赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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戸惑い

痣 6

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腹が減ってるが 間が持たない。このままだと何も喋ることもなく 変な空気のまま朝が来そうで嫌だな。こんな時は寝るしか無さそうだ。

「あの、
コンコンコンと軽快なノックの音が部屋の中に響くと「入れ」と、勝手に返事を返してしまったアルに嘆息してしまった。

「お茶と軽食を準備しましたがお召し上がりになりますか?」

グリーさんの言葉で情けなくも腹が盛大に欲求不満を訴える。

「直ぐに準備してくれ」

アルの言葉で直ぐに「かしこまりました」と一礼して 出て行くグリーさん お願いします とも、要りませんとも 言えずにただ 見送った。

「夜の空が見たければ私を起こしなさい」

??なぜ アルをわざわざ起こしてまで見ないといけないのだ!?そもそも、俺は腹が減っていたから目が覚めたのだ。

「はぁ~、貴方を起こしてまで 夜空を見たいとは思いませんよ」

「・・・そうか、1つだけ確かめたい。黙って出て行こうとしたのでは無いよな?」

「出ていくつもりならあそこで 大人しく空を見上げてはいませんよね?」

「そうだな。イオリを見つけた時も 空を見上げてた。俺はただ驚いて・・・すまない」

「めんどくさい男」

「め・・・めん・・そうか。すまない、勝手な思い込みだった様だ。後の事はグリーに頼むといい」

フラフラと出て行くアルが気になるが後を追いたいとは思わなかった。

『精神的ダメージが効きすぎてる。番なのだからもう少し優しく言ってやれ』

『ふん!精神的ダメージを食らってるのは俺なんだけど。それに!!明日じゃない、今日には全く関係ない相手になる訳だし』

『今日には審判が下るか。楽しみだな』

「失礼します」とワゴンを押して入って来たグリーさんに暖かいお茶と小さなサンドウィッチを目の前に置いてくれた。

「すみません。ありがとうございます」

「お気になさらず。ゆっくり 慌てずお召し上がり下さい」

小さく一口にカットされて美しく盛られてるサンドウィッチを摘みながら温かい紅茶を頂いた。





[鬱陶しい・めんどくさい男]コレがイオリの中での俺の位置づけなのだろう。
これ以上 評価が落ちようもない位置に居ると断言出来る。

外に居るイオリを見つけたのはたまたまだ。

俺はぐっすり寝てた。それなのに突如 何かに引っ張られる感覚で目が覚めて頻りに窓の外が気になり顔を出した所にイオリを発見し、そのまま大声を出してしまった。

その状況を思い出しても イオリはその場に佇み空を見上げてた。
慌てて どこかに移動する気配も無かった。全ては私1人の早合点だ。
確かにめんどくさいと言われても仕方ないが、番に言われてしまうとダメージがでかい。その前にも 鬱陶しいと言われてしまっている。
是非とも どこかで名誉挽回のチャンスが欲しいと切に願う。
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