赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

罰と禁止で

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本当だったら、ドワーフ族の職人に逢いに行く筈だったが、昨日グルファが出たと王都中に知らせてからは、殆どのお店の人が店を閉めて家の中に引きこもって 買い物をしたくても中々 買い物も出来なくなってしまったらしい。当然ドワーフ族のお店 [ごちゃ混ぜ鉄 店]のお店も休んでしまい会いにも行けないし、俺は外出禁止で出歩けない。その為に朝から編み物をして お昼から父さんの授業を受けてまた編み物をして一日が過ぎた。

まだ一日だけどテレビもゲームもネットもない世界で外出禁止って 辛い。
一日でレッグウォーマー編み上げたよ。頼んだ物もいつ届くか分かんないし 本当に 辛い。

『後 この状態が9日も続くなんて 耐えれないかも』

『大人しくしとかないと 更に伸びるぞ』

『それは辛いかも』

『朝 サラに頼んでた物はなんだ?種類が違う木を数本と種類の違う布と鉄と丈夫な布 太い糸 のり又は粘ってる物 だったが なにをするつもりだ?』

『錬金術』

『まさかと思ってたが アルベルトの言葉を忘れたか?」

『えっ!だって 闇魔法知らないから セーフだと思わない?』

『セーフが なんなのか分からんが、ばれた時の事を考えてるか?』

『みつからなければ 大丈夫かな?』

『見つからなければな。見つかれば また 気が長くなるような怒られながらの注意が待ってるぞ』

『・・・確かに あれは長かったよ。過去最高の説教時間だったかも』

『次はあの倍は 確実にあるものと思え。次は付き合わない』

耳も尻尾の元気が無くなった桔梗は確実に嫌なんだろうな。

『バレないように気をつけます』

『そうしろ』

止まり木で毛繕いしてた百合が桔梗の側に飛んできて桔梗の毛に埋もれたそうにしてるが前足で百合を押さえつけてしまった。

「百合 桔梗が嫌がることしちゃダメだよ」

「ピュピュピュピー」

ノックの後にノットさんがお茶を持って来てくれた。

「今晩は冷えますが毛布をもう1枚持って参りましょうか?」

「ありがとうございます。でも 桔梗も一緒に寝てくれるから大丈夫ですよ」

何時でも毛布を出しますから言ってくださいね。と、部屋を出ていった。




2日目の朝 皮と毛皮がそろったので見せたいとお母さんが訪ねて来た。

大して変わらないが 1点だけ気になって聞いてみた。

「流石 イオリね。その皮はなかなか手に入らない高級品よ。そうねレッグウォーマーで使う大きさなら大金貨5枚は硬いわね」

大金貨1枚で10万だから50万?高!!高すぎる。

皮の柔らかさと軽さ。オレが使いたい皮はコレだと言いたいけど言えない。言えるわけない。50万のレッグウォーマーを騎士全員分とか 考えれない。

「あははは、かなり高すぎて 騎士全員分なんて無理です。少し考えさせて下さい」

「えぇ、構わないわ。毛皮はどうかしら」

「1番手に入りやすい毛皮ってどれですか?」

「これかしら?子育ての後に手に入りやすい毛よ」

「毛は雛鳥の毛かな?。細くてフワフワしてますね。軽いし使い勝手が良さそう」

細い毛が絡まってて綿の様な感じだけど、元が羽だからだろう 羽の中心となる軸が チクチクと手に軽く刺さる。コレを袋に入れてズボンの上から巻いたとしてチクチクするか実験してみたいし、ほかの物もよく見てみたい。

お母さんに色々と試してみたいから預かりたいとお願いしたら直ぐに了解を貰った。

「夜 部屋から出て 教会近くに居たんですって?」

桔梗の耳がピクと反応した。

「はい。ごめんなさい。なんか 色々と気になってしまって」

やっぱり、怒られるんだ。アルベルトのお母さんだから きっと説教時間が長いだろうと覚悟した。

「アルベルトからきつく 怒られてると聞きましたので 私からは余り言いたく有りませんが、危ない事はしないで。今回は無事に帰ってこれたかも知れませんが 貴方に何かあれば 私の悲しみは計り知れません。二度と 黙って居なくなったりしないで、良いですねイオリ」

「はい。本当にすみませんでした」

「はぁ、この話はもう しません」

あれ、注意はされたけど あっさりとしてる。何となくだけど、ばあちゃんに似てる。俺がじいちゃんに おもいっきり怒られて泣いてたら ばぁちゃんに優しく慰められて一言二言注意をされてこの話はもう おしまい。で、終わる。

「うん、本当にごめんなさい」

「分かってくれたならそれで良いのよ。本当に無事で良かったわ。桔梗も次からはイオリが勝手に規則を破ったり危険な事をしようとしたら知らせて」

「くぅーン」

しおらしく鳴き声を上げる桔梗の頭を撫でるお母さんの掌に自分から擦り付けてる桔梗。
昨日 新作を作ったレッグウォーマー見せた。ゴムになる部分に1本に編んだ紐を通して縛る様にしたらズレにくくなって良い。提案してみたら かなり食いつきがいいお母さんに紐を通すボタンホール編みを教えたら、早速やって見たいと 自分の部屋に帰って行ったお母さん。

「桔梗って甘えた鳴き声も出せたんだ」

『私は少し散歩に行ってくるがイオリは大人しく家にいろ』

「俺と桔梗は謹慎中なのに桔梗は勝手に遊びに行くんだ」

『外出禁止を言われたのはイオリであって私ではないからな。いい子でいろ』

「はいはい。いってらっしゃい」

編み棒と毛糸を持って編みかけを編み始めると庭に出た桔梗は何処かに走り去って行った。

錬金術を使って見たかったけど火の玉を作るつもりで火柱を起こした時みたいになりたくないので、明日 庭に出る許可を貰った時にでもやって見るつもりだ。

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