赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

編み物 桔梗side

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執拗い。

イオリに散歩に行くと伝えて外に出るが あの鳥が鬱陶しくも居るのだ。
傍に止まってた木の傍に座れば近寄ってきた鳥男。

「おい、あの鳥の後を追跡して来い」
「えぇ~、確かにさ僕カッコイイけど あの子はタイプじゃないんだよねぇ~」
「いいから 言うことを聞け。何処で飼われてるからしっかりと見て来いよ」

「ぷぅー、注文が多い。じゃねぇー、ちゃんと出来たらスリスリさせて」

「む、・・・分かった1度だけだ。但し しっかりと情報を持って帰って来い」

「やったぁ~、スリスリの為に頑張ってくる」

「行け」

心底嫌だが、飛んでるものを追跡するのは困難に近い。しかもここは王都の中だ。余り目立つ行動をするよりかは 丁度良いのが居るのだ使わない手はない。

さて、どんな情報を持って帰ってくるか 楽しみだ。






「ぐふふふ スリスリスリリリィ~、はぅぅぅ~、気持ちいい~、きーちゃん 最高ぅぅぅ」

「もういいだろ!離れろ」

「えぇ もう ケチィ。もうすこし、あとちょっと ね!いいでしょ?」

「先に情報を渡せ」

「えっとねぇ~、・・・お家はね、ほら、前に悪さして王様や皆の前で晒されてたデブ人の近くに住んでる人。多分商会だよね。後は趣味の悪い指輪をいーっぱい付けてる奴ね。あと ちょっと色男だけどー、趣味で赤ちゃんの内に魔獣を攫って無理やり服従たせて飼ってる奴が一緒にいた」

「おい!名前は?」

「・・・さぁ~ わかんなぁ~い」

「デブの奴の近くに住んでるとか!指輪を付けてるとか、魔獣を無理矢理飼ってる事を知ってるのに!なぜ、名前が出てこない!!」

「えぇー、だって 見ることは出来ても話し声まで 聞こえないよぉ~」

「・ぅむ・・・」
確かにさ 見ることは出来ても名前は、・・・それは無理だろうな。

「魔獣は何を飼ってる?」

「さぁー、僕が見たのは キグリポンの赤ちゃんを攫ってた」

「イヌワシにそっくりだが、気性が荒く鉤爪が鎌の奴か。いい趣味とは言えないな。それに、攫って自分が育てたら無条件で親だと思う者も居るかもしれないな」

「刷り込みってあるからねぇ~」

「コレクションが増えたって喜んでたからね」

「いつかは シルバーウルフもコレクションに加えたいって 言ってた」

「ほぉ、私をか?なかなか面白い話だ。ッで そこまで話し声を聞いてながら相手の名前を覚えてない?」

「あぅ・・・」

落ち着きなくキョロキョロし始めた鳥男。

「おい!!まさかと思うが、鳥は3歩 歩けば忘れるとウワサで聞いた事有るがアレは本当だったのか?」

「なにそれ?そんな噂 迷信だよ!!僕は人の名前を覚えるのが苦手なだけ!!」

「・・・わたしの名前は?」
「きーちゃん!」
「鳥男の主人は」
「いっちゃん!」
「・・・イオリのすきなひとの名は」
「僕と同じ位 いい男」

「イオリの父の名は」
「お父さん!」
「家の執事の名は」
「色々する人」
「従者」
「餌くれる人とその夫  おっちょこちょい娘  それとパンつくってくれる人」

そうかそうか、よ~くわかった  物覚えは良いが、その代わりに物凄く名前を覚えれない奴だと分かった。自分の名前が オイとかお前とかでなくて 自分が覚えやすい物で"きーちゃん"や"いっちゃん"になっただけでも1番の収穫だ。

それと、役に立ちそうで立たない情報だが、悪趣味は頂けないな。
ハサルベル辺境伯の領地はワンバル商会が有る。他にも繋がってる貴族が居るのか?指輪がいっぱいか・・・うーん、いたな 誰だったか・・・思い出せん。



こんなにも見張られてる日に出掛けるなとも言えない。
アルベルトも何かしらの情報を掴んだのか 護衛を付けると言い出してイオリが戸惑ってるがなんとか承諾したようだ。


「おい! あの鳥の跡を追跡しておかしな行動をとったら知らせろ」

「知らせろッて。どうやって知らせるのさ?」

「ふむ、その場で羽を広げて一回転?」

「?それっておかしくない?」
「・・・・そ、っの  だ   な、美しい羽が強調されてかっこ  いいぞ・・・タブン」
「ホントに!こう?それともこんな感じ!?」
両羽を拡げてその場でポーズをキメて一回転して見せた鳥男。なんとも単純で助かった。
「おおー、それなら めだってなお良い」
「僕 かっこいい?」
「ぅっ うむ、きっと モテるぞ。モテモテだ」
私は鳥ではないので知らないし、そんな馬鹿げた求愛をして来たヤツは 思いっ切り顔を引っ掻いてやる。

兎に角だ。何かしらおかしな行動を取ったら合図を送れ。



あの怪しい鳥の後に鳥男が止まって待ってる。
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