赤い糸の先

焦り

親 14

ゴク・・・・

カチャカチャ・・・
お茶を飲み ナイフとホォークの音がよく響く。
時折 チラリと俺を見るアル。
見るなら なにか 話しかけてほしい！と願うのは身勝手だと分かっていても俺から話すことがないからだ。

なんで桔梗まで 出ていったんだよ！薄情者！
アルは自らお茶を継ぎ足してしまった。ってことは まだ居るつもりかよ。

・・・・・・・・ゴク

あーもぉー！嫌だ！
こんな雰囲気は耐えられない！！

「アルは お仕事してないのですか」
「今日まで休みを取っている」

速！！速いよアル。って、会話終わったよ。

「そうなんですね」
「そうだ」

なぜ、繰り返した？

「明日から仕事だ」 

だから！なんで、繰り返す？！

「そうなんですね」
「そ、うだ」

「「・・・・・・・」」

ゴク

カチャカチャ
早く食べて外に出よう。

「その・・・」

「はい？」

言いたいことは さっさと言ってくれないか？俺は食べるのに忙しいのだが。

「イオリは・・・夜空を見るのが好きなのか？」

「そうですね」

「そうか」

寝れないから外に出てるだけ。でも、そんな事をわざわざ言わなくても良い。
俺からしたら、だからなんだ？と、思う。

「そのだな、迷惑でなければ・・・」

大きく深呼吸をしたアル、一大決心をしてる感じに ？？となる。

「迷惑でなければ・・・一緒に夜空を見てもいいか」

「え？」
「すまない 忘れてくれ」

忘れてくれと言って直ぐに立ち上がると足早にリビングを出ていくアル。

「ちょっ、待って。待てって！」

アルの後を追い腕を掴んだ。

「不愉快な思いをさせてすまない。忘れてくれ」

俺から顔を背けて謝るアル。

「不愉快でもなければ迷惑でもないから」

ぅわぁー そんなに首を振ったら首の筋 痛めるぞ。

「ほっ本当に不愉快でも迷惑では無いのだな？！」

おぉー、なんだ？すっげー真面目な顔をしてるけど、たかが 夜空を見るだけの話だぞ？！

「夜空を見るだけなので楽しいことは無いと思いますよ」

「構わない！私はイオリと一緒に夜空を見たい」

うわぁ～、イケメンの笑顔って 見てるこっちが恥ずかしくなるぞ？！それに・・・この場は、なんと答えるのが正解なのか悩む。

「ホッ、ホットケーキ まだ残ってるから！」

アルがまた リビングに戻って来た。
えぇー、どこかに行くんじゃ無かったのか？！