赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

編み物 11

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家に帰り着くとサラさんとルーシーさんに俺の考えを話すと喜んでくれた。ルーシーさんは当然バランさんのを編み、サラさんはローランさんのを編む事に。俺はノットさんにと今編んでる。レッグウォーマーのプレゼントを送る事にした。

桔梗は何故かテラスに出たいと言い出し テラスの窓を開けてやると、テラスに座り込んでしまった。
冬毛に纏われてるから大丈夫だとはいえ、寒いだろうから中に入るように何度か注意したけど 問題無いと返って来るだけだ。入りたくなったら声をかけるだろうと ほっとく事にした。

サラさんと違って直ぐにコツを掴んでスイスイと編み始めたのはルーシーさん。今まで棒編みしかした事が無いとか信じられない速さ。ベテランが編んでる姿にばあちゃんを重ねて見てしまったことは内緒だ。

俺もノットさんのを編むと次はレモン色を選んだ。ばあちゃんによく編んでた色だ。茶系や暗めの色になりがちかばあちゃんに俺が良く使ってた色だ。

新たに編み始めて夕飯を教えに来てくれたノットさんの声で俺達は編み物をやめた。テラスを見ればいつの間にか桔梗が居なくなってて心配になる。

辺りは暗いけど 探しに行こうとしたらノットさんに叱られてしまった。

「心配する気持ちもわかるが、桔梗は元々 森に住んでた獣なのだから きっと大丈夫です」

「はい」

父さんが言ってる事は尤もなんだけど、なぜかモヤモヤして不安になる。今まで、黙って居なくなったことが無いから。

ご飯も食べ終わり部屋に戻る気もなれずにゆっくりとお茶を飲んでると ノッカーが鳴った。
当然の様にノットさんが玄関に行ったが 連れてきたは桔梗で俺は直ぐに飛びついた。

「どこに行ってたんだよ!心配したんだからな」

フワフワの冬毛も冷たくなってて風邪を引くかもと 暖炉の傍に桔梗を座らせた。
ルーシーさんが持ってきてくれたタオルで体を拭いてやるとローランさんが桔梗のご飯を手渡してくれる。

『やっぱり このレアが1番美味いな』

呑気に感想を言いながらペロリと夕飯を食べ終わるとサラさんからブラシを受け取るりバランさんから 桔梗のお気に入りのクッションを受け取った。
桔梗がクッションの上で寛いでると百合が桔梗の毛に埋もれる。俺はゆっくりと桔梗の毛繕いをしてやった。








桔梗が居なくなると心配だ、出掛ける時は声を掛けて欲しい、風邪を引く、あまり遅くなるな、と説教じみた事をして、桔梗から約束を取り付けた。今度からは勝手に居なくなる事もないと安心だ。桔梗は怒られるのには慣れてない、 コンコンと説教されるのは苦手ポイな。

夜はグッスリ寝れて今日は 朝から調子がいい。今日は朝から解読をしに来たらウルさんに差し入れのお礼を言われてた。

「何時も 美味しいお茶のお礼です」

「ありがとうございます。あの様に柔らかく 優しい味のお菓子はさぞかし難しいのでしょう。本当に1人で食べるのは勿体なく 妻と頂きました」

あははは、確かに硬いお菓子か小麦粉をねって焼いたお菓子しかないからね。ケーキは高級品だと分かったけど、ほぼパンだったから笑ってしまった。

 「そんな大袈裟、材料を混ぜて焼いただけなんですけど、喜んでもらえて嬉しいです」

何時ものお茶を入れてもらい、もう一度お礼を言ったウルさんはいつも通り退出して行った。

『喜ばれて良かったな』

『本当 良かった』

『私は少し 散歩をしてくる』

『外は寒いから余り長居をせずに早く帰って来るんだよ』

『うむ、わかった。では行ってくる』

出て行く桔梗を見送り何時もの椅子に座り集中して解読を始めた。





お昼前にいつも通りにウルさんがお昼を王妃様といかがでしょうか?と、聞いて来たので 了承した。

「ガゥガゥ」

「桔梗が帰ってきたみたい」

「お帰りなさいませ桔梗さん。お散歩はいかがでしたか?」

「わフゥ」

「楽しかったみたいです」

「そのようですね。では 参りましょうか」





お昼を王妃様とって言ってたのに 家族が勢揃いだ。楽しく お昼を食べ終わると、王妃様が話し始めた。

「昨日 イオリが騎士達に差し入れにと持ってきて頂いたお菓子の話題が 城内で噂になってますよ」

「そうですか?」

「そうなんです。レッグウォーマーもお菓子もイオリが 今では1番の話題を攫ってますわ」

「そこで、1つお願いがありますの。今度 マドレーヌを作った時に私にも頂けないかと」

「私も1度 食べてみたいと思ってました」

王妃様初め 王子と 王女にも 1度食べてみたいと懇願されてしまい、時間があれば届けますと約束をした。

こっそり王様を見れば視線を反らした。
ノットさんやバランさんも甘いもの好きみたいだし お父さんも好きだしな。

王様には差し入れした事は知らないみたいだから、内緒にしといた方がいいみたい。

「イオリはお昼から魔法の授業だと聞いたが私と一緒にやらないか?」

サミュエル王子はたしか10歳だったよな?10歳の魔法力ってどんな物なのか知っておきたい。

「魔法の授業は まだ始めたばかりで まだまだですが、ご一緒してもいいでしょうか?」

「私は構わない。是非 一緒にやろう」


サミュエル王子の属性は火 水 風の3属性
魔力が420 
体力が370

体力 俺よりも多い

『俺 王子と走り込みしても勝てる気がしない』

『勝てると思ってたのか?』

「お恥ずかしいです。去年の数字なので」

「へ?去年の数字?じゃぁ、確実にまだまだ伸びてるの?」

「多分」

謙遜で多分と答えておりますが、絶対に数字はの伸びてるのでは?俺の体力は、恥かしくて言えないし避けたい話だよ。

「俺、王子の魔法を使ってる所が見たくて、頼めますか。まだ、魔力の流れが良く掴めなくて」

「魔力循環ですね。体内に巡る魔力を感じるのは難しいですが、魔力の残量が分からないまま 使うのは危険ですから 魔力循環は必須項目です」

「まだ、基礎中ですから。知識をしっかりと学びましょう。の所です」

「そうですか。知識がないまま 魔法を使って暴走させて、魔力だけをカラにしてしまうと、危険ですから 知識も大切です。それでも独自に魔力循環をすると楽しいですよ」

「はい!」

なんか歳が違うけど、一緒に学ぶメンバーが出来たことで、楽しく 魔法の授業を受けることができた。

そして、魔法の授業を終えて アルが迎えにきてくれた。







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