赤い糸の先

焦り

友

「「友達では無い！腐れ縁だ・よ」」と声を揃えて訴えていたけど気が合うのだろう。

スケッチブックを片手に持ち サラサラと書くとマーサはアルに見せては あーでもないこーでもないと楽しそうに相談しあってる。桔梗も気になるのか アルの座るソファーに飛び乗り一緒にスケッチブックを覗き込んでる。

ちょっと、俺は？俺には見せてくれないのか？・・・うん？桔梗 微かに笑った？

「もぉー、素敵よ！！創作意欲が止まらないわ！もう少し待ってねイオリ！」

「はい」

『楽しみに待ってるといい。なかなかのものだからな』

そうなの？どんなのかな？贅沢を言えばかっこいい系が良いな。
ワクワクして待ってると出来たと声をあげるマーサと満足そうに頷き「きっと似合う」と呟くアル。

「見て見て！最高傑作よ」

スケッチブックを受け取り早速 どんな物なものなのか 見てみる。
・・・・？

「あの、これは誰が着る予定ですか？」
「「もちろんイオリだ・よ」」

ウソだろ？！こんなもの着れる訳ない！！
胸元にはネクタイの変わりに大ぶりのリボン、上着は腰部で1度細くなりそ こから裾がハの字に広がるに連れてフリルらしき物がかかれてる。ふわふわだ。
後ろから見た姿は膝まであるスカートだ。
腕の袖口にもフリルらしき物が・・・

「俺には似合わないと思いますが？」
「「きっと似合う・わ」」
『似合うだろうな』

「い・・・嫌だ」

「似合うわよ！！ぜっったいに似合うわ！！だって イオリを見てたら着飾りたいって思うじゃない！そうよねアル！！」
「当然だ。」
『当たり前だな。イオリだからな』

俺は絶対に着ないからな！！

「絶対に着ませんから」

「お茶会には必要だ」

必要かもしれないけど、男のフリフリふわふわは無い。

「もっと普通のがいい」

「「普段着では出れないぞ・わ」」

良く声が揃って仲いいじゃん！

「仲いいですよね？」

「「よくない・わよ」」 

なんか さっきから2人の息ピッタリでムカつく。

「息ピッタリですね。お二人が番みたいですよ」

「「絶対にちがう」」
『アルベルトの番はイオリだ』

2人と一匹は気が合うな。
なんか、だんだん 腹が立ってきた。

「案外 アルの番相手はマーサなんじゃ無いの？」

「あのね、確かに私も証持ちよ。でも、アルベルトの番は私では無いわ。私の番はダーリンだけよ。始めてダーリンを見た時 胸が痛くなるくらい高鳴ったの。寂しかった時間が一瞬で埋まったわ」

寂しかった時間？

「同じ時期に証持ちが2人産まれるなんて奇跡の年なんて言われてたけど、番が見つからないと大人達が騒いでたわ。でもね、5年して私と同じ証を持った子が産まれたって報告がきて会いに行ったの。その時、始めて自分が寂しかった事に気がついた、ずっとこの人を待ってた！って、気がついのよ」

真っ直ぐに俺を見て静かに語るマーサ。
まさかマーサも証持ちなんて知らなかったが、5年で番が産まれたマーサと番が現れなかったアル。きっと二人の仲は複雑だったはずだ。
それよりも、5年でも 寂しいかったと語るマーサ。20年もずっと1人でいたアルの寂しさはどれほどだったか。

泣きそうになりながら、＂20年待ち続けた。ずっとイオリだけを待ち続けた＂あの時は、切ないだろうなって気持ちしか分からなかった。けど、なんだろう胸が苦しい。