160 / 192
上質な恋を
夜の冒険
しおりを挟む
『私が4人を気を引くからその隙に外で待ってろ』
言い終わるとトコトコと飛び出し、先ずは1人の騎士の腹あたりに擦り寄せて尻尾を緩く振る。
「桔梗も夜の見回りですか?ご苦労様です」
擦り寄られた騎士は上機嫌で桔梗に声をかけ始め、もう1人が近づき そっと背を撫でる。
「うわぁー、最高の手触り 気持ちいい」
「おい お前だけ狡いぞ」
声を出し反対側の騎士に近づく桔梗、思わせぶりな感じでゆったりと歩き 1人の騎士にまとわりついた。
その姿は猫が気まぐれに甘える姿そのものだ。
「おぉー すげぇ、初めて桔梗に触れる。名誉だ」
桔梗に触れるだけで 名誉って 桔梗はどれだけ崇拝されてんだ?
その場に伏せをしてしまったの桔梗に4人が取り囲んだ。見回りの人数も多いし門も狭い。なによりも、こんな時間に出入りする人もいないから気が緩んでんだろうな。
「ワフッ」
行けの合図だ。
物音を立てずに外にそっと出るそっと離れると木の陰に隠れた。
辺りは真っ暗で何も見えずに不安に駆られる。座り込んで早く来てくれと願いながら桔梗を待つ。
「グル」
「ひぃー」
『どうした?腹でも痛いか』
グルって鳴かないでよ。ビックリしたじゃん!でも、それだけでビビったとか知られたら 笑われそうだから黙っておく。
『ぅうん なんでもない。それよりも 急いで行こう』
『そうだな、私の背に乗れ』
『えぇ、大丈夫?』
『大丈夫だ。サッと行ってサッと帰ってくるにはイオリの足では朝になってしまう。私の背に乗って行けば夜が明ける前に帰ってこられる。迷わずに私の背に乗れ』
伏せをして待ってる桔梗は俺に乗れと言って来る。
『じゃ、遠慮なくお世話になります』
桔梗の背に跨り 手を付いて体を安定させるが 落ちないか気になる。
『良し、では行くぞ』
俺を背に乗せても駆け足で進む桔梗。安定感が気になってたけど 杞憂に終わった。
『安定感抜群だよね。凄いよ 誰か乗せたことあるの?』
『昔な。まだ 私が子供の頃に1人の人間と旅をした事がある。文句の多い奴だったが、めんどくさがり屋の癖に自分から面倒事に首を突っ込んでた奴だ』
『桔梗は 俺の前にその人に付いて旅をしてたんだ。俺桔梗の事は知らな行ことばっかりだな』
『テイムされてた訳では無い。あの時の奴はリードと言う奴だが なかなかマヌケな奴でどこか 見過ごせない奴だった。気がついたから 一緒に付いて旅をしてた。そして 1人の人と結婚し子が生まれた。可愛かったぞ』
俺の知らない桔梗の昔話。俺はホントに桔梗の事を知らなすぎだな。
『初めて聞いたな。・・・テイムされてないのに そんなに長く居たの?』
『長くか。私にしてみれば 過ぎた時の中のひと時でしかない。リードは面白い奴だった、テイムはしない。何時でも森に帰りたい時に帰ればいいと私を友人の様に接していたし私も良き友人だと思っていた。人を乗せたのもリードの子供が良く私の背に乗りたがってな、その時に良く乗せてた。私の背に乗せたのはイオリで2人目だ』
『そっか、友人だと思ってたのになんで 離れたの?』
『・・・・簡単な事だ。家庭を持ち子も大きくなった。リードが幸せになった姿を見れたんだ、私はそれで満足だ』
『桔梗は俺が幸せになったら 離れるの』
『それは無理だ。・・・何も知らない子供を1人になぞ出来ない。そもそも母親が子を見捨てるなど出来ん』
『お母さんだもんな、お母さんがいきなり居なくなったら、一晩中泣くから』
『イオリを一晩中泣かせたとしたら、アルベルトに文句を言われそうで嫌だな。おい、着くぞ』
『ホントだ。ねぇ、教会の中に入れる?』
『しらん』
ええ~、先に調べてなかった俺がわるいけど、桔梗も知らずに連れてくるって、おかしくない?
「・・・って、ラアィーの親とか出てきたら ヤバイよな」
「ああ、出てきて欲しくないものだな」
「ハシューム国全土 端から端まで巡回命令が出されるとか、絶対 あの事件の残党の仕業だろうな!」
「絶対に許せん!今 城が襲われたら我々はどうなるんだ?」
「おい!怖いこと言うなよ!大丈夫だ 、我々の総隊長にやっと証の番様が見つかった。今まで以上に素晴らしいお力を見せてくれるだろ」
「そうだった!番様がいた!それに幸せを運んでくれるシルバーウルフが居るんだ、大々的な発表の前に全ての膿を出しきりたいな」
「そうだな、腐った貴族達も今頃部屋の隅で震えてるだろう」
3人組の騎士達は話しながら俺達の前を通り過ぎていく。
『桔梗って幸せを運んでくるんだ』
『そんな事は知らん。そもそも、幸せを運んできた事などない』
城の中で人気者の桔梗はフンと鼻息を荒く吐き出して知らん。とか言ってるけど、もしかしたら昔 旅をしてた時に人々を幸せにしてたのかも知れない。そう考えると、幸せになれるって言い伝えもあながち 間違いではないだろうな。
色々と面倒事に首を突っ込んでは解決してたんだろうなリードさん。また、話を聞きたい。
どんな旅をしてたのか 知りたい。
『行くぞ』
「うん」
言い終わるとトコトコと飛び出し、先ずは1人の騎士の腹あたりに擦り寄せて尻尾を緩く振る。
「桔梗も夜の見回りですか?ご苦労様です」
擦り寄られた騎士は上機嫌で桔梗に声をかけ始め、もう1人が近づき そっと背を撫でる。
「うわぁー、最高の手触り 気持ちいい」
「おい お前だけ狡いぞ」
声を出し反対側の騎士に近づく桔梗、思わせぶりな感じでゆったりと歩き 1人の騎士にまとわりついた。
その姿は猫が気まぐれに甘える姿そのものだ。
「おぉー すげぇ、初めて桔梗に触れる。名誉だ」
桔梗に触れるだけで 名誉って 桔梗はどれだけ崇拝されてんだ?
その場に伏せをしてしまったの桔梗に4人が取り囲んだ。見回りの人数も多いし門も狭い。なによりも、こんな時間に出入りする人もいないから気が緩んでんだろうな。
「ワフッ」
行けの合図だ。
物音を立てずに外にそっと出るそっと離れると木の陰に隠れた。
辺りは真っ暗で何も見えずに不安に駆られる。座り込んで早く来てくれと願いながら桔梗を待つ。
「グル」
「ひぃー」
『どうした?腹でも痛いか』
グルって鳴かないでよ。ビックリしたじゃん!でも、それだけでビビったとか知られたら 笑われそうだから黙っておく。
『ぅうん なんでもない。それよりも 急いで行こう』
『そうだな、私の背に乗れ』
『えぇ、大丈夫?』
『大丈夫だ。サッと行ってサッと帰ってくるにはイオリの足では朝になってしまう。私の背に乗って行けば夜が明ける前に帰ってこられる。迷わずに私の背に乗れ』
伏せをして待ってる桔梗は俺に乗れと言って来る。
『じゃ、遠慮なくお世話になります』
桔梗の背に跨り 手を付いて体を安定させるが 落ちないか気になる。
『良し、では行くぞ』
俺を背に乗せても駆け足で進む桔梗。安定感が気になってたけど 杞憂に終わった。
『安定感抜群だよね。凄いよ 誰か乗せたことあるの?』
『昔な。まだ 私が子供の頃に1人の人間と旅をした事がある。文句の多い奴だったが、めんどくさがり屋の癖に自分から面倒事に首を突っ込んでた奴だ』
『桔梗は 俺の前にその人に付いて旅をしてたんだ。俺桔梗の事は知らな行ことばっかりだな』
『テイムされてた訳では無い。あの時の奴はリードと言う奴だが なかなかマヌケな奴でどこか 見過ごせない奴だった。気がついたから 一緒に付いて旅をしてた。そして 1人の人と結婚し子が生まれた。可愛かったぞ』
俺の知らない桔梗の昔話。俺はホントに桔梗の事を知らなすぎだな。
『初めて聞いたな。・・・テイムされてないのに そんなに長く居たの?』
『長くか。私にしてみれば 過ぎた時の中のひと時でしかない。リードは面白い奴だった、テイムはしない。何時でも森に帰りたい時に帰ればいいと私を友人の様に接していたし私も良き友人だと思っていた。人を乗せたのもリードの子供が良く私の背に乗りたがってな、その時に良く乗せてた。私の背に乗せたのはイオリで2人目だ』
『そっか、友人だと思ってたのになんで 離れたの?』
『・・・・簡単な事だ。家庭を持ち子も大きくなった。リードが幸せになった姿を見れたんだ、私はそれで満足だ』
『桔梗は俺が幸せになったら 離れるの』
『それは無理だ。・・・何も知らない子供を1人になぞ出来ない。そもそも母親が子を見捨てるなど出来ん』
『お母さんだもんな、お母さんがいきなり居なくなったら、一晩中泣くから』
『イオリを一晩中泣かせたとしたら、アルベルトに文句を言われそうで嫌だな。おい、着くぞ』
『ホントだ。ねぇ、教会の中に入れる?』
『しらん』
ええ~、先に調べてなかった俺がわるいけど、桔梗も知らずに連れてくるって、おかしくない?
「・・・って、ラアィーの親とか出てきたら ヤバイよな」
「ああ、出てきて欲しくないものだな」
「ハシューム国全土 端から端まで巡回命令が出されるとか、絶対 あの事件の残党の仕業だろうな!」
「絶対に許せん!今 城が襲われたら我々はどうなるんだ?」
「おい!怖いこと言うなよ!大丈夫だ 、我々の総隊長にやっと証の番様が見つかった。今まで以上に素晴らしいお力を見せてくれるだろ」
「そうだった!番様がいた!それに幸せを運んでくれるシルバーウルフが居るんだ、大々的な発表の前に全ての膿を出しきりたいな」
「そうだな、腐った貴族達も今頃部屋の隅で震えてるだろう」
3人組の騎士達は話しながら俺達の前を通り過ぎていく。
『桔梗って幸せを運んでくるんだ』
『そんな事は知らん。そもそも、幸せを運んできた事などない』
城の中で人気者の桔梗はフンと鼻息を荒く吐き出して知らん。とか言ってるけど、もしかしたら昔 旅をしてた時に人々を幸せにしてたのかも知れない。そう考えると、幸せになれるって言い伝えもあながち 間違いではないだろうな。
色々と面倒事に首を突っ込んでは解決してたんだろうなリードさん。また、話を聞きたい。
どんな旅をしてたのか 知りたい。
『行くぞ』
「うん」
10
お気に入りに追加
1,792
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
神官、触手育成の神託を受ける
彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。
(誤字脱字報告不要)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる