赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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焦り

友 20

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集中してると他の事は気にもならずただ目の前の毛糸だけにしか意識が行かない。
朝から編み始めたマフラーの長さは1メートル前後になった。

「一休みしましょ」

アンネッタさんの掛け声に返事をして編みかけのマフラーを置きお茶に手を伸ばして1口。控えめな甘さにホッと一息ついた。

「美味しい ありがとうございます」

「イオリの編んでるマフラー、本当に素敵だわ!」

「ありがとうございます」

「ええ本当に素敵です。編んだマフラーはアルベルト様に贈られるのですか?」

「えっと、喜んでくれるか心配ですが」

「きっと 喜ばれますよ」

キリッとしてたアンネッタさんが初めてニコッと柔らかく笑ってくれた。

「フフッ さぁ、お菓子も食べて」

お菓子を進められて素直に食べるけど イマイチなお菓子を食べて編み物の続きを始めた。


-・-・-・-・-・-・-

父は仕事の為に登城し、私は執務室に籠った。


アシス様の暴挙は父から陛下に報告してもらうとして、何とかならないのか あの人はとウンザリする。

何処で養成させてると 何度となく怒鳴り散らして聞いてくるアシス様。
力ずくで排除出来ない相手に手を焼く。相手がアシス様なら尚更だ。

この世界には大きく分けて5カ国に別れる。そのなかでもハシューム国は第1位の王国、その周りを囲む周辺諸国と交友関係は良好で中心としてる国。その他にも交友国は多く第2位のバラド国、第4位のブラダッタ国とその周辺の小国とも交流がある。

だが、私が産まれる前 大きな戦があった。

その当時、第3位だったハシューム国と、第4位のバラド国、第5位のブラダッタ国 対 第1位のルミ国と第2位のマラダ国。5カ国を2分する対戦となったそうだ。

ルミ国とマラダ国は世界を統一を目論んだが、3位以下が反対した。余りにも多くの犠牲を出した4年にも及ぶ戦に勝利したのは世界統一反対派。世界の順位も大きく入れ替わるも、第3位に収まったのがルミ国 そして消滅しかかるも 最後に残った当時の王子が国土を狭め国再建に成功したのが第5位のマラダ国が収まったのだ。

その戦の功労者でも有るのがアシス様なのだ。聖魔法を使い多くの者を救い助けてる。その中に王子迄も含まれてる為に無下に出来ないが そろそろ本気で引退して欲しいと願う。

「まだ帰られないのか?」

「イオリ様にお会いする迄は帰らないと」

「迷惑な」

「わざわざ 喉を潤すお茶を出すから さらにデカい声をだすんだ お茶を出すな」

「かしこまりました」

ワゴンを押して執務室から退室したグリー。

「今度は お茶も出さないって怒鳴り散らすんじゃないの?」

「飲みたくなったら 勝手に帰ってくれるだろう」

「それもそうだ。自分の栄光を何時までも傘に着るのもどうかと思うけどなぁー、アシス様にしたら自分の後を任せれるだけの人物が現れないとかなんとか」

「後継者か・・・」

イオリには1番選んで欲しくないな。

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