ヴァーチャル美少女キャラにTSおっさん 世紀末なゲーム世界をタクティカルに攻略(&実況)して乗り切ります!

EPIC

文字の大きさ
上 下
22 / 56
Chapter3:「インターバル」

Part22:「休息の一時」

しおりを挟む
 クエストを完了させ、モールロケーションを離れた二人。その頃には日時時刻は夜を迎えていた。

 今さらながらに確認ができた事だが。このゲーム(?)世界の時間の進みと、向こう――元の世界、星宇宙こと星図の居た現実世界の進みは違うようなのだ。
 星宇宙の体感では。星宇宙がこの世界で目覚めた時の時刻がだいたい朝方であり、それから夜となった今までほぼ日中一日が経過している。
 しかし現実世界では、ここまでせいぜい3~4時間ほどの時間しか経過していないことが、
 視聴者の皆からの知らせで判明した。


 周囲が暗くなったのに合わせて、星宇宙とモカは本日の行程はここまでとし。休息とすることにした。
 モール施設を離れて少し行ったところには、打ち捨てられたダイナー(アメリカ式の簡易食堂)があり、本日はそこを宿泊施設として拝借することにした。

「――はぁっ」
「ほぇっ」

 ダイナー内のクリアリングをまず行い安全を確認。そして、そして二人は長らくぶりの一息の時を迎えてた。
 二人とも武器を手近いに置き、最低限の警戒態勢は保ちながらも。
 星宇宙は食堂カウンター席の一つに適当に腰掛け、モカはボックス席のソファシートにポフッと投げ出す。
 そして二人はそれぞれ力を抜くように、少しに安堵の声を零した。

「ほやーっ、なかなか疲れたねー」
「あぁ。考えてみれば、こっちに転移?してから丸一日の強行軍だったからな」

 それぞれ脱力した様子で言葉を交わす二人。

 この世界に転移し。
 そしてダウンディノのキャラバンの襲撃現場に遭遇。
 それを乗り越え、村への立ち寄りとアイテムの回収を挟んでからの、午後一杯を要したモール攻略。
 いつものTDWL5のプレイの際には最序盤に片づけてしまう流れであり、今回もそれに倣いこなしていったのだが。
 現実よりも時間が圧縮されているらしいとはいえ、体感にして丸一日を要した強行軍。

 この世界での自分等の体が生身のものなのか、仮想のものなのかは未だに分かっていなかったが。少なくとも精神的に疲労を感じるには十分すぎる行程であった。

《乙です》
《乙》
《大変だったねー》

 手元のコメントウィンドウには、また視聴者の皆の労うコメントが流れる。

「皆もお疲れ様――時間の流れが違うみたいとはいえ、長丁場になったしよく付き合ってくれたね?」

 それに同じく、時間の流れが違うとはいえ長く付き合ってくれた視聴者の皆に、労う言葉で返す星宇宙。

《気になって、ずっと画面に食いついてたわ》
《今日土曜やで暇してたし》
《ゴメン、作業の片手間に見てた》
《仕事の合間にサボリつつ見てたよ》

 その星宇宙の問いかけには、視聴者の皆のそれぞれ様々な事情を露わにするコメントが流れる。

「あっはは、なるほどね」
「お仕事な人たちはお疲れ様ーっ」

 それに星宇宙はまた笑いを零し。横に立ちウィンドウを覗き込んで来たモカが、本日も仕事であった人たち等に労いの言葉を向ける。

《失業中ですが何か……?》
《昨日が退職日だったワテ》
《大学休み中だし》

 中にはそんな赤裸々な事情を明かすコメントも流れる。

「「お前むーしょくっ」」

 そんなコメントに向けては、星宇宙とモカは声をシンクロさせてのそんなブラックに揶揄う台詞を発する。

《やかましいわ》
《次は決まってるから……!》
《大学生なのに無職になってしもうたやん》

 それにまた反応や突っ込みやのコメントが流れる。

「あははっ、嘘嘘っ、ゴメンゴメン。俺も失業経験はあるし、その苦労や不安は分かってるよ」
「無理せず自分のペースで次を探して、進んで行けばいいよっ」

 それに星宇宙はまた冗談交じりに笑いつつ弁明の言葉を紡ぎ。合わせて、二人はそんなフォローの言葉を視聴者の皆へ向けて紡いだ。


 それからも視聴者の皆と、やり取りをちょこちょこ交わしつつ。
 並行して二人は、それぞれの腹が訴え始めた空腹を満たすべく夕食とする事にした。

 席取りを変えて、星宇宙とモカは二人してボックス席に対面で座り。
 回収入手した戦利品のうちから食品アイテムを一つ二つ、その時の気分のままにピックアップ。
 同じく、回収したアイテムの内から携帯コンロと鍋を用いて湯を沸かし(元は演出のジャンクアイテムだが、今に在ってはちゃんと使うことができた)。
 インスタント食品を簡単に調理、手軽な献立を形にした。

「〝戦闘基礎教範〟を習得しといて……後どうしよ」
《俺は〝体質強化〟とか最大成長ランク多めのやつを早めに取り出す》
《目先の少しの強化よりも、コンプすると恩恵でかいやつに今から投資するのが吉かと》
《幸い、MOD武器のおかげで直の攻撃力とかはカバーできるしね》

 星宇宙は温めたチリコンカンの缶詰を、片手間に直接缶からスプーンで口に運びつつ。
 レベル・スキルウィンドウと睨めっこ。
 ここまでの戦闘経験などで得られたレベルポイントにて取得可能なパーク、スキルを。視聴者の皆の助言を受けつつ、考え組み立てている。

「はふっ、はむー」

 その対面でモカは、湯で調理して皿に盛ったマカロニ&チーズを、可愛らしくはふはふと口に運んでいる。

 ちなみにそんな二人の食事の光景に「飯テロ」を食らい。
 視聴者の皆の中にも向こうで軽食としたり、コンビニに行ってくることにしたりと、影響を与えていたりする零れ話もありつつ。

 星宇宙とモカは、戦いの乗り越えた後の疲れと空腹を。簡単ながらも豊かな食事、休息の一時で癒したのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

What a Wonderful World

一兎風タウ
SF
紀元後3518年。 荒廃したこの地には、戦闘用アンドロイド軍『オリュンポス軍』のみが存在していた⋯。 ー⋯はずだった。 十数年前に壊滅させた戦闘用アンドロイド軍『高天原軍』が再侵攻を始めた。 膠着状態となり、オリュンポス軍最高司令官のゼウスは惑星からの離脱、および爆破を決定した。 それに反発したポー、ハデス、ヘスティアの3人は脱走し、この惑星上を放浪する旅に出る。 これは、彼らが何かを見つけるための物語。 SF(すこしふしぎ)漫画の小説版。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...