赤い糸の先

焦り

親 21

失礼します。と部屋に入るとニコニコと笑顔の神主がソファーに座ってる。

「お久しぶりです、神主様」

「ホッホッホッ、お久しぶりですイオリさん。元気そうでなによりです」

ニコニコとじいちゃんと同じ目で見られると安心する。

「イオリさん。話を聞いてると思いますが、今日は私がイオリさんの親にという、話し合いに来ました。イオリさん 私には妻は居ません。至らない事の方が多いと思いますが本当に私でいいのでしょうか？」

「はい！俺は神主様がいいです。でも、神主様が ご迷惑なら俺は今のままでも構いません」

本来なら独り立ちして 自立して無いといけない歳だしな。

「それはダメよ」
「投げやりはダメだぞ」

「私の名は ホルエイン ・ターネットです。イオリさんが私の子となるとイオリ・ターネットになりますが、宜しいでしょうか？」

イオリ・ターネットか、悪くない。

「全く問題ありません。でも、俺には桔梗が着いてくれてますが、大丈夫ですか」

「シルバーウルフは一生に1度お目に掛かれば幸せとされてます。私も始めて桔梗を見た時は美しく凛とした姿に目を奪われました。これから毎日一緒だと思うと嬉しい限りですよ」

嬉しいといわんばかりに尻尾を振る桔梗。

『ふふっ、美しく凛とした姿とは、なかなか高評価だ』

『本当 桔梗は余り人前に出なかったんだね』

『そうだな、余り人前に出るのは好きではないが、今回はサリーたっての頼み事だからな特別だ』

『そうなんだ。ありがとう桔梗』

「桔梗も神主様の事は気に入ってるわね」

「神主様とイオリが親子となると、神主様には私が最近所有しました邸宅に住んで頂きたいと思っておりますがいかがでしょうか？」

「神主としての職務も半分離れてる身ですからそろそろ 教会から出ないといけない身です。問題は無いですが、まだ週の半分は教会に出向かないと行けませんが宜しいですか？」

留守番出来るかって事かな？

「大丈夫ですよ」

「では、イオリに歴史と光魔法の教授していただけるのは週の2日でお願いします」

「わかりました」

その後はアルの仕切りで色々と決まって行く、地理、語学、礼儀作法、魔法学、ダンスと話してるが・・・

「あのぉー、俺 剣術とか体術とかの授業が無いの」


あれれ、皆 顔を背けてしまった。俺 変なこと言った？桔梗を見てもフィっと顔を背けてしまった。

アルが立ち上がり壁に掛かってる剣を手に持ち俺に持ってみろと鞘ごと手渡してきた。
立ち上がり 受け取るとずっしりと重くて両手で柄の部分を持ってるが 持ち上がらずに剣先が床についたままの状態。

えぇー、アルはコレを片手で持ってたよね？！
このまま手を離したら足を怪我してしまいそう。

「アルお願い 持って」

サッと片手で鞘を握り持ち上げたアル。
なんか同じ男として悔しい。

「イオリには剣の鍛錬は難しいだろうな」

「体術は？」

グッと何かを飲み込み 額に手をやるアル。

「そうだな、身を守る為に必要かも知れないが・・・先ずは体力作りからだと思う」

『向き不向きがある 諦めろ』

『なんか 悔しい』

『悔しがることは無い。今のままのイオリで丁度バランスが取れてると言うことだ』

それって、アルと番で有るから バランスが取れてるって言ってるんだな。
・・・無理だよ。