赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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焦り

親 19

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寝ていると自然と温かな方に近寄るのは誰しもやってしまうことだ。

ぬくぬくと暖かな方に手を伸ばし抱きつくも柔らかな毛布では無く固いものだ。可笑しいと 目覚めて裸の胸板があったとしても少し前に 記憶にあるものなら驚きもしない。

「おはようイオリ」

軽やかな挨拶も 好印象だけど、なぜ裸?

「おはようございます。・・所で、なぜ裸なんですか?」

「寝る時は 私はずっと裸なんだ」

「はぁーそうなんですね。っで、なぜ 俺のベッドに?」

「イオリが服を離さなかったから」

「あのぉー、それはご迷惑をおかけしてしまいすみません。ですが、服を脱ぐなら服だけを残して、ご自分はお部屋に戻って寝ることも可能なのでは?」

「!!!!!!」

そんな事、思いもつかなかったって感じだな。
軽やかにベッドに乗ってきた桔梗はアルに体を擦り付けて無邪気に戯れようとする。

『桔梗 邪魔をしないでくれ』

『可哀想だろ、余り攻めるな。それに アルベルトは不埒な真似はして無いだろ?純粋に添い寝をしただけ』

「おはよう 桔梗」
「ワゥ」

仲良く戯れるアルと桔梗。

「勝手にベッドに入り込まないで下さい。迷惑です」

ピタリと動きが止まり ゼンマイ仕掛けのおもちゃの様な動きをするアル。

「・・・すまない。今後は気をつける」

「そうして貰えると助かります」

布団を捲り起き上がるとアルを無視したいけど出来ない。

「さっさと ご自分の部屋に戻って服を着て下さい」

「わかった。桔梗 着いてくるか?」
「ワゥワゥ」

「さっさと服を着て下さい。風邪を引きますよ?それに俺は人前で裸になる人は好きではありません」
「ガゥガゥ」

瞬時に固い表情を浮かべると床に落ちてる自分の服を取り敢えず身につけるアル。
そんな姿は全く見らずに クローゼットに入って行く俺に 桔梗が吠えたが知らん振りをしてドアをバァンッと閉めた。

本当に なんでマッチョは直ぐに脱ぎたがる!
そんなに自分の筋肉を見せたいのか?自分の為とか自己満足の為とか言ってるが、見せるために鍛えてるとしか思えない。
俺も チャレンジした事もあるけど 全く ぜんぜん 薄らとも つかなかった。

自分の裸を見下ろしガッカリする。自分の貧相な体と比べると厚い胸板 しっかりと付いた筋肉 長い手足 どれも勝てないものばかりで羨ましくなる。
俺も今から鍛えたら少しは付くかな?


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