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Chapter1:「タイトルコール」

Part7:「〝未来を失った心〟からの呼びかけ」

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「これは……?」
「んん?なになにっ?」

 唐突に表示されたコンソールウィンドウ。そしてそこに打ち込まれ始めた、こちらへの呼びかけの物と思しきものに。
 星宇宙とモカは意識と視線を向ける。

「なんだこれ、こんな展開無いぞ……?」

 そして訝しむ声を零す星宇宙。
 無理もない。こんな展開、演出はTDWL5のストーリーには存在しないはずなのだ。

「フューチャー・ロスト・ハート……?」

 呼びかけの人物(?)の名称はFuture Lost Heart(以下FLH)と言うらしい。

FLH:[いいだろう、次の段階に進める_]
FLH:[そしてすべてをうまく完遂させなければならない_]
FLH:[そのためにやらなければいけないことがある_]
FLH:[それは_]
FLH:[私はそれを幾度も幾度もテストした_]
FLH:[君にはそれが望めそうだ_]
FLH:[――旅を再開してもらう時間だ_]
FLH:[健闘を――_]

 箇条書きのそれで、そして少し独特な様相で。コンソールウィンドウにそんな言葉が連なる。
 何か一方的な呼びかけと訴え。
 最後に健闘を祈る一言が打たれると、それを最後に文章の打ち込みは途絶えた。

「どういう事だ?あんたは誰なんだっ?」

 そのコメントの向こうに何者かの存在の気配を感じ、星宇宙はコンソールウィンドウに向けて呼びかけの言葉を発する。
 しかし、それで要件は終わりとでも言うように。ウィンドウは直後にモニターの電源を落としたように、パツっと消失してしまった。

「あっ、消えた……!……どういう事だ?」
「今のは、誰か?からの呼びかけだったのかナ?」
「にしては一方的過ぎるが……」

 星宇宙が訝しみ、モカは推測の言葉を零す。そしてそれに少しの不服の色でまた零す星宇宙。

《えっ、えっ、今のは何?》
《これもゲームの演出?》
《いや既プレイ勢だけど、こんなんTDWL5の演出に無いぞ……?》
《私MOD結構入れてるけど、MODでもこういうのは見たことない……》

 そして同じくそれを見ていた、視聴者からも困惑のコメントが流れる。

《ゲームマスター……的な何者かってコト……?》

 そしてそんな推察のコメントが打ち込まれた。

「ゲームマスター……俺とかモカの、いろんなイレギュラーの原因なのか……?」

 そのコメントを受けて、星宇宙は自身の身体を見下ろし、また隣に立つモカを見ながら。自身もまた推察する言葉を零す。

《星ちゃんは、その推定GMにTDWL5の世界に呼び寄せられた?》

 さらに続けてコメントに、そんな推察のコメントが流れる。
 詳細、真意は分からずじまいだが。現在の諸々の状況に原因を求めるならば、今の所はそれが最も納得できる所であった。

「……一つ推察できたけど、代わりにさらに色々謎が増えちゃったな……」

 そして、少し深めのため息交じりの言葉で、星宇宙はそう紡ぐ。

「謎が謎を呼んじゃったねぇー……どうするの星ちゃん?」

 それに同意しつつ、尋ねる言葉を掛けるモカ。

「うん……だけど、今の推定GM呼びかけもまた、ゲーム進行を指針として示していたように見える。やっぱり、ゲームを進めて行くしかないみたいだ」

 それに引き続きの困惑を見せつつも、しかし星宇宙は続けてそう一つの答え・指針を出した言葉を紡ぐ。
 結局変わらず、ゲームクリアが現状の唯一の導であった。

「モカ、まだ付き合ってくれる?」
「うん?当たり前だよっ!あたしたちは一蓮托生って言ったのは星ちゃんマスターじゃんっ!」

 そして星宇宙が向けた尋ねる言葉に。モカは何を今さらというように答える。

「よし、じゃあ引き続きヨロシクっ」

 その答えは分かっていた確認を終え、星宇宙は笑顔で言葉を返した。

《話が大きく複雑になってきましたね……》
《一旦、態勢整えたほうがよさそう》

 コメントには、今のそれぞれの状況に対してのコメントが流れる。

「うん、だからとりあえずはセオリー通り、カウストさんたちの村へ向かうよ。最低限の補給ができるからね。ただその前に、廃スタンドのロケーションにだけは寄り道する。あそこが武器MODの出現場所になってるから」

 そのコメントにまた答え、星宇宙は次に行動指針を説明する。
 途中、負担なく寄り道できるロケーションではまた有志作成のMOD武器アイテムが入手できるのだ。
 それを手に入れた後に、カウストたちの村であるロケーションを尋ね。そこで補給、休養を取る算段であった。

「よし、モカ。再開しよう」
「オッケーっ!」

 そして二人は一旦態勢を整える事を目的とし、各ロケーションを目指しての肯定を開始した。
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