赤い糸の先

上質な恋を

編み物 桔梗side

ふむ、頼む相手を間違えたかもしれん。
意思疎通が出来るからと手を抜きをしてしまった己の責任だな。もっと 必死に訴えとけば アルに 伝えれたかもしれん。

あの鳥男の尾行が下手なのはよーく分かった。





むむむ！！！！
なななななな、なに話しかけてんだ！！！！！

なぬぅぅぅぅ～？？楽しそうではないか！？

はあぁぁぁぁぁぁ、そこで 羽広げて一回転だと？！

信じていいのか？それとも アピールしただけなのか？
迷う！非常に迷う！！
私はどう 判断を下せば？！


もうすこし 様子を見るか。

『雪が降り始めた』

あぁ 確かにな あの鳥男に気を取られすぎた。

「うん？あぁ、そうだな」

『帰れる？』

この位なら積もりは全く問題ないだろう。

「大丈夫」

はぁ～私とした事が、あの鳥男ばかりに気を取られて イオリに悪い事をしたな。




昼飯を貰ったが ローランがレアで焼く肉が一番だな。

動きがないまま あの鳥男は楽しそうに話してるが
 片翼だけを広げてくるりと一回転した。
？

何か有るのか？広げられた方を見ると不自然に止まってる箱型の荷馬車。
雪が振ってるがまだ薄ら積もるだけで 余裕で馬車は引けるはずなのに おかしい。

今回は 鳥の丸焼きは勘弁 してや・・・ならん！
なんだ あの一仕事をやり遂げた感万歳で スリスリ擦り寄って、まだ危機は脱してないと言うのに ウッカリ威力を間違えて丸焼きにしてやる。


！！

丁度いい 帰るのか。

わたしが先に出なければな。イオリを巻き込ませる訳には行かないからな。

流石 商会の邸だ、この家の玄関は高価な 盗賊避けの魔石を使ってる。多少の衝撃にも耐えられる作りだ。

扉が開くと荷馬車動き出す。

『桔梗待たせすぎてごめん』
「まだ出てくるな」

わかりやすい動きだな。

荷馬車は不自然に扉が開き中から3頭のラアィー。毒に気をつけさえすれば どってことない。
素早く護衛に付いてき2人も剣を抜き構えをとる。

我慢が効かないまだまだ子供のラアィーの1頭が突っ込んで来た。
勢い良く扉に突っ込み大きく軋むが、流石は高価な魔石を使ってるだけ有り持ち堪えてる。

『桔梗！！！！！』
『大丈夫だ、まだ出てくるな いいな』

いま出てこられると迷惑だ。

1頭が動いた事で残り2頭が同時に突っ込んでくる。魔法を溜め込んでいっきに解き放った。
チッ 避けやがったが、鳥男が止まってた木はたちまち焼き払われ 灰になる。

腹立つ、鳥男まで避けやがった！
襲いかか鋭い爪をシューイン剣で防ぎ、ディールがラアィーの横腹に剣を突き立てる。
なかなかの連繋が取れていい動きだ。
私も襲いかかるラアィーをヒラリと躱し喉元に噛みつき牙を突き立てる。

騎士2人は一頭を殺って振り返るその瞬間にラアィーの爪が腕をくい込んだ。

喉元か口を離し 押し倒した瞬間に爪に溜め込んでた魔法を解き放ち首に突き刺しもう一頭に思いっきり蹴り飛ばした。

バランスをくずしたラアィーの腹にシューイチの剣がキレイに入り 勝負がついた。

『桔梗！！』
『・・・うん？大丈夫だ さあ、早い所帰るぞ』

あの鳥男 無駄話では無く 何かしらの情報を取ったか聞き出さないとな。こんな、馬鹿げた事 絶対許せん。
横たわる3頭のラアィー。普段は大人しく森の中腹で暮らす魔獣だ。
どこかで飼われてたのか分からんが 態と腹を空かせて襲わせる様にしてる。
こんな事 許せるはずもない。


イオリは怪我をしたディールを気にし始めたか。魔獣の 知識が浅いイオリに適切な対処を教えなければな。ラアィーは高熱に引き起こす毒素を持ってる。

『油断するな、とりあえず解毒剤を飲ませて傷を手当しろ』

『解毒剤？』

魔獣がラアィーだと分かると緑の液体が入ってる小瓶を傭兵から受け取り飲みほした。
コレなら大事には至らないだろう。

イオリがキズを塞ぎ いそぎ 城へと帰ってきた。

帰りはあの鳥男の姿も あの鳥も居ないのに。

ヌグググググ  あの鳥男 1度は誰かが親切に言ってやらないと気がつかないのだな。可愛そうな奴だ。

おまえは カッコよくないとな。分かってないから余計な事をするのだな。