!」
「二尉、ご無事のようで」
そして続け、驚く様子で声を掛けて来た彗跡に。髄菩はまた淡々とした色で一言だけを返す。
「マジやばやばのヤバだったよーっ!髄ピ、ギリでの登場パフォーマンス神すぎ系っ!?」
それにまたテンションの高い嬉しそうな声で返すは、同時に器用に戦闘行動は続けている奈織。
戦闘の内でのアドレナリン効果もあるのか、それは彼女(彼)のいつものそれに輪を掛けて昂ったものであった。
「二尉、おしゃべりの猶予はありません。こっちも無理して押して来てます、直ちにそちらを収容したい」
しかし、髄菩はまたも奈織のそれをスルー。「ひーん、変わらずのマジ塩っ!」と奈織からは鳴き真似混じりの声が聞こえるが、それもやはりスルー。
そして指揮官である彗跡に、必要最低限の言葉で状況と、要求したい行動を告げる。
「――闘藤三佐の90は?」
そして一度、髄菩は噴水広場の周囲を素早く見回したた後に。彗跡に尋ねる言葉を降ろした。
空挺班と一緒に殿となり、残ったはずの闘藤機の90MBWの姿は、この場に無かったのだ。
「闘藤三佐は……敵機甲戦力の目を我々から逸らすために、囮を買ってこの場を離れられた……ッ」
その問いかけに、彗跡から返されたのは、酷く苦く気に病んだ様子でのそんな説明の返答。
「あぁ――」
少なからず知っていた闘藤の信念気質から。それだけで、状況経緯を理解するには十分であった。
「――了解。こっちも深い追いはするなと釘を刺されている、そちらだけ拾って一旦離脱しますッ。AAVに急ぎ搭乗をッ」
「ッ……了解だ……!」
そして髄菩はすでに括った腹で、冷淡に割り切る様子で。彗跡に補足の説明を、そして要請の言葉を降ろし告げる。
それに彗跡も。
その色には大変に後ろ髪を引かれる思いなのであろう、苦く険しい色を見せながらも。
空挺幹部として、隊員の命を預かる身として。冷徹な判断を受け入れ下さなければならない事は分かっているのであろう。
了解の返答を絞り出し返す。
「奴さん連中のウェーブは、こっちで抑えます。手早く」
「すまない……各員!順次配置を解きAAVに乗車、急げッ!」
そして重ねての髄菩の要請の言葉に、彗跡はまた返すと、次には指揮下の空挺各員に向けて発し上げる。
それに呼応し、空挺隊員の各員は順に配置を解き。互いを援護しながらの24AAVへの登場を開始。
「――薩来、左を浚えろッ。左、機関銃付随の敵分隊ッ」
《フフ――了》
その間にも、髄菩機の89AWV始め各装脚機、装甲車は苛烈な戦闘行動を続ける。
髄菩機の89AWVは砲塔を旋回させて再照準を行い、次には髄菩の指示した敵分隊を、その35mm機関砲の凶悪な掃射で血肉の霧へと変えた。
同じく各方向で、芹滝機の93AWVや97RFWの砲撃や投射が唸り、敵の波状攻撃を退ける。
《ウェーブが半端じゃないッ。髄菩、長く維持はできないッ》
しかし、通信で芹滝からそんな声が寄越される。
その言葉通り、帝国軍の波状攻撃は収まる所か、その過激さを増す一方。
装脚機を有するとは言え、少数で踏み込んできた救出隊が、それを長時間抑え続ける事は望めなかった。
「だろうよッ」
それに髄菩は、予想できていた事と一言だけで答える。
《各機、収容次第ただちに離脱できるよう準備して置けッ!》
そして芹滝からは、指示の言葉が通信で響く。
その間も帝国軍の押し上げ突撃は苛烈さを増し、敵味方双方の無数の銃撃、砲撃投射音が絶え間なく響く。
《――皆搭乗したッ、収容完了ッ!》
そこへ、通信に彗跡の声での知らせる言葉が割り込み響く。
髄菩が振り向き見れば。24AAVには、最後までの援護を務めていた彗跡や奈織含む5名程の空挺隊員が、その車上に飛び乗る姿が見えた。
《脱出ッ、離脱だッ!》
そして間髪入れずに、芹滝の指示の声が響く。
3機の装脚機と1輛の水陸両用装甲車はほぼ同時にエンジンを唸らせ。この場からの脱出のための全速離脱を始めようとした。
しかし――それを阻むように。いや文字通り、阻む目的で。
噴水広場の側方、その場の家屋が向こうの奥より、爆破の勢いで倒壊。
その奥より、巨大な鋼鉄の物体が姿を出現させた。
《――ッ!戦車ァッ!!》
通信に、誰のものとも判別できぬ、知らせの怒号が響く。
その言葉の通りだ。
救出隊と空挺の脱出を阻むべく現れたのは、戦車。
鋼獣帝国陸軍の主力とする。ドイツのティーガーⅡが発展したようなイメージを受ける、第二世代主力戦車レベルの戦車。
脅威であるそれの襲来であった。
そしてその主力戦車は出現と同時に。その砲塔を、横腹を見せ無防備を晒す状態となっていた24AAVへと旋回させる動きを見せる。
「ッ――薩来、誘導弾ッ!」
それを見止め、その腹積もりを瞬時に察し。
髄菩が端的な支持の声を張り上げたのは直後。
《――了》
それに答えるは、砲手の薩来からの了解の返答。同時に、その手に操られる砲塔が微細な旋回再照準の動きを見せ。
――轟音が上がったのは直後。
89AWVの砲塔側面より上がったのは、瞬間であった。
それは、89AWVが砲塔側面に備える誘導弾発射機に収めている、79式対舟艇対戦車誘導弾・改が。ダイレクト照準から撃ちだされた音だ。
撃ちだされた誘導弾は、一瞬宙空間を飛び抜けた果てに、帝国軍主力戦車のどてっ腹に直撃。
その敵戦車を爆炎で包み、その破壊力で堅牢な装甲を砕き貫通し。その砲塔を吹き飛ばして空高く舞い上げた。
《――正面ッ!》
しかし、また間髪入れずに誰かの声が上がる。それを受け、髄菩が振り向き見れば。
正面からは今しがた屠った物と同型の戦車や、随伴の装甲車輛、戦闘車両が。広場への各接続路の向こうより、二両、三両、四両と次々に出現する光景が飛び込んだ。
「――行けェッ、脱出しろッ!!」
髄菩が、考えるよりも前に張り上げたのは同時。それは通信を用いて24AAVに向けた、命ずる域でのそれ。
《97ッ、離脱援護にッ!》
同時に通信に張り上げられ響くは、97RFWに向けられた芹滝からの要請。それは97RFWに空挺隊員を乗せた24AAVの援護に就くよう要請する声。
それ等を受け、24AAVは唸らせていたエンジンを吹かして急速後進。今先の突入の際に開けた家屋の大穴を、さらにねじ広げるまでの勢いで突っ込み、噴水広場から脱出離脱。
一瞬遅れ、先んじての離脱指示に躊躇を見せていた97RFWも。しかし任された援護の任を完遂すべく、急速後進で同じく家屋へ突っ込み離脱。
《ちょッ――髄ピッ!?ちょォッ!?》
通信に、嫌でもそれと判別できる金髪ギャルの奈織からの、髄菩を呼ぶ声が届いたのはその直後。
それは、髄菩等がこの場に留まり殿を請け負う気である事を、察して張り上げ寄越したもの。
だが直後、無慈悲にそれすら阻むようにまた破壊音が響き。
間一髪離脱した24AAVと97RFWと入れ替わり、残った髄菩等とを分断するように。新手の鋼獣帝国軍の歩兵戦闘車が、背後側方より出現。
髄菩機の89AWVと芹滝機の93AWVは、噴水広場のただ中で包囲され、孤立状態に陥った。
「薩来ッ」
《了ッ――》
最早呼ぶだけの言葉で髄菩と薩来は意思疎通。89AWVの35mm機関砲が唸り、新手の歩兵戦闘車に凶悪な掃射を浴びせその装甲を叩く。
「ヅッ――!」
89AWV側の投射は敵の歩兵戦闘車を蜂の巣にして屠った――が、しかし沈黙する寸前。敵の歩兵戦闘車はその20mmクラスの機関砲の最後っ屁を寄越し。
それは89AWVの装甲脚を二つほど貫通損傷させ。機はその姿勢を大きく崩した。
《――2、4番脚ダウンッ!機動大幅低下ッ》
操縦手の藩童から、叫ぶそれでの伝える声が響く。
「できる限りでいい、動き続けろッ!」
それに返す髄菩。
同時に、背後からは響き上がり届く爆音。
背中を任せる形となっている、芹滝機の93AWVが、踏み込んで来た敵装甲車を屠る音だ。
「後ろ頼むッ、正面はこっちで――」
次には芹滝から怒号の域で言葉が寄越されるが。それもさらなる爆音で掻き消される。93AWVよりの90mm低圧砲が再び咆哮を上げ、敵先頭車両を屠る音。
しかし、敵の猛攻は加速度的に増す一方。
噴水広場の四方八方より、帝国軍の戦車が、装甲・戦闘車輛が踏み込み。さらには数多の歩兵部隊がなだれ込み、押し上げて来る。
「薩来ッ!」
《やってる――ッ》
負けじと、35mm機関砲を我武者羅の様相でばら撒く髄菩機。それは帝国兵の一個分隊を血肉の霧に変える。
しかし瞬間、入れ替わりに。今度は敵の対戦車携行兵器の弾頭が飛来、炸裂。89AWVの後ろ装脚を損傷させた。
《5番停止……ッ、行動不可能ッ!上に上がるッ!》
藩童から寄越されるは、気が行動不能に陥った事を知らせる叫びに近い声。直後には操縦席のハッチが弾き飛ばす勢いで開かれ。
藩童がその悪魔娘のような魅惑の姿の、その半身を機上へと現し。
しかし似合わぬ剣幕で、その手に構えた9mm機関けん銃を、狙う暇すら惜しみばら撒き戦闘行動を開始する。
そしてそれにあっては髄菩の同様。今先からずっと、その手の17式11.43mm機関けん銃を我武者羅の域で各方へ撃ち放ち、肉薄で迫る帝国兵を屠り続けていた。
《砲塔、旋回不良――ッ》
89AWVの砲塔旋回は目に見えて鈍くなり、嫌な掠れる悲鳴が上がっている。
そして機内の薩来から寄越される知らせの声。そこにすでに彼女(彼)の普段見せる、不気味な笑いは無い。
ガギ――と。さらに立て続けに側方より響く、鉄の擦れ弾ける嫌な音。
それは芹滝機の93AWVが攻撃を受け、その機体の体勢を崩す音。
《――システムほぼダウンっ、砲塔沈黙、投射不可能――当機は戦闘継続力無しィッ!!》
そして届く、悲鳴の域で張り上げられ寄越された芹滝の声。
――ついに、髄菩機と芹滝機はどちらも戦闘行動不能に陥った。
「――ッゥ!」
四方より、すでに機体の眼下、目と鼻の先まで肉薄する帝国兵を目に付く端から撃ち抜きながら。
髄菩はその美少女顔にしかし剣幕を作り、無意識の切迫の声を零す。
「――後ろ、髄菩ォッ!!」
藩童からの張り上げる知らせ――警告の言葉が届いたのは。
そして、背後に気配を、害意を感じたのはその瞬間。
「――!」
咄嗟に振り向き、そこに見えたのは砲塔上に立つ人影――帝国兵の姿。
ドグ――、と。
髄菩の後ろ首に、鈍くしかし強烈な衝撃が襲ったのは直後。
それは、帝国兵が救う様に振るい降ろした突撃銃の銃床が。髄菩の後ろ首を打った音。
それを薄れゆく意識の中で理解し、そして未だ木霊し続ける激しい銃火の音を聞きながら。
髄簿はその意識を暗闇へと沈めた――
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