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Chapter3:「インターバル」
Part22:「休息の一時」
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クエストを完了させ、モールロケーションを離れた二人。その頃には日時時刻は夜を迎えていた。
今さらながらに確認ができた事だが。このゲーム(?)世界の時間の進みと、向こう――元の世界、星宇宙こと星図の居た現実世界の進みは違うようなのだ。
星宇宙の体感では。星宇宙がこの世界で目覚めた時の時刻がだいたい朝方であり、それから夜となった今までほぼ日中一日が経過している。
しかし現実世界では、ここまでせいぜい3~4時間ほどの時間しか経過していないことが、
視聴者の皆からの知らせで判明した。
周囲が暗くなったのに合わせて、星宇宙とモカは本日の行程はここまでとし。休息とすることにした。
モール施設を離れて少し行ったところには、打ち捨てられたダイナー(アメリカ式の簡易食堂)があり、本日はそこを宿泊施設として拝借することにした。
「――はぁっ」
「ほぇっ」
ダイナー内のクリアリングをまず行い安全を確認。そして、そして二人は長らくぶりの一息の時を迎えてた。
二人とも武器を手近いに置き、最低限の警戒態勢は保ちながらも。
星宇宙は食堂カウンター席の一つに適当に腰掛け、モカはボックス席のソファシートにポフッと投げ出す。
そして二人はそれぞれ力を抜くように、少しに安堵の声を零した。
「ほやーっ、なかなか疲れたねー」
「あぁ。考えてみれば、こっちに転移?してから丸一日の強行軍だったからな」
それぞれ脱力した様子で言葉を交わす二人。
この世界に転移し。
そしてダウンディノのキャラバンの襲撃現場に遭遇。
それを乗り越え、村への立ち寄りとアイテムの回収を挟んでからの、午後一杯を要したモール攻略。
いつものTDWL5のプレイの際には最序盤に片づけてしまう流れであり、今回もそれに倣いこなしていったのだが。
現実よりも時間が圧縮されているらしいとはいえ、体感にして丸一日を要した強行軍。
この世界での自分等の体が生身のものなのか、仮想のものなのかは未だに分かっていなかったが。少なくとも精神的に疲労を感じるには十分すぎる行程であった。
《乙です》
《乙》
《大変だったねー》
手元のコメントウィンドウには、また視聴者の皆の労うコメントが流れる。
「皆もお疲れ様――時間の流れが違うみたいとはいえ、長丁場になったしよく付き合ってくれたね?」
それに同じく、時間の流れが違うとはいえ長く付き合ってくれた視聴者の皆に、労う言葉で返す星宇宙。
《気になって、ずっと画面に食いついてたわ》
《今日土曜やで暇してたし》
《ゴメン、作業の片手間に見てた》
《仕事の合間にサボリつつ見てたよ》
その星宇宙の問いかけには、視聴者の皆のそれぞれ様々な事情を露わにするコメントが流れる。
「あっはは、なるほどね」
「お仕事な人たちはお疲れ様ーっ」
それに星宇宙はまた笑いを零し。横に立ちウィンドウを覗き込んで来たモカが、本日も仕事であった人たち等に労いの言葉を向ける。
《失業中ですが何か……?》
《昨日が退職日だったワテ》
《大学休み中だし》
中にはそんな赤裸々な事情を明かすコメントも流れる。
「「お前むーしょくっ」」
そんなコメントに向けては、星宇宙とモカは声をシンクロさせてのそんなブラックに揶揄う台詞を発する。
《やかましいわ》
《次は決まってるから……!》
《大学生なのに無職になってしもうたやん》
それにまた反応や突っ込みやのコメントが流れる。
「あははっ、嘘嘘っ、ゴメンゴメン。俺も失業経験はあるし、その苦労や不安は分かってるよ」
「無理せず自分のペースで次を探して、進んで行けばいいよっ」
それに星宇宙はまた冗談交じりに笑いつつ弁明の言葉を紡ぎ。合わせて、二人はそんなフォローの言葉を視聴者の皆へ向けて紡いだ。
それからも視聴者の皆と、やり取りをちょこちょこ交わしつつ。
並行して二人は、それぞれの腹が訴え始めた空腹を満たすべく夕食とする事にした。
席取りを変えて、星宇宙とモカは二人してボックス席に対面で座り。
回収入手した戦利品のうちから食品アイテムを一つ二つ、その時の気分のままにピックアップ。
同じく、回収したアイテムの内から携帯コンロと鍋を用いて湯を沸かし(元は演出のジャンクアイテムだが、今に在ってはちゃんと使うことができた)。
インスタント食品を簡単に調理、手軽な献立を形にした。
「〝戦闘基礎教範〟を習得しといて……後どうしよ」
《俺は〝体質強化〟とか最大成長ランク多めのやつを早めに取り出す》
《目先の少しの強化よりも、コンプすると恩恵でかいやつに今から投資するのが吉かと》
《幸い、MOD武器のおかげで直の攻撃力とかはカバーできるしね》
星宇宙は温めたチリコンカンの缶詰を、片手間に直接缶からスプーンで口に運びつつ。
レベル・スキルウィンドウと睨めっこ。
ここまでの戦闘経験などで得られたレベルポイントにて取得可能なパーク、スキルを。視聴者の皆の助言を受けつつ、考え組み立てている。
「はふっ、はむー」
その対面でモカは、湯で調理して皿に盛ったマカロニ&チーズを、可愛らしくはふはふと口に運んでいる。
ちなみにそんな二人の食事の光景に「飯テロ」を食らい。
視聴者の皆の中にも向こうで軽食としたり、コンビニに行ってくることにしたりと、影響を与えていたりする零れ話もありつつ。
星宇宙とモカは、戦いの乗り越えた後の疲れと空腹を。簡単ながらも豊かな食事、休息の一時で癒したのであった。
今さらながらに確認ができた事だが。このゲーム(?)世界の時間の進みと、向こう――元の世界、星宇宙こと星図の居た現実世界の進みは違うようなのだ。
星宇宙の体感では。星宇宙がこの世界で目覚めた時の時刻がだいたい朝方であり、それから夜となった今までほぼ日中一日が経過している。
しかし現実世界では、ここまでせいぜい3~4時間ほどの時間しか経過していないことが、
視聴者の皆からの知らせで判明した。
周囲が暗くなったのに合わせて、星宇宙とモカは本日の行程はここまでとし。休息とすることにした。
モール施設を離れて少し行ったところには、打ち捨てられたダイナー(アメリカ式の簡易食堂)があり、本日はそこを宿泊施設として拝借することにした。
「――はぁっ」
「ほぇっ」
ダイナー内のクリアリングをまず行い安全を確認。そして、そして二人は長らくぶりの一息の時を迎えてた。
二人とも武器を手近いに置き、最低限の警戒態勢は保ちながらも。
星宇宙は食堂カウンター席の一つに適当に腰掛け、モカはボックス席のソファシートにポフッと投げ出す。
そして二人はそれぞれ力を抜くように、少しに安堵の声を零した。
「ほやーっ、なかなか疲れたねー」
「あぁ。考えてみれば、こっちに転移?してから丸一日の強行軍だったからな」
それぞれ脱力した様子で言葉を交わす二人。
この世界に転移し。
そしてダウンディノのキャラバンの襲撃現場に遭遇。
それを乗り越え、村への立ち寄りとアイテムの回収を挟んでからの、午後一杯を要したモール攻略。
いつものTDWL5のプレイの際には最序盤に片づけてしまう流れであり、今回もそれに倣いこなしていったのだが。
現実よりも時間が圧縮されているらしいとはいえ、体感にして丸一日を要した強行軍。
この世界での自分等の体が生身のものなのか、仮想のものなのかは未だに分かっていなかったが。少なくとも精神的に疲労を感じるには十分すぎる行程であった。
《乙です》
《乙》
《大変だったねー》
手元のコメントウィンドウには、また視聴者の皆の労うコメントが流れる。
「皆もお疲れ様――時間の流れが違うみたいとはいえ、長丁場になったしよく付き合ってくれたね?」
それに同じく、時間の流れが違うとはいえ長く付き合ってくれた視聴者の皆に、労う言葉で返す星宇宙。
《気になって、ずっと画面に食いついてたわ》
《今日土曜やで暇してたし》
《ゴメン、作業の片手間に見てた》
《仕事の合間にサボリつつ見てたよ》
その星宇宙の問いかけには、視聴者の皆のそれぞれ様々な事情を露わにするコメントが流れる。
「あっはは、なるほどね」
「お仕事な人たちはお疲れ様ーっ」
それに星宇宙はまた笑いを零し。横に立ちウィンドウを覗き込んで来たモカが、本日も仕事であった人たち等に労いの言葉を向ける。
《失業中ですが何か……?》
《昨日が退職日だったワテ》
《大学休み中だし》
中にはそんな赤裸々な事情を明かすコメントも流れる。
「「お前むーしょくっ」」
そんなコメントに向けては、星宇宙とモカは声をシンクロさせてのそんなブラックに揶揄う台詞を発する。
《やかましいわ》
《次は決まってるから……!》
《大学生なのに無職になってしもうたやん》
それにまた反応や突っ込みやのコメントが流れる。
「あははっ、嘘嘘っ、ゴメンゴメン。俺も失業経験はあるし、その苦労や不安は分かってるよ」
「無理せず自分のペースで次を探して、進んで行けばいいよっ」
それに星宇宙はまた冗談交じりに笑いつつ弁明の言葉を紡ぎ。合わせて、二人はそんなフォローの言葉を視聴者の皆へ向けて紡いだ。
それからも視聴者の皆と、やり取りをちょこちょこ交わしつつ。
並行して二人は、それぞれの腹が訴え始めた空腹を満たすべく夕食とする事にした。
席取りを変えて、星宇宙とモカは二人してボックス席に対面で座り。
回収入手した戦利品のうちから食品アイテムを一つ二つ、その時の気分のままにピックアップ。
同じく、回収したアイテムの内から携帯コンロと鍋を用いて湯を沸かし(元は演出のジャンクアイテムだが、今に在ってはちゃんと使うことができた)。
インスタント食品を簡単に調理、手軽な献立を形にした。
「〝戦闘基礎教範〟を習得しといて……後どうしよ」
《俺は〝体質強化〟とか最大成長ランク多めのやつを早めに取り出す》
《目先の少しの強化よりも、コンプすると恩恵でかいやつに今から投資するのが吉かと》
《幸い、MOD武器のおかげで直の攻撃力とかはカバーできるしね》
星宇宙は温めたチリコンカンの缶詰を、片手間に直接缶からスプーンで口に運びつつ。
レベル・スキルウィンドウと睨めっこ。
ここまでの戦闘経験などで得られたレベルポイントにて取得可能なパーク、スキルを。視聴者の皆の助言を受けつつ、考え組み立てている。
「はふっ、はむー」
その対面でモカは、湯で調理して皿に盛ったマカロニ&チーズを、可愛らしくはふはふと口に運んでいる。
ちなみにそんな二人の食事の光景に「飯テロ」を食らい。
視聴者の皆の中にも向こうで軽食としたり、コンビニに行ってくることにしたりと、影響を与えていたりする零れ話もありつつ。
星宇宙とモカは、戦いの乗り越えた後の疲れと空腹を。簡単ながらも豊かな食事、休息の一時で癒したのであった。
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