赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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焦り

親 4

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今晩は 冷えると眠る前にお布団の中にタオル生地で包るんだ物を入れてくれたグリーさん。なんなのかと聴くと湯たんぽだった。

へぇー、この世界にも湯たんぽ あったんだ。
親と寝た記憶は無くても 幼い時はじいちゃんとばあちゃん寝る時は布団引っつけて 俺が真ん中で2人に挟まれてポカポカして 暖かったな。

布団の中は暖かく、このまま眠ってしまえば良いのに眠れない。
じいちゃんとばあちゃんに逢いたい。窓の外の2つの月につれられて、昨日と同じく外に出た。

『風邪を引くぞ』

俺を心配して付いてきてくれる桔梗に何も答えれなかった。

昨日と同じ場所に立ち 空を見上げる。昨日と変わらない。
じいちゃんとばあちゃんに逢いたいのに会えない。親に会えなかった時よりも辛い。
親はお金だけの関係。俺を育ててくれたのはじいちゃんとばあちゃん。俺の親はじいちゃんばあちゃんなんだ。俺は親に会えなくて淋しいのだろう。

フワリと温かな物が肩に掛けられた。

「今日は冷える これを」

肩に掛けられたのはアルの体温で暖められた上着。

「ありがとう。でも、アルが寒いでしょ?」

手に持ってた上着を羽織りコレで寒くないからと他所を向いて答えたアル。
その横を通り過ぎて部屋に入って行く桔梗。

「その、早めに部屋に戻りなさい」

クルッと背を向けて去ろうとするアルの上着の端を掴んでしまった。

「っぁ、その ごめん。おやすみなさい」

「・・・・いや、おやすみ」

掴んでしまった上着の端を離して 謝った。がアルはさして気にもしないまま部屋に入って行った。
なにしてんだ俺は。桔梗が先に部屋に戻ったのが悪い。
空を見てたのに今は足元を見てる俺。何がしたかったんだ。
そのまま その場に屈んでしまった。

考えても分からないけどアルが貸してくれた上着は人肌に温められてぬくぬくしてて 心地よい眠りにさそわれてその場で眠りに落ちていった。




ぬくぬくした ベッドの上で目が覚めてアレってなる。

『おはよう桔梗。俺さ昨日外で寝落ちたと思うんだけど?』

『おはよう。外で寝入ってしまったイオリをアルベルトがベッドまで運んでくれた。お礼を言っとけ』

『やっぱり』

外はいい天気だ。

『釣り したいな、釣りが出来る場所ってあるの?』

『私に聞かずにアルベルトに聞けばいいだろ』

確かに。聞くぐらい良いよな。

「良し!起きるか」

掛け声と共に身体を動かす。

っで、部屋のドアを開けると直ぐにアルに出会えた。

「・・おはようございます。あの、外で寝てしまった俺をベッドまで運んでくれました?」

「あぁ、そうだ、風邪を引いて、しまうと思い、ベッドまで、私が、運んだ」

でた、壊れたブリキのおもちゃと不出来なロボット喋り。

「ありがとございました」

明らかにホッとした様子のアルに?となるが 
朝食にしようと食堂に移動する事にした。
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