妖怪社長の伴侶は下僕

丹葉 菟ニ

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惨めな俺

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安野 茂は焦っていた。
パッピーハロウィンと浮かれるまわりと一緒に浮かれる事が出来ない。







周りでは次々と就活が成功して内定が取れてるのに、俺は今日もアンハッピーを煽るかの様に、22年間つるんで来た家のお隣さんの筐 明道は今日も鼻高々で語る。

「たまたまでしょ?でも、ラッキーってね」

「でも、凄いよ 内定があの北条ホールディングスなんて 私も受けたけど落ちたもん」

「私も」

「俺も っでも他で内定が取れたけどな」

どこどこで 内定が取れたと語ってるけど、どこも有名所だ。





次々と決まるのも早かった。8月もなれば半数以上が内定が決まり、その後もゆっくりとだが決まる中で俺は全く決まらずに、サークル仲間とパピーピポーなんて心から楽しめるはずも無くても、ヤケ酒は飲める。会費3000円分は飲んでやると飲みまくった。

そして、今日はサークル同士の飲み会兼交流会となってる為に、他の大学からも参加してるために またアイツの自慢話に女性が群がる。

「筐君って凄いよね カッコイイし、絶対彼女いるでしょ?」

「居ないよ」

まぁ、普通に読モしてたし学園アイドル君でもある。筐建設で北条の下請け、種明かしをすれば面接官に袖の下を渡してるから落ちるはずがないと、種明かしを酔った筐が俺に自慢話に話した。

どうだ?俺は全てを持ち合わせてる、順風満帆に人生を歩む俺って凄いだろ。と、自信満々に語るこいつは酒癖が悪い。そのまま放置をすれば良いと毎度思う。筐が酔ったら、本気のNGを自慢話として人に話してしまう奴だと知ってるのは筐の家族と俺ぐらいだ。だから常々飲みすぎるなと 厳重注意を受けてた筐は軽く受け流してるのを何度も見てる俺はよく知ってる。

見て見ぬ振りしてドツボに嵌れば良いと思うの反面、それが出来ない理由がある、それと言うのも、母が事務員として働いてる。
父が死んで母が俺と弟を女手一つで育ててくれてる。母さんが働きやすい環境の為にと。俺達がいきなり路頭に迷わない為にと、だから耐えるしかない。と、何時もそこそこ酔い始めた筐を見ると、こそこそとグラスを交換して俺が酒を飲み 筐にはウーロン茶を飲ませてる。

だから誰も俺が酒に強いとは知らない。

「まぁ、就活上手く行かなかったら 俺の親父に口聞いてやるから のんびり自分にあった所をじっくり探せよ」

自分を引き立たせるために、堂々と俺が内定が決まってない事をばらすのだ。
そして嗤笑される俺を見て、優越感に浸るコイツの目が思いっきり笑ってる。

「まぁ 本気で決まらない時は頼むよ」

いつも通りの言葉を返すが、回りの反応は冷やかな物だ。

「その時は遠慮なく言えよ。俺達 ガキの頃からの親友なんだから」

「優しいのね筐君。でも、 親友も選んだ方がいいと思うよ」

「同感だな」

「おいおい、ちょっと待てよ コイツはぽやっとしてるけど 良い奴なんだぜ  ただ コイツのいい所が分かってないだけだ。ずっと一緒に居ればヤスのいい所が分かるのにな?今日1日じゃ わかんないか」

「ほーんと 明道はヤスの事となると必死よね。家が隣りで一緒に育って来たヤスを心底心配してくれる明道に感謝しなさいよ」

サークル仲間内でもこんな感じだ。入りたくて入ったわけでもなく ほぼ無理矢理だ。

本当に入りたかったのはアニメサークルだったのに、運動音痴の俺は無理矢理スノーサークルなんかに入れさせられた、もちろん筐の引き立て役に。名前の通りスノーボードやスキー、真冬キャンプと雪に関する活動。なのに、サマーも入ってしまうのは何故だ?夏には海水浴やキャンプと川遊びと興味が有ればなんでも飛びつく理由の分からないサークルだ。

そんな 楽しければなんでもOKのサークル仲間も内定が取れてて、いつも一番下のお荷物でも、明道が庇い続けられる俺でしかない。最初は辞めると言えば明道が、会議だとメンバーを呼び出して、縁あった仲間が辞めるとのは~・・・・と熱弁を振るい、辞めれなくなった。

あと少しでおさらば出来る。少しの我慢だと。コレで、筐の引き立て役も全て終わりだ。

内定が取れない惨めから、今まで筐から受けた仕打ちを思い出しながらも、飲んでやると、飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで、ただ浸らすと飲みすぎた。そして、いつもストップ役を忘れた。

だけど、自分が酔ったらどうなるか知らなかった。22歳で初めて本気で飲んで知ってしまう。







誰にも気がつかれないままに、帰宅本能で勝手に帰り始めた。
深夜1時前になる前、フラフラと店を出て フラフラ フラフラと歩いてると街灯も無い道を歩いてる。何処だと?酔った頭でも見たことない道だと分かる。向こうから明かりが近づいて来たので、ここが何処なのか聞こうと光の前に飛び出した。




「えっ・・・・」
キキキッッーーーっっっ!!!
ドン!!、バン!ゴト!ドゴ!!

「社長、大丈夫ですか」
「ああ、私は大丈夫だ。馬鹿かアイツは?飛び出してくるとか 死にたいのか?」
「人を喰らう森にでも捨てますか?」
「息が無ければな。取り敢えず見るか」

人を轢いても冷静の2人は、それぞれ車から降り、転がってる人間の元にゆったりとした足取りが、ピタリと止まり 薄く引き結ばれてる唇が避けベロリと 唇を舌舐めずりをし、眼を細めて転がるものを見据えてる。

1歩後ろに居る男も 自分が轢いた男を愉快そうに見てた。

「捨てるのは勿体ないな」
「生きてるでしょうか?」
「それが問題だ。轢いたのはお前だからな、仕置きとして刑務所でも入ってくるか?」
「私が居なければ 色々とお困りになるかと」
「確かに。良い色だ、コレが生きてたら俺のモノにする」
「畏まりました。ああ、まだ息がありますね、虫の息ですが」

転がってる奴は腕や頭から血を流してる。

血が勿体ないとスラリと細く長い指を伸ばして血を掬うと極上のソースを舐めるように口に含んだ。

「コレほどの素晴らしいのは初めてだ、まさに最高級品だな」
「それは何よりです」
「連れて帰る。コイツは今日から私の伴侶だ、わかったな」
「御意」







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