赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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焦り

友 3

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1着有ればいいと訴えたが、1着では足りないとマーサが描いたデッサンに意見をして書き直しては俺に見せてくれる。を、繰り返して全部で5着を頼んでしまったアル。

「はーい。確かに受けたわ。ってことで、さぁ!イオリ立ってちょうだい」

立ち上がると 俺の前に立つと細いメジャーを片手に 「真っ直ぐ立っててね」と、言うと 体のあっちこっちを測りだした。

「素敵。絶対にイオリが1番 綺麗に見えるお洋服作るから期待して待っててね」

ごめん。期待はしたくない。そもそも、張り切らなくていい!

アルと何かを確認し合うと、待っててね!とすっげーいい顔で帰っていったマーサ。なんか大したことしてないのに 精神的に疲れた。
はぁ~、なんか疲れた。
グッタリしてると アルが駆け寄って来て有無を言う暇もなく そのままお姫様抱っこされてベッドに運ばれてしまった。

「あの、大丈夫です」

「グッタリしてただろ。それに眠そうだ」

確かに疲れたけど!眠そうに見えたからと ベッドに運ぶのはどうかと思うぞ?!

「少し疲れただけで」
「疲れたなら休め。倒れたらどうする?」

疲れたら休むけど、ベッドでわざわざ休む程疲れてない。

「休むけど ベッドで休む程までは疲れてないから」

「ホントか?」

疑いの篭もった目で見つめてくるアル。少し疲れたからと言っただけで疑われるってなんだ?ため息しか出ない。

「少し疲れたからと いちいちベッドで休むなんてしないから」

「無理だけはしないでくれ」

心配するアルを無視してベットから下りるとソファーに座り俺のこれからの予定を聞くことにした。
週8日の内3日の休みは有る。後はアルが頼んでいる教師の元 授業を受ける事になっている。
それと並行するように 俺の書類を作り 神主との養子縁組をするとの事。
書類が出来次第になるから もう少し待ってて欲しいとお願いされた。

ふーん、と聞きながら俺の事は全てアルがやってくれるんだな。今の所 不満はない。全て適切で 授業の時間割もゆったりとした時間で組まれてるし、書類関係は良く分からないからアルに任せた方が物事がスムーズに進むだろう。楽でいいや、なんて呑気に思ってた。

『眠いなら夕飯まで少し寝たらどうだ?』

『大丈夫だよ』

『眠そうにしてる』

少し疲れたからと なぜアルも桔梗も俺が眠そうに見えるんだ?

「ゆっくりと休んでいなさい。私は仕事に戻る。何かあればグリーに頼むといい」

「あの!その前に本とか有れば貸して欲しい」

「本か?かまわない。着いて来なさい」

アルに着いていくと 床から天井まで 本棚。一部屋丸々 本だらけ。夢の自宅図書館??だ。

「凄い!凄い!!本がいっぱい。すっげぇー。この中から選んでいいのか?」
「好きな物を選ぶといい。高い位置にある物や読みたい物は私やグリーに聞け。探し出してやる」

「この部屋の中の本を全部把握してんだ?!凄い」

「読みたい物は決まってるのか?」

「うーん 決まってないけど・・・じっくりとみたい」

「じっくりと読みたい物を探せばいい、何か有ればこのベルでグリーを呼びなさい。では、私は仕事に戻るが夕飯には呼びに来る」

小さなベルを手渡してくれたアルは仕事に戻っていった。

綺麗に収まってる背表紙を見ながら じっくりとどんなものがあるか見ていった。

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