赤い糸の先

焦り

友 12

仮縫いのブリブリキュートは一度だけだと腹を括るとして、すっげぇー気になるのが今 アルの手の中のスケッチブック。

アルに掌を見せてスケッチブックを要求する。

「俺も見たいのでスケッチブックを渡して下さい」

「ぅん？ ああー、素晴らしいデザインばかりだ」

ペラペラ ペラペラ 俺は何処の世界に来た？リアル宝づ〇！女性が男装した世界観そのモノだ。
しかも時折 女性の服では？なんて思う物も含まれて、俺の顔も自然に引きつってるのが分かる。

「マーサ！ここに書かれてる服は 1着もオレは いりません！！」

「なんで！！全部イオリをイメージして描いた物ばかりよ？！イオリしか似合う人は居ないのよ？」

だから嫌なんだよ！！こんな、フリフリふわふわ ゴージャス刺繍 満載衣装！！不眠不休で作られる前に却下だ。

「俺はこの1着有ればお茶会の出席できると思うので他は要りません」

「ちょっ、本気で言ってるの？！」

「マーサ落ち着け。イオリ、お茶会等の必要な物は私が準備する。いいな？」

「１回 出席すれば良いよね？」

1回しか着るつもりがないからここ重要！

「母さんが上手く立ち回ってくれるからイオリは大きく構えてればいい」

ドンと構えてても俺が似合いもしない物を着てたら、ブリブリキュートの中心にお笑いの神様降臨だ。って囁かれること間違いないな。

「イオリは礼儀作法を習ったことも無いだろう？そんな子に 次々とお茶会の出席はさせない。まずは 家で少し大き目なお茶会を開くからイオリは雰囲気だけを楽しんでくれたらいい。必ず誰かしらフォローは入るから」

？なんだろ、俺がお茶会に不安がある様に聞こえるけど？確かに間違ってはないけど、1番の不満はこの衣装であって、直接な不満はお茶会では無いけど。

「初めてのお茶会か、確かに不安よね。わかるわぁ～。でも、大丈夫よ なんと言ってもイオリはアルの特別なんだか！！大きく構えてないればいいのよ！！」

アルの特別って言葉もなんか嫌！
俺の心 荒んでなぁー。言葉の端々が気になって小さな事にイラってくる。

「そうなのね。誰しも初めてはあるけど、安心して。お茶会では ちゃんとフォローするから安心して出席してちょうだい」

出席決定のお茶会。誰も出なくても良いとは言ってくれないなら１回は出るけどさ。

「不慣れだと思うなら出席しなくても良いのでは？」

「不慣れでもいいからイオリに出席して欲しい」

アルの真剣な眼差しを見れば素直に言う事を聞いてやろうと思う。
どうせ、うだうだとゴネても1回限りなんだし諦めてドンと構えてて出席してやるよ。
それで恥を欠くのは俺なんだし、なにも作法を知らない俺を出席させたアルも・・ちょっと位なら作法を覚えた方が良いのかな？